映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 鑑定士と顔のない依頼人(2013) | トップページ | グリフィン家のウェディングノート(2013) »

2014年9月19日

ブロウ(2001)

- 悪態の影響 -

8月23日、衛星放送で鑑賞。実在の麻薬ディーラーであるジョージ・ユングの自伝小説を元に作られたらしい映画。

彼はいわゆる麻薬組織のギャングというより、個人で仲介する業者のようで、そのためかギャング団を従えて殺しあうような犯罪者ではなく、それで出所が可能らしい。といっても有害な薬物で金を儲ける人物がヒーローのように描かれるのには、多少の違和感を感じる。

基本として、子供に見せるべき映画とは思えない。アウトローの魅力を感じてしまっては、とんでもない方向に道を外してしまいかねないから。恋人と観るのも勧められない。恋は結局は破綻してしまったようだから。

彼の生い立ちに、悪態をつく母親の存在が大きかったことが重視されていた。悪態の影響に関する分析、描き方は秀逸だと思う。さらに家族思いの父親への尊敬と愛情は、資産を得るという強い欲求につながったようで、そのためには犯罪も厭わない生き方に結びついたようだ。金のことで悪態をつく際の母のセリフが、後年そのまま自分の奥さんからも発せられるのは、一種ギャグ的な展開だったが、そうかもと納得できた。

苦しい時代は、家族が協力して乗り超えようと考え、家族の中で罵りあうようなことは避けるべき。親の口論を聞いて育った子供は、自分が生まれてきた意義を見失いかねないし、努力や我慢が良い結果につながらないというセンスを持ってしまう。努力せずに一攫千金だけを狙う生き方や、金が全てといった感覚につながる。

クリニック開業直後や、家を建てた後で金がない時代でも、筆者の家内は節約しようといった気配は全くなく、むしろ余計に出費したがった。それに、映画の奥さん役と同じような態度で常に機嫌が悪かった。「とにかく、金を見せろ。」と、そんな口調。だから、あれは女性一般に広く見られる症状だと考えたほうが良いのかも。

「自分は豊かになるためにコイツを選んだが、金がないのは騙された気分、サギだあ!」と怒っているのだろう。事前に「しばらく非常に金がなくなるよ、わかってるよね。ね、ね。」と念を押しておいても、何の意味もなかった。思い通りにならないからサギだという気分だけで、事実に関係なく怒ってくるのであろうと想像。

主人公を演じていたジョニー・デップは、犯罪者役に向いているのか分からない。海賊役のイメージが強い今だからそうかもしれないが、何かユーモアたっぷりの盗賊姿を期待してしまうので、結果的にはミスキャストだったのかも知れない。この作品に喜劇の要素は少ないので、他の二枚目俳優でも良かったかも。それこそ、レオ様のほうが向くように思う。

ペネロペ・クルスは超色っぽいシーンも、ジャージを着て毒づくシーンも見事に演じていて、こんな役には抜群の女優だと再認識。今の若手だとジョネファー・ローレンスがきっとやりたがる役だろうが、色気の部分ではペネロペ姉貴には敵わない。

レイ・リオッタが真面目な父親役を演じていたのは、一種の逆説的な狙いがあったのだろうと思う。奥さんから酷い言葉をかけられる姿は、筆者自身の境遇を想像して涙なしには見れないようなものだったが、彼は非常に上手く演じていた。悪役のギャングも、やらっれっぱなしの情けない人物も演じることができるから、便利な俳優。

主人公のユング氏は、近々仮(?)出所するらしい。映画を観て気になった点は、彼がパナマの銀行で資産を失ってしまったという話。

大金を得て生き残っている犯罪者は、基本はかなり用心深いと思う。一箇所の銀行にだけ資産を預けることは少々考えにくい。リスクを分散するため、普通は資産も分散するだろう。元の資産が膨大だから、一箇所でも残っていれば裕福なはず。どこかに隠し財産があるだろう。現金をどこかに置いてあるのでは?当局や敵の連中もそれを狙っているに違いない。彼は出所したら、直ちに狙われる運命では?

それにしても、麻薬取引は動く金額がとてつもないようだ。マンションの部屋が札束で埋まってしまうシーンがあったが、金が集まるところには、とことん集まるものらしい。一介の中間業者に、あれだけの金が集まれば、必ずそれを奪おうと考える人物が出るはず。そして、それは多くの場合、仲間だろう。

アベノミクスの今後の行方は不安。今の景気は、円安の影響と米国の経済成長が主に支えてくれているように思う。財政出動で国の借金は膨大な額になっているはずだが、昨今はあまり批判されない。皆が忘れてしまったのか?もともと第三の矢・・・を考えつけるくらいなら、とっくに誰かやってるだろうに、批判が少ないのはおかしい。

理論的には脆弱な政策なのに、運よく支持はされているという印象。国民の間に、どうにか現状を打破して欲しい、そのためには胡散臭くても構わない、政局が安定し、審議がなくても次々法案が通るような状況が欲しい、正しくなくても構わない・・・そんな心情が働いていたような気がする。期待感だけで持っているが、失脚や裏切り、仲間割れが急に襲ってくる危険性はあると思う。

実力が伴う政策とは本来のところ違う。不安感は既に皆持っているから、外国資本が日本の証券市場から資金を回収すべき時期が来たら、一気に不況とインフレが来るかもしれない。政治家仲間達からも裏切りが噴出するのでは?

 

« 鑑定士と顔のない依頼人(2013) | トップページ | グリフィン家のウェディングノート(2013) »