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2015年5月22日

やぶれ太鼓(1949)

- 企画会議必要  -

家でも会社でもワンマンの社長。仇名はやぶれ太鼓。しかし長男は会社を出たがり、長女は政略結婚に消極的、会社の経営が危機に瀕する。ついには奥さんも・・・

・・・木下恵介監督の作品。DVDで鑑賞。音のほうは今の映画に近いくらい聴き取れる。画質は最低限という印象。DVDの画面が絶えず上下にぶれてしまうので、見にくいのは確かだが、リマスタリングはされている様子。

画質や音楽、音質の関係で、子供が興味を持ってくれる作品とは考えにくい。それなりにユーモラスなシーンもあるのだが、今日風のギャグはないので、おそらく笑いは取れない。恋人と観ていても、古すぎて呆れる男女の会話に耐え切れる人は少ないかも。

時代のせいもあると思うが、監督の演出のクセも関係しているかも。当時としても演技のスタイルが古すぎたのではないかと思う。はるか戦前のフランス映画のような大仰な演技をしてるような気がしてならない。当時の若者風に自由に演技してもらっても良かったのでは?

ミュージカル仕立てにしようという意図が感じられたが、ピアノの音量と俳優の声量、曲調がチグハグのように感じた。ハリウッド流の優雅なミュージカルとは随分違う。

長女が知り合う芸術家一家も妙な印象。夫婦は微笑みながら仕事をしているが、笑顔が怪しい印象も正直感じる。気でもふれているのかと、心配になるほど。不気味さを表現したいのか、ガツガツしていない優雅さを表現したいのか、意図が分からない。当時は、あんな笑顔が普通だったのか?

時代のせいだけじゃない、完成度や全体の流れの統一、観客に与える影響の分析など、企画としての総合力がどうか疑問に感じる。監督や主役のファンは多かったはずだから、その言いなりになって企画の分析が欠けていたのではないか?あるいは、劇団や会社の力関係などの要因で、意見を集約できない面がなかったか、なんとなく気になった。

主演のバンズマは、体型的に迫力不足の印象を受けた。本当に怖そうな、小太り体型のヤクザ者風の俳優が演じた方が迫力の面を考えると向いていたように思う。悪役俳優が良い。逆にユーモラスな雰囲気、実は人情に脆い点を出すには良いキャスティングだったかもしれないけど。

奥さん役を始め、ほとんどの俳優は知らない方ばかり。長男役の森雅之、三男役の大泉滉や、恋人役の宇野重吉は解るが、あんまり演技が上手いように見えないピアノ弾きの次男は妙な役者。と、思ったら作曲家の木下忠司氏らしい。監督の兄弟だから、演技は無視して演じさせたのだろう。良いことじゃないと思う。

やぶれ太鼓の曲は、この作品に合っていたようには感じなかった。曲調が軽快なので、歌詞は逆に悲しいほうが良いのではと個人的な印象だが感じた。あるいはシーンによって使い分けるために途中で変調させて、悲しい調子も笑いの調子もあるような作り方ではいけなかったのだろうか?映画に合っていないと思う。

会社が破綻して屋敷を売り払う、借金取りに追われる、暴力沙汰、子供達も各自バラバラになるといった際立った不幸、大失敗のシーンがなかった。もし、あったらどうだったろうか?

普通は、酷い状況に陥って主人公が初めて自分の誤りに気づき、過去を反省して家族が再生する流れがよく観られる。あえてそうしなかった理由は解らないが、実社会で破産は多いので、あくまで喜劇として映画を作るために、実社会から遊離した設定にしたのだろうか?

最初から、リアルな家族ドラマを狙わず、ワンマン社長を中心としたギャグ風のやり取りをドラマにしたいという企画なら、確かにこんな作品になってしまうだろう。でも、それでは中途半端な印象に終わらないかという懸念はなかったのだろうか?ギャグ映画で破産の話があると、観客は盛り下がってしまうはずだが・・・

最近、大塚家具の父と娘が激しいバトルをやったらしい。結果的に社長は娘が続けることになって、いったんは娘の勝利になったらしいが、おそらく父親は大株主だろうから、今後もクーデター的な攻防は続くだろう。

何を争ったのかは、会社内部の事情に詳しくないと解らない。運営方針の結果がどうなりそうかは、内部にいる人間でないと解るはずがない。双方が新聞や雑誌に意見を載せていたが、どこまで本音なのか判らない。

ただ、株式会社だから、たとえ家族であっても社会的な責任は果たさないといけない。法律に則って、社長を解任したり、役員を移動したりは人情にこだわらずにやらねばならないと思う。明らかに運営方針を間違っている、何か粉飾をやっているという場合は、身内意識より公的意識で行動すべき。

 

 

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