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2015年1月10日

グランド・ブタペスト・ホテル(2014)

Fox

- 徹底 -  

風光明媚な山上に位置するブバペストホテルの支配人とボーイが中心となる、大富豪の富をめぐっての戦いと、ホテルをとりまく人々の運命を描いた作品。

最初は古いホテルを舞台にして、支配人の生き様を通じて人生の深い味わいを描くのかと思っていた。出だしの調子は完全にそんな感じ。でも、ややコメディ調で、独特の間があることに気づき、やがて大活劇になってしまい、最後まで興味を持って観る事ができた。

この作品は本当によく出来ていた。脚本、原案が良かったようだ。ウェス・アンダーソン監督のセンスの良さに感服した。独特のアニメ調のシーンが笑える。クセがあるので、しらける人には受け付けられないかも。

モデルになったホテルの映像を何かで観たような気がする。戦前の世界の高級リゾートを紹介する映像の中で、確かドイツかオーストラリアにあるホテルではなかったか?筆者には理解できないが、使いきれないような資産を持つ種族が、国際的社交を展開する場所があったらしい。そこをイメージさせた。今ではどうなっているか知らないが。

「ファンタスティック・Mr.フォックス」と同じような、アニメチックなシーンがあった。素早い動きでユーモアが感じられ、しかもダイナミックに表現できるので、非常に便利な手法と思う。他の監督が使うとオリジナリティの面で少々問題があると思うから、この手法は監督独特の物になりそう。恐怖の逃避行のシーンでも、あれなら楽しめる。恐怖が必要なシーンでは真に怖く撮れば良い。使い分けができるのが素晴らしい。

レイフ・ファインズが主役の支配人グスタフを演じていたが、本来ならヒーロー役に合うような俳優のほうが良かったのかも知れない。タフで頑固で独特の哲学と強い意志を持つイメージは、レイフ・ファインズから感じられるだろうか?でも、ちょっと似合わない弱そうな彼が堂々と戦う感じは、一種のユーモアにつながっていたのかもしれない。

結果として魅力的な支配人に思えた。有閑マダム達をたぶらかすのは善人とは言えないだろうが、野心と努力で大金を得ようとする姿は、涙ぐましさを感じて応援したくなる。そこが共感につながっていたように思う。

エイドリアン・ブロディ、ハーヴェイ・カイテル、ジュード・ロウ、ビル・マーレイ、エドワード・ノートンなど、多数のスター達が共演していた。おそらく企画の成果や、監督の能力への信頼などが出演につながったのだろう。確かに才気を感じる。

撮影したホテルは、百貨店を改装して撮影したらしい。確かに百貨店はホテルと共通する広さや豪華さを持っている。よくある吹き抜けの部分も、考えてみれば意味は全く同じだ。広大なスペースを持つホールは、豪華なホテルの雰囲気、郷愁のような憧れを感じさせてくれた。徹底して再現したことは、『確かに効果的だった。

ドラマや逃避行ばかり演出してても仕方ない。それより一段上のレベルの作品を作るためには、郷愁や人生の達観、哀感のようなものが必須。懐かしく、憧れを感じるような雰囲気と共に、苦労して守った恋人を病気で失ってしまうような哀感が。この作品のストーリーは、その点にもぬかりがなかった。

再現された優雅さが、大戦や冷戦をきっかけに失われてしまったのだろう。筆者は欧州の一流ホテルに泊まったことはない。大衆向けのドヤドヤしたホテルしか知らない。昨今の円安だと、海外旅行は大損するような気がして、まず行けそうにない。でも、できることなら優雅なクルーズで豪華客船から一流ホテルへと渡り歩いてみたい。そこで何が感じられるか試してみたい。

貧乏症だから、金の残高ばかり気にしてるかも知れないが・・・

 

 

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