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2014年8月17日

清須会議(2013)

- 逆転不足 -

本能寺の変の後、清洲城に集まった家臣たちが勢力を争って陰謀をめぐらすが、肝心の柴田勝家は恋に夢中といった話。DVDで鑑賞。

あまりおかしい話とは思えなかった。いつもの三谷調とは勝手が違っていたのか?

三谷監督の映画は、どれも舞台劇の雰囲気が出ていて好きだが、この作品は扱ったのが有名な会議で、本当は全く笑えない陰謀と裏切りの話なんで、そもそも舞台設定として良くないと思った。基本的に観客が爆笑できるためには、血なまぐさい話からは離れるべき。

脚本が出来た時点や、原案を映画会社に持って行った時点で、この企画がどうなりそうか、たぶん誰にも分かっていたのではないかと思う。どうして話を進めたのだろうか?少なくとも我が家の子供達に、この作品を勧めたくはない。恋人と観る映画とも思えない。友人にも勧めがたい。どんな笑い方をしたら良いのか迷ってしまうような作品なのだ。むしろ架空の城の勢力争いのような話のほうが絶対に良かったと思う。

同じ設定でもいい。どこかの国の城主が急死して、跡目をどうするか会議を開くとする。お色気で自分を売り込もうとする女性達の争いと、裏切りや陰謀でごちゃごちゃになる家臣たちの動向が、逆転に次ぐ逆転で、そのたびに人々が右往左往する様子を描いた方が絶対におかしい。清須より、自由に設定できる会議の方が良い題材だろう。

二転三転の形勢逆転は、この種の話には必須と思う。だから、秀吉が何か策を講じて、事前に家臣たちに金をばら撒いていたことが分かり、勝家側は急遽、主要なメンバーに数を減らすことを提案し、これに対して秀吉は裏をかいて・・・といった、明快かつ姑息な手段での逆転が必要だったと思う。

黒田官兵衛さえ裏切って、勝家側に通じてしまう・・・そんな自由なやり取りもあったほうが良い。史実から離れてしまっても、喜劇なんだから構わないと思う。当然、主人公は負けた武将のほうで、しっかり正攻法で対策を練って会議に望んだのに、相手側が奇想天外、常識外れの方法で形勢を逆転し、こちらも過剰に反応して裏をかこうとするが・・・と、延々繰り返すとおかしい。

宴会の面白さが勝負になるのもどうだろうか?家臣を味方につけるため、楽しくおかしい宴会を互いに競うといった話なら、無茶をするのが自然な流れになり、作品も無茶でハレンチ、教育上最悪の凄い映画になる。

観客を驚かせたければ、ミュージカル仕立にしてしまう手もあったと思う。西洋風の音楽は妙だろうが、両陣営とも宴会で接待をやらかし、バカな芸を見せて踊り明かす戦いはどうだろうか?宴会芸の凄さで勝敗を決しようという無茶な話は、結構シュールな展開になるけど・・・無骨な武将達がダンスをすれば、普通はおかしくなるだろう。それくらいしないと、この企画では興味をつなぐのは難しい。

面白いシーンもあった。主演の大泉が相手の反応にコケル場面は概ねおかしい。漫才番組のコントのレベルとしては上質。下品でない。だが、あくまで爆笑ものではない。テレビや舞台のコントと映画のコントは、声の使い方や動作の早さといった約束事が違うと思う。テレビで大人気のコメディアンだから映画でも全て問題ないとは言えない。妻夫木聡が演じたバカな侍の言動も面白くはあったが、爆笑できるだろうか?

誰か、とことん酷い目に合う役が必要だった。皆に疎まれ、無視され殴られ、怪我をするような惨めな立場の人間が必要。何か中途半端に真面目なキャラクターばかりだったように思う。

お市の方のキャラクターも違和感を覚えた。実際にお市の方が秀吉をどう思っていたのか知らないが、手なずけようと画策する方が自然だし、浅ましいほうが映画の人物としては魅力的であろう。秀吉を毛嫌いさせても、何も良いことはない。

寧々婦人のキャラクターも不可解。良い女房だけでは、深みが足りないと考えるのが普通ではないか?裏で彼女なりに何かのあくどい行為をさせないと、物語にならない。ただの田舎の奥さんとして描くなら、もっと徹底的に何もかも勘違いした場違いな女として描くべきだった。実は裏で敵方の武将全員と寝ていて、全ての流れを股間で作っていた・・・なんて怖い話でも良かったように思う。それくらいの逆転劇が必要。

 

 

 

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