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2015年1月19日

ディクテイター 身元不明でニューヨーク(2012)

- 意味はあるか?  -

アフリカ北部の独裁者が国連で発言するためにニューヨークにやってきた。そこで拉致された彼は浮浪者と間違われ、自然食品販売店の店員になる・・・

・・・サシャ・バロン・コーエン主演のコメディ。冒頭で‘金正日に捧ぐ’というギャグが入り、どんな作品か分かってくる仕組み。そんな色々な仕掛けが随所に見られた。

アイディアがあふれた作品。独裁者の個性、敵対する人物や好意を抱いてくれる人物、ドタバタ劇があれば、シニカルなジョークもたくさんあって、話としてちゃんと成立しながら、バカバカしいシーンで笑わせる仕組みがちゃんとあった。アイディアだけじゃなく、企画力にも優れていないとできないこと。

ただしコーエン自身の演技は特別に優れているとは感じない。動きで笑わせる志村けんのほうが、役者個人としては数段面白い。あくまで設定やストーリー、周囲の人たちとの関わりの中での笑いにに限定されていると思う。だが、主役の個性の設定は見事だった。

もっと現実的なキャラクターにすることも可能ではなかったろうか?「星の王子ニューヨークへ行く」の際の主人公はまともな人物だったが、王族の一員。まともに演じることで笑いがとれてしまっていた。周囲がおかしかったからだろう。今回の独裁者も、大真面目の演じ方だったら、違った形でおかしかったかもしれない。

もっと小柄な俳優が主演すると良い。大真面目に怒って、何か酷いことを相手にしようとするが、いかんせん相手は2m近い巨人で、殴られてもこたえない。皆に無視されるか遊ばれるというのは常道のひとつだと思う。

全体的に評価し、この作品は今ひとつかなという印象。大笑いが期待できるとは思えない。暇つぶしの対象ではないか?子供や恋人とと観るのも可能だと思うが、あえて非常に勧めたいとは感じなかった。毒のある笑いが好きな人には受けるだろうが、しらけるか憤慨する人だっているだろう。皮肉を表現する手段としても、表現方法が非常に優れているとは思えなかった。

性的なジョークは少なめだったが、残虐性を笑いにつなげる部分はあった。映画の場合、残虐性につながる表現は、勘違いして大きく作品の評価を落とされる危険性があり、表現が難しい。この作品でも全てが上手く笑いにつなげられたとは思わない。笑い方を考えないといけないようなシーンもあった。

そもそも、この種の企画は、敵国のテロリストの怒りを買わないかという問題がある。最近はソニーのコメディが北朝鮮の批判を浴びて、何かの妨害工作を受けたという。それがかえって宣伝になって、作品はヒットしてるらしいが、実際に爆弾騒ぎなどが起これば、風評被害によって興行は大失敗に陥ってしまうだろう。

監督や役者達にも勇気が要る。殺人予告くらいは覚悟しないといけない。このような作品に命を賭けることが出来るのか、その意味があるのか筆者には疑問。

たしかに表現の自由を守ることは大事。宗教的な違いから、他の宗教に皮肉を表現していたフランスの新聞社が先日襲われてしまったが、この種のテロはなんとしても避けないといけない。皮肉な表現が標的となれば、真正面からの非難もやがて標的になるだろう。非難自体が危険な時代が来れば、ナチ時代の再来が懸念される。

ただ、ナチ時代と今とでは移民の多さや人の移動の規模が違うので、テロの予防は非常に難しいと思う。欧米の場合は、かっての植民地支配や、手っ取り早い低賃金労働者の確保に走ったことが、今になって騒動の元になっていると思う。日本の場合は異常なほどに治安が良いので目立たないが、朝鮮半島や中国出身者は多いので、やがては対立も大きくなるかも。

昨今は中国人が非常に増えた。いろんな職場に進出している。バイタリティあふれているし、凄い金持ちも多いし、日本人との結婚も多い。将来、融和の方向に行くかどうかが問題だが、普通に考えると何も対立が生じないはずはない。

欧米の場合、移民というのは経済成長には必要だったろうが、大きなツケを払うことになった。アラブ系の住民を捜査し管理すれば、それがまた感情的対立の原因になるはず。仕事を与え続けないと険悪な雰囲気が蔓延するし、排斥も隔離も反発を生むとなると、欧州は非常に難しい情況。好景気を維持し、国民として意志を共有し続けるためには、対外戦争くらいしか解決策がないかも。それも一時的な効果しかないだろうが。

 

 

 

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