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2015年4月 1日

フライト・ゲーム(2014)

Universal

- 再発予防 -

航空保安官の主人公は、娘を亡くしたショックでアル中状態。彼に脅迫メールが届く。乗客を人質にした金の要求だ。乗客の誰かが犯人と思われる。彼は捜査を始めるが・・・・

・・・先日、とんでもない事件が発生した。ルフトハンザ機がフランス南部に墜落し、原因を捜査中だが、どうやら副機長が意図的に事件を起こしたらしいと報道されている。信じ難い原因。普通はテロを考えるが、想定外だ。

この作品を観ようと思ったのは、やはり事件があったから。不謹慎だが、興味が湧いてきたせいだ。

この作品は一流のサスペンス映画だと思う。犯罪者達が航空機内部で主人公と戦う映画は多いが、この作品は過去最高レベルの出来栄えと感じた。実際の事件があった直後だから特にそう感じたのかも知れないが、緊迫感を持続できていた。

子供には多少まずいセリフも冒頭あったが、基本は家族で楽しめる作品と思う。子供でも緊迫感が解るのでは?恋人と観るのも悪くないと想像する。

ハイジャック映画が多数作られている中で、企画として通用するためにはアイディアが良くないといけない。この作品が企画の段階でどう思われていたのか知らないが、大スターを呼んでいないことから考えて、派手なアクションで観客を呼ぶ企画とは考えていなかったと思う。静かなサスペンスの路線だったはず。

俳優達のほとんどは、シリアスな演技が得意な人達のようだ。名脇役が多い。プロデューサー達も実績のあるベテラン揃い。その実力通りの製作が成功したように想像。

主役のリーアム・ニーソンも適役だった。しょぼくれた病的な感じと、大柄で体力がありそうな感じが役柄にぴったり。悩めるアル中男の雰囲気がリアルだった。体力勝負のアクションスターや、派手な演技が好きな大スターでは、こうは行かなかったと思う。

犯人像がなかなか解り辛い点が、まず良かった。前半部分で犯人が解ってしまうような映画は退屈する。本当に解りづらく、観客の意表をつくような展開が必要で、その点が成功していたと思う。

メールでの通信内容の表現も良かった。最近の映画では、この種の立体的な文章提示が当然になっている。もしかすると、もうひと工夫できるかも。例えば、SNSで大勢の人間の意見が錯綜するような映画なら、スピード感が出そうに思う。

理想を言えば、無駄に思えるエピソードがあったほうが良い。脇役の誰かが大事な役割を果たし、その人物の悩みや弱さなどが滲み出たほうが良い。ちょうど「ダイ・ハード」のような構成だ。でも、この作品では脇役の物語は少ししか披露されていなかった。

また、宣伝の映像にも多少の疑問。銃で敵を倒そうとする映像がDVDのジャケットなどにも使われていたようだが、ストーリー展開を予想させてしまわないか?筆者は、およそのストーリーを想像してしまった。あれを宣伝に使わないと客を呼べないと考えたのだろうか?

犯人として真っ先に疑われるのは、副操縦士とキャビンアテンダントのペア、警察官、医者、隣の席の女性と誰かの共犯、あるいは管制官など。もしくは出てくる人物のほとんどが共犯かとさえ疑われる。観客が次々と犯人像を変えていけるような作り方は、よく考えてあった。

疑問点もある。主人公にメールを送る方法が一部解らなかった。監視されながら、どうやって送ったのか、細かい点は不明。また、機長を殺害した際に、小さな穴を利用したようだが、そんな構造を知っているのは限られた人物だけだろう。そもそも、そんなルートがないようにコクピットは完全に独立して作られているはずだが。

また、針で刺した時点から症状が出る時間が妙。普通、毒物を注射されたら、気分不良を訴え、しばらくしてから意識を失い、呼吸が止まるのはさらに後になることが多いはず。主人公と揉み合いながら急に呼吸が止まるなんて、ドラマ専用の表現で安っぽい。

問題の実際の事件。

もし本当に副操縦士の犯行なら、今後の予防のために、機長は冗談ぬきにオムツをすべきかも知れない。一人がコクピットを出る場合は、乗務員の誰かが交代で入るシステムをとる会社もあるそうだが、その人物が犯罪者だったらどうか、また交替の際にテロリストが侵入しないかといった問題もある。

予防方法は、論理的に考えないといけない。片方が異常者の場合、3人目が異常者の場合、両方の操縦士が異常の場合、異常者がレスラー並みの体力で取り押さえが無理の場合、いろいろな状況に対処できないといけない。でも、今回の事例を見ると、その管理は難しい気がする。

操縦士のどちらかが異常人だったら、基本として犯行を予防するのは難しい。異常者とて相方の操縦士を殺すのは簡単ではないが、傷つけて操縦困難にするか、機器を操作不能にすることは出来ると思う。争っていれば操縦は無理だから、機体は落ちるだろう。自殺の意図があれば、事件の予防は難しい。

前兆に誰も気づかなかったのだろうか?おそらく何かおかしいと感じてはいたが、まさか乗客もろともの行為はないだろうと、常識を働かせたのでは?普通は考えないだろう。精神病でも、せいぜい自分だけで自殺すると思うのが常識。

事件の完全な予防は、人間が運転するかぎりは無理と思う。確率を減らす意味では、やはりテロリストの侵入を減らす目的で、コクピットが外から開かないようにすべきと思う。稀な異常者については、定期的な健康診断などで発見の努力をするしかないのでは?

 

 

 

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