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2015年1月25日

ラン・ローラ・ラン(1998)

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- 純愛映画だったんだ -

ドジって組織の金を失ってしまった男を救うため、恋人のローラが街を走り、金を手に入れようとするストーリー。なぜか物語は三種類ある・・・

・・・ローラ嬢は走りが得意そうな体型ではなく、がっしりして格闘技にも適応できそうな印象。彼女が走るシーンが自然に写るためには、かなり痩せていないとおかしい。だからヒロインは交代すべきでは?という心配は私だけだったのだろうか、無事に走りきることに成功していた。

ヒロインを応援したい気持ちになった。それだけで、この作品は大成功だったのだろう。公開当時も話題になった。忙しい時期でとうとう観れなかったが、やっとDVDの存在に気づいて鑑賞。もう古い映画になってしまっていた。

彼女が長々と走り続けるシーンは効果的。躍動感が出ている。バイクを盗まれたから走らざるを得ないわけで、そもそも盗まれたから恋人との待ち合わせに遅れたことと、ちゃんと辻褄が合っていた。走っている彼女を見ていると、自分も移動しているかのような気分になる。ちゃんとリズムが出るようにカメラも移動し、よく考えて調子が悪くならないように、躍動感が損なわれないように撮影されていた。

手をぬいたような変なアニメが突然始まった。懐かしいポップアート調で、急に挿入されたことについていけない観客もいたのではと気になるほどだったが、筆者には面白く感じられた。元々重厚な映画ではないから、無茶な演出があっても普通のことと思えたからかも。「ゴッドファーザー」のような映画では使えない手法。

3種類の物語が繰り返される点も面白かった。時間軸を移動するようなSFの意味ではなく、ただ話を面白く感じるためだけの設定だと思うのだが、それが許されること自体が面白い。「どの話が本当なんだよ、どれが空想なんだよ。」と文句を言いたくなるような無粋な観客はほっておいて、いろんな話があったら面白いという発想のまま映画にしちゃう、その感覚がいい。好みは分かれるだろうけど。

ヒロインの走りの躍動感、あまりにも自由な作風、それぞれの話のまとまり、最終的な結末への期待感など、うまく噛み合って最後まで興味を失わずに鑑賞することができたように思う。自由な作り方も良いもんだ。

自由は良いもんだ。仮に映画が国家によって管理され、脚本にも役人の厳しい注文がつくようになったら、こんなアホみたいな作品は許されないだろう。犯罪者を英雄視している危険な企画として、最初から撮影許可が下りないかも。旧共産圏では、ちょっと考えにくい発想の作品だった。

そう言えば、2014年の年末に、キューバと米国の国交が再開しそうだという報道があった。時代は変るもんだ。キューバを支援する国は少なくないと思うのだが、ロシアから石油製品が入手できても、代金となる輸出はサトウキビやカクテルくらいしかないのでは?収支の面を考えると、いつまでもロシア中心は考えにくい。やはり米国と近いのだから、観光を始めとして多くの業種での交流が望ましい。

ただし、キューバの今後は3種類以上にわたる、多くのパターンが予想される。①新しい楽園が世界中の観光客を呼んで、豊かな国が形成される可能性もあるし、②かってのように犯罪者がうごめく歓楽街が出来上がるかもしれないし、③亡命したキューバ系米国人達による復讐、急な経済的変動による暴動など、悪い変化も起こりうると思う。豊かさと引き換えに、怖ろしい時代がやってくるかも。

ゲバラ氏が地面の底で泣くような事態にはならないで欲しい。

この作品は、家族で楽しむタイプではないと思う。子供には基本として向かない。でも恋人と観る映画としては、いまだに最高かも知れない。恋に関しては非常に真摯で、互いを裏切ろうとかいう発想すら全くない純愛映画でもあったから。

 

 

 

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