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2014年12月21日

野生の証明(1978)

Touei

- 迫力 -

特殊部隊の訓練中、偶然に人を殺してしまった主人公。罪の意識から除隊して、贖罪を果たそうとする中で、かっての仲間や地方に君臨する勢力と戦うことになる・・・

・・・公開当時は高校時代だったか、非常に話題になった作品。珍しいほどの大作というイメージがあった。薬師丸ひろ子の可愛らしさ、高倉健の迫力、角川映画の宣伝の凄さが印象に残っている。「人間の証明」と‘証明シリーズ’になっていた。でも、作品の出来の評価が高かったとは思えない。今では知らない人のほうが多いのでは?

原作が、そもそも映画を作ることを前提とし、角川文庫が映画製作、優秀なアイドル的子役を発掘し売り込む、日本映画のチマチマした予算を逸脱する規模の撮影、宣伝。ハリウッド流の企画を推し進めた力を感じた。他の映画と異質のものを感じる。キャッチコピーとなるセリフを強調する売り込み手法にも、始めて気がついた。

子役の薬師丸の変化に愕然となった。彼女は今でも母親役で良い味を出して、上手い役者だなと感心するが、見た目の変化にはただただ驚くばかり。この作品の当時はピチピチして肌の弾力が感じられるが、昨今の彼女は目の回りの印象が激変して全くの別人のようになってしまっている。丸顔のまま、シワが増えて色気は・・・かわい子ちゃんの運命を思うと、残酷なものだと涙する。

いっそ作品など残ってないならいい。彼女は今でも美しい女優であり、年齢相応の魅力を持っていると言える。ピチピチ時代の記録が鮮明な作品としてあると、どうしても比較されてしまう。女優という商売は実に残酷。

高倉健も晩年の役柄とは随分と違う。この作品の頃は、まだ戦闘員が充分に演じられる。もともとアクションスターだったのだ。黄色いハンカチの時代より少し前の、若い頃のタフなイメージのままの役柄だった。そして充分に役と個性がかみ合っていたと思う。

ちょっと思ったのは、彼のような痩せ型体型では、殴られたら厳しい。直ぐに骨折する運命にある。殴られ強いのは、肥満体のレスラー~力士タイプ。したがって、この役は引退した力士に登場していただくのが本当なんだが、それでは観客が怒る。だから、殴られ強いという設定は変えたほうが良かったかも。

懐かしい俳優達の若かりし時代の映像が出てきた。舘ひろしの若者役は、今では想像もできないほど。30年以上も前だから当然だが、印象が全く違う。この頃は完全に悪役の目つきだった。デスク役の田村高廣が若く見える。この後、わずかな間に老人役を演じるようになってしまったから、この時代は若作りしていたのだろう。充分に役割を果たしていたように思う。

役割と言えば、中野良子が素晴らしい。当時も今も流行の顔ではないのだが、声や色気が良い。二役を演じ、しかもヒロインの役割も果たしている。憤るシーンでも躊躇するシーンでも常に色っぽく、感情のこもった解りやすい演技を心がけているように感じる。この作品には他にも多くの役者が登場しているが、皆がノッているように思う。皆がそれぞれの役割を演じることに集中しているような気がする。

ヤクザ者達の素振りのひとつをとっても、他の映画とは少し演技の仕方が違う。はりきっているような気がしてならない。現場の雰囲気がよかったのだろうか?監督かアクション担当の人の指示が違ったのだろうか?

DVDで鑑賞したのだが、場面の移り変わりが非常にアバウトで、急に場所や時間が変ってしまう。DVDに納めるために多くのシーンをカットしてあるだけかもしれないのだが、不可解な変化が気になった。例えば、戦車が数台登場して川を越えるが、そこから主人公の位置に至る連携ができていない。ただ迫力ある進撃を撮りたかった、主人公と対峙するシーンを撮りたかった、間のことは忘れていた・・・そんな印象。

さて、現在の自衛隊に特殊部隊はあるのだろうか?いわゆるレンジャー部隊が、それに近いのかも知れない。小学校の傍の谷で実演をやるのを見たことがあるが、動きは遅いし、身のこなし自体がアクション俳優ほど格好良くなく、訓練されて凄いという印象は受けなかった。

実際には重い装備品をしょっているはずだから、早く動けるはずはない。おそらく作戦の大半は沼地や泥の中など、敵が予想していない場所から進んでいくだろうから、汚れにまみれて傍に寄れないほど汚れた姿が日常になるのでは?

米国のシールズ部隊との性格の違いはよく解らない。役割は似ているはずだが、空軍に属するか陸軍かといった違いだろうか?そもそも陸軍の場合、ゲリラ相手の作戦は日常的に起こりうると思う。皆が藪の中や川の中を主戦場とする訓練を受けるはず。突撃部隊、死守部隊、暗殺専門、諜報専門など、訓練の中で選別すべきだろう。

常識で考えて国内での訓練は危険。無人島のような場所でないと、何があるか分からない。先日は矢部のそばの演習場にオスプレイがやってきて訓練をしていたそうだが、近くには民家もあるわけだし、危なくて仕方ない。映画のようなことは滅多に起こらないはずだが、極限まで訓練すれば、他の形での事件は起こるはず。

この当時、まだハンググライダーは珍しかったと思う。おそらく米国人のスタントマンが演じていたのだろう。格好は良いが、ハンググライダーやパラグライダーは発見されたら終わりなんで、実戦では怖い道具だと思う。

戦車もヘリも米国製だったらしい。民間のものを借りたとなると、映画用に購入した他の映画会社から借りたか、まさか武器商人と交渉したのか?戦車のシーンは本当に迫力があった。普通の日本映画では1台くらいしか出てこないが、やはり迫力を生むためには数が大事だった。

日本映画に欠けていた類の魅力を感じた。戦車の迫力もそうだが、ハリウッド映画的な手法が随所にあり、殺人のシーンもえらくグロテスクで、リアルさを出そうという姿勢が感じられる。夢でうなされる子供がいたかも知れない。今でも、子供には勧められない映画と思う。家族で観るのも、その点で好ましくはないかも。

 

 

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