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2015年4月10日

新幹線大爆発(1975)

Touei

- キャラクターに問題 -

新幹線に爆弾が仕掛けられた。国鉄、警察、乗客、犯人達が互いに腹を探り合いつつ交渉し、その思いが交錯する・・・

DVDで鑑賞。高倉健の映画をいろいろ観ているのだが、これはアクション大作で、パニック映画。他の主演作と異質な印象。画質は良好で、音声や音響効果なども充分鑑賞に耐えうる。ミニチュアの新幹線は少しチャチな印象も受けたが、酷いというほどでもなかった。今の子供達が楽しめる迫力があるかと言えば、たぶんないだろう。現在の恋人達が楽しめる作品とも思えない。

緊迫感は結構感じた。当時の日本映画だと、俳優達の演技がオーバー過ぎて、ギャグ映画のようになっているものが多い。でも、この作品はわりに自然に近い感じで、演出が適切だったのかもしれない。刑事役などが特にそうで、「太陽にほえろ」などより表情が軽めの演技だった。そのへんが意外に大事なのかも知れない。主役級の演技も重要だが、脇役がリアルなのも大事。

高倉健が珍しく悪役。ただし、極悪非道の犯人ではなく、少なくとも仲間想いで生真面目な人間像だった。やや中途半端な印象は受けた。彼が事件を企てざるを得なかった理由は希薄。恨みの程度が深い、国鉄に酷い目にあわされたなど、何か分かりやすいエピソードがあっても良くなかったか?キャラクター設定として、観客の同情を買う何かの条件が不足していた印象。ただ倒産しただけでは足りない。

学生運動くずれ、出稼ぎ失敗、そんな人物は、それだけでは共感を得にくい。恨み、復讐、野心、何かが足りなかった。ハリウッド映画だと、もっと個性的な犯人が出てくることが多い。「サブウェイ・パニック」の主犯役は、空いた時間にクロスワードパズルをやったりしていた。あんな粋な演出があると、もっと良かったのでは?

宇津井健が大事な役割、事実上の主役を演じていた。彼の演技については少しオーバーすぎる印象を受けた。もっとクールな人物に徹するか、もしくは恐怖と重圧におののく弱い人物を演じるかしたほうが印象に残ったのではないか?個性が足りない印象。

彼の同僚達は、実際の人物がやりそうな態度を見せていて、わりに自然な感じがした。でも、彼らももっと個性を浮き出して、出世欲だらけの人間や、おべっか使い、能力不足の人間など、いろいろだったら面白かったかも。警察のほうに悪役の俳優を配して、犯人や乗客を騙し、有利な方向に持っていこうとする悪い人間を演じてもらったら、かなりヒネリの効いた作品になったろうと思う。

スピードが落ちると爆弾のスイッチが入るというのは、「スピード」でも使われたアイディア。この作品がオリジナルだろうか?この作品は海外で非常にヒットしたらしいので、そのへんのアイディアへの評価が大きかったのかもしれない。

現金を船に載せて、川岸から吊り上げるアイディアは、最近でもテレビの刑事ものや時代劇でよく見かける。あれも、この作品がオリジナルだろうか?

この作品では、警察が犯人像を暴く時間が早すぎる印象を受けた。実際の事件の場合どうだろうか?何か証拠をつかんでも、連絡や確認に手間取って、中枢部に情報が届くのは遅れることが多いと思う。筆者のクリニックは小さいが、それでも患者さんからの訴えが院長に伝わらないことは多い。事務員が忘れていたりして、半日くらい経ってから言われてあわてることも珍しくない。

警察の場合は特に、曖昧な情報を伝えて間違いと分かれば後で非難される。それが怖いから確認作業が長くなり、結果的に情報伝達が遅れる、それが大きな組織の宿命と思う。大事件の時ほどそうだろう。一部署から次の部署に伝わるのに1時間くらいかかり、映画が終わった後に犯人像がつかめるくらいが本当では?

ネットがない時代。新幹線の底の部分を撮影し、現像して検討判断し、対策を練るのにどれくらいの時間がかかるだろうか?撮影してから現像場所に至るだけでも1時間くらいはかかりそう。現像が早くても1時間、妙な意見を主張する人物がいて検討に時間を要して1時間、犯人は逃げていましたとさってな具合か?

「ミッション・インポッシブル」でのTGVは凄い迫力だった。風の表現のために、大型のファンを使ったそうだ。この作品は、その表現が実にショボイ。考えてみれば100キロ近い速度でも、もう少し風圧がかかるだろうに。しかも2両の列車を並ばせるのは技術的に難しいから、準備と手配だけで10時間以上必要だし、そもそも現実的に併走での物品受け渡しは無理。あの場面は、ないほうが良かった。

昨今のテロは、ただ事ではない。もはやテロの流行と言いたいほど、連日のように世界各地でテロが発生している。昨日はフランスとアメリカの女性が拉致されたし、アフリカでは少年少女の拉致が毎日のように報じられている。日本においてテロが起こるなら、新幹線も良い標的だろう。

難しい爆弾を取り付けたりはしないで、ランチャータイプの武器で操縦室を破壊するか、重要な箇所で線路やトンネルを破壊するのが効果的かもしれない。バッグに爆弾を忍ばせても、航空機ほどうるさくチェックされないから、爆破は可能だろう。

一度爆破が起これば、物流や人の移動には大きな障害が発生する。片付け、捜査、検証から運転再開まで、長い時間を要する。航空機も同時に攻撃されたら、移動の手段が限られ、経済活動全体に影響するだろう。

新幹線と高速と空港で同時に事件を起こすのも効果的。高速は最も簡単。2台の車で走行し、1台を自爆させ、反対車線から逃げるなどすれば捕まりにくい。航空機を狙わず、空港を狙って爆弾テロを行うのも成功率が高い。

・・・ということは、まず狙われると考えて良い。特にオリンピックの時が有効だろう。

 

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