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2015年6月21日

喜びも悲しみも幾歳月(1957)

Syouchiku

- 抑制が効く  -

灯台守夫婦の物語。実話が元になっているそうで、手記から脚本を書いた木下監督が自分で監督した作品。何度もドラマ化されたらしいので、大変なヒット作だったらしい。DVDで鑑賞。

画質は良く調整されていた。非常に出来の良いドラマと感じた。昔のドラマの場合は、さすがに木下監督作品と言えども大仰だったり、現実感が薄かったり、演出過多の印象を受けることが多いが、このドラマは実話が元だからか、全体的にリアル。

戦前戦中の場合は、この家族よりも波乱万丈の物語がそこらじゅうに転がっていたと思う。それなのに、よく物語として魅力を出せたと感心する。良い企画だった。

時々笑いのシーンがある。特別なことではなく、ちょっとした冗談だったりだが、我々の日常もそうそう爆笑の出来事があるわけではない。ほんのちょっとした笑いがほとんど。すぐ忘れてしまいそうな、そんな出来事が、リアルさにつながったのかもしれない。

役者達も、いつになく演技過剰にならないように、皆で互いに抑制しあって調子を合わせたかのような演技ぶり。深刻な恋の悩みも、大声を出して泣き叫ぶほど盛り上がったわけじゃない。全体の調子が統一されていた。

観ている我々には全体の調子がどうだと分かるが、作っている最中に現場でそれを感じることは難しいだろう。監督が色々言ってても、技術の人間が勝手に暴走して大メロドラマにしようと考えるかも知れない。「ここでオイラの腕を見せて評判を取ろう・・・」そんな思惑から、何かやらかしてくる連中は多いと思う。統制をとるのは難しかろう。

とにかく、この作品はドロドロの人情ドラマではないけれど、ちゃんと共感を得るような物語になっていた。

ただし、今の子供にはどうだろうか?さすがに古くて、戦時中の話になると、それだけで理解不能の部分が多くなるかも知れない。挨拶の仕方から何から、違う人種の話かと感じて、話に付いていくのも大変では?

高峰秀子の演技で思うのは、動きや声の高さを変えて、年齢に応じて徐々に変わっていく様子が上手く表現できていること。メイクだけじゃなく、演技でもってちゃんと年齢相応の雰囲気を出している点が凄い。

高峰に比べると、佐田啓二のほうは動きの変化の表現が今ひとつだったかも知れない。普通は定年前くらいの年齢になれば、歩き方が変わってくると思う。少し足をガニ股にするなど、工夫はできたと思う。もしかすると、この役は佐田啓二のような二枚目じゃなく、喜劇俳優のほうが合っていたのではと、少し感じた。

テーマ曲も素晴らしい。この作品のために書かれたはずだが、昔からあったように描かれている。いちおう行進曲のテンポ、でも曲調は悲しく、歌詞は非常に真面目。灯台守のイメージアップにつながりそうな内容。

灯台守は、役職から言うと海上保安庁の職員なんだろうか?昔だと海軍所属か?運輸省職員?内務省所属の、なんとか庁のなんとか局、なんとか課・・・だったのだろうか?

 

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