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2015年2月21日

駅 STATION(1981)

Touhou


- 最終的盛り上がり -

射撃選手で現職警官の主人公は、目前で上司を殺されるが、上層部の方針によって現場から外される。その後の事件ごとに心に傷を残す主人公は退職を決意するが、そこに問題の事件の殺人犯が現れる・・・

・・・DVDで鑑賞。この映画は公開時には観なかった。理由は覚えていないが、外国映画のほうに興味が行ってしまったからか?当時、高倉健の映画を観るなんてダサイような気がしていた。今回のDVDだが、年末は誰かが借りていたらしく、やっと順番が回ってきた。年が変わると、さすがに高倉健主演映画も棚に並んでいてくれる。良いことか悪いことか判らないが、彼ほどのスターでも忘却の運命から外れることはないのか。

この作品はテレビドラマのような独特の構成をしていた。脚本が倉本聰だから、こんな形が自然だったのだろうか?ひょっとして駅ごとに新しい女との物語があれば「駅」のタイトルはそのまま生きてくるが、この映画では増毛駅が中心で、駅ごとに話があったわけではなく、設定が中途半端なようにも感じられた。元は駅が全ての章で違っていたのが、ロケ先の関係でそうなったのかもしれない。

雪の降る中でのシーンがかなりあった。降りすぎたら何を写しているのか判らなくなるし、雪が少ないと厳しい気候が分からない。タイミングを見計らっての撮影は大変だったに違いない。しかも映像は非常に鮮やかで、曇った中で撮影したとは信じられないほどよく見えた。技術を要しただろう。

この作品は子供には向かないと思う。途中で少しユーモラスなシーンもあったが、基本は大人向けで静かな話、たまにアクションというか殺人のシーンがあるものの、ほとんどは陰気なシーン。でも恋人と観るには悪くない映画。別れや悩ましい問題、苦しみのシーンが多いものの、ウェットな心情を描いていることに、感情豊かな恋人達は感じるところがあるのでは?・・・おちゃらけた恋人には、お勧めとは言えない。

宇崎竜堂や根津甚八がチンピラ役で登場していたが、非常に若い。超大物の高倉健の前では引き立て役に過ぎなかった彼らだが、それぞれに良い味を出していて、映画全体の雰囲気作りに皆が徹していることを感じた。根津の登場はほんのわずかな時間に過ぎない。でも、線路を歩いて来る考えが軽そうな姿や、自分が見張られていることに気づく時の表情は実にリアルで、本当のチンピラみたいだった。

冒頭のいしだあゆみの表情(画像)も素晴らしかった。笑顔をどう見せるかが難しいところだと思う。やや笑顔過ぎるくらいにするのがコツだったのかと思うけど、実際にそれをやるのは簡単なことではない。ただ泣くだけに終わってしまってはいけないし、未練を表現しないといけない。短いシーンで自分に求められる演技を出す力に感嘆した。

烏丸せつこも懐かしい。筆者にはグラマーなグラビアアイドルのイメージしかなかったが、この映画での演技を見ると只者ではない。偶然スカウトされたカワイコちゃんではなく、ちゃんと自信があって芸能界に入ったのだろうと感じた。

60-80年代というと、景気が良くて若者が血気盛んな時代のような印象があるが、北海道の田舎の場合は過疎や交通の不便、古ぼけた建物が目立つ街並みのまま、昭和の時代そのままだったのだろう。今は開発が進んで街にはコンビニもできて・・・でも過疎はひどくなってるかもしれない。もはや映画のロケには向かない姿かも。

適度にさびれた街なら絵になるが、崩壊寸前だと観たくない。シャッター通りと化した商店街を舞台に映画を撮るのも難しい。風情が保てる時代と場所でないと、映画の舞台にはなれない。この作品のロケ地はいずれも素晴らしい場所だった。

独特の構成、駅と女を中心に物語が複数あり、しかも互いにつながりがあるという、いかにも脚本らしい脚本、ドラマらしいドラマ。良いアイディアだった。主人公のキャラクターも、他に考えられないほどストーリーに合致し、物語の背景となる時代や北海道の田舎という土地柄など、全てが物語性を高める効果があって、良くできた話だったと感嘆。

ただし、個人的には心の奥底に響くほどの感動を感じなかった。なぜかテレビドラマ的な雰囲気を感じてしまった。高級感に欠けている印象。役者達それぞれの演技には何も問題ないし、それどころか皆々が一世一代に近い出来栄え。撮影技術も脚本も良い出来栄えだと思うのだが、なぜか分からない。物語が複数あったことで、焦点が分散してしまったせいかもしれない。

最終的に戦う敵に向かって、ただ主人公が辛酸をなめ、耐え抜いていくのなら絶対に感動せざるをえない。でも、庶民各自の生活が丹念に描かれ、分断されたストーリーとなると、最終的な盛り上がり=仇敵との対決の効果は減じてしまうのかも知れない。出来上がって初めて分かることかもしれないが、一本つながる単純な話のほうが、映画全体の後味は良いのかも。

つまり、所詮はテレビ向けの企画だったのか?例えばの話、妻と離婚する原因が、上司の敵をうつために殺気を漂わせる主人公を妻が怖れ、愛想をつかしたから、そんな流れで話が進んだら、全体がつながって単純化される。あまりにアザトイ設定だろうか?

 

 

 

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