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2015年5月13日

晴天の霹靂(2014)

Tohou

- キャストに疑問 -

売れないマジシャンの男。父親が死んだという連絡が来る。父が死んだ場所を尋ねた彼は雷にうたれ、自分が生まれた時代に戻る・・・

・・・劇団ひとりの企画、監督作品だそうだ。もちろん補助するスタッフが大勢いたのだろうが、本職の監督の仕事に近い充分な完成度を持つ作品を作り上げていた。センスが良いし、人脈が広いに違いない。

単純な話。ストーリーには特に斬新なところはないが、妙な話をゴテゴテ付け加えたりしないで、美しいストーリーにしようという意図が明確。よくまとまった良い話だった。主演の大泉、助演の劇団ひとり、柴崎コウも充分に魅力を出していたし、全体の雰囲気も良かった。

この作品は家族で楽しめると思う。子供が観ても構わない内容だし、恋人と観るのも悪くない雰囲気、ある程度の笑いと涙のシーンがバランスが良く組み合わされ、舞台の雰囲気、懐かしい時代の光景も上手くできていた。

今の浅草では建物も建て代わっているから、各所で撮影されたようだ。長野の上田市には実際に演劇場跡が残っていて、それを使ったと紹介されている。いまどき、あんな場所が残っているのは凄いこと。保存活動の意識が強い街なんだろう。

それには、おそらく真田一族の誇りが関係している。誇り高く戦って死んでいった勇者達の存在が、歴史に対する意識を生んでいると思う。

あるいは、産業構造も関係するかも。次々と新しい店が出来るような商業都市なら、見栄えのする店を造らないと客が来ないから、スクラップが進む。風情など言ってられない。人口動態が安定した都市で、産業の興廃がないことも大事かも。

劇団ひとりは本も書いているし、多能なタレントのようだ。バラエティ番組でもギャグのセンスが素晴らしい。北野たけしのような特色ある作品を作り出すかも知れない。

でも劇団ひとりの次の作品に、個人的には特に期待していない。この作品は実によくできていたが、本職の監督ならもっと上手く出来ていたようにも思う。ノスタルジックな音楽や、「三丁目の夕日」のような色彩を使って、もっと懐かしさを前面に出したりすることも出来たはず。味わいの点で、まだ不足している面があったと思う。

父親役は大事だったはず。グレた雰囲気が出る、本職のヤクザ俳優が最適だっただろう。ある程度の格好良さも望ましい。そうでないと、母親が惚れることが不自然になる。ダメなオヤジでも格好だけは良いなど、どこか尊敬できる部分が残るほうが、この種の役柄には良い。

劇団ひとりの出演は、この役ではまずかった。むしろ主人公のほうが合っていたかも知れない。

大泉の演技は良かったのか悪かったのかよく解らない。手品の技は見事だった。でも殴り合いの迫力は明らかに足りてなかったし、惨めな場面でも彼が演じる場合は悲劇にならないのが特徴なので、悲しんで同情して欲しい観客が感情移入しにくい点はあると思う。今までも役柄とは、少し違っていたのでは?

主人公は、懸命に生きているが上手く行かない、その哀感が出る俳優のほうが良い。例えば売れっ子より、惨めな境遇の俳優のほうが良い。何か事件でも起こしたような、暗さ危うさが欲しい。惨めなシーンでは観客の誰も笑えない大真面目な顔をしているほうが良いと思う。

主人公と父親役、二人とも笑いを取る必要はない。笑いの部分は独りだけ、他は真面目すぎるくらいのほうが、かえって笑いが際立つ、それが基本と思う。キャスティングに問題があったと思う。

 

 

 

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