映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 恋人はセックス依存症(2012) | トップページ | ソルジャー・ブルー(1970) »

2014年6月30日

図解 太平洋戦争(西東社)

- 理解不足でした -

2014ワールドカップ予選で、日本は良いところを出せず敗退した。パワーや、攻撃のセンスに明らかな差があったし、戦略に関しても疑問を感じた。でも、パスサッカーでやれるところまでやるという方針を貫いた一貫性はあった。それで通用しなきゃ、仕方ない。玉砕するだけだ。

私が感じた問題点は、①体格が小さい日本は、基本として動きで圧倒しないと勝てないこと。②フランスやスペインのパスサッカーを真似ても真似きれてないし、既に対応策を練っている今のサッカーには勝てない。③FIFAランキングが低い日本は、基本は守るべき側で勝ちに行ける立場ではない。④サイド攻撃にこだわっても、身長が低い日本側は不利。フリーキックや、ドリブル突破、カウンター狙いが基本。

足は遅いが、センスで勝負する選手が日本には多い。この点で厳しい。強引なドリブラーの斉藤や、斜めからのパスを出す酒井のような人間、飛び道具を持つ中村のような選手のほうが、まだ期待できたと思う。基本戦略、攻め方、引き方、体力の消耗、それらを適切に管理しないと勝てるものではない。

いっぽう、昨今は‘集団的自衛権’をめぐるニュースが多い。公明党が非常に苦しい立場。自民党の意見を容認すれば、学会が訴える戦争破棄の姿勢が反故にされた格好になる。党の存在意義すら失いかねない問題に、どう対応するのか興味がある。だいたい決まっているようだが・・・戦争に関して気になって、この本を購読。

この本の解説が役に立つかどうか分からない。今後の戦争は、武器も進歩してるから予想できない展開になるかも。帝国主義の時代とは戦いの仕方も違う。核兵器を複数の国家が持つ状態で戦争になったら、シビアさが違う。軍事の専門家たちの分析も、今後の展開の予測には役立たないだろう。サッカー解説者の意見だって、今回はほとんど役に立たなかったから。

それに、戦史というのは真実が書かれているか、誰にも分からない。さらに評価は、おそらく戦勝者側の視点になってしまうと思うし、客観性を検証しようもない。テレビに出てくる専門家達は断定的に物を言うが、どこまで正しいのか評価もできない。だから遠慮していた。この本は簡単にまとめられている分だけ、著者の思い入れがないのではないかという期待の元に、購入。

読んだ印象として、基本的には日本側の観点が中心で、東アジア諸国の側からの視点は乏しいように思えたが、日本による犠牲にも触れてはいた。そこそこ中立的と言えるかも。山本五十六あたりには、かなり恣意的な賛美があったと感じた。それも戦中派に影響を受けた人には広く見られる傾向。

近代の戦争で個人で英雄というのは、そもそも概念として成立しにくいとも思う。情報戦や技術力の勝負では、国家を代表する優秀な連中がギリギリの競争をやり、それに負けたら劣性は決定的。国家の総合力を集結して戦うので、優秀な将軍が活躍するより前の段階で、勝負は決まっていることが多いはず。

この本の優れた点は、具体的な数字を示して、国力や戦闘力の差を比較している点。数値が正しいかどうかは分からないが、記載通りなら、開戦時の戦闘機や航空母艦の数に関しては、大きな差はなかったようだ。もしかすると当時の軍部が戦えると考えたのは、全くの勘違いだと言えないかも。意外に戦闘力は備えていたようだ。

もちろん国力全体で言えば、蓄積された技術力、資源など、総ての面で桁違いの差があったはずだが、日本も貧しいなりに軍事国家として戦闘力だけは相当あったようで、私は勘違いしていたようだ。

私が以前から持っていた疑問を単純にまとめると、①大戦前の交渉で、戦争を避ける手はなかったのか? ②中国に進出し、さらに戦線を拡げた理由、③アメリカの意図、④インパール作戦やインドシナ占領は必要だったのか、といった点。いずれの疑問も、結局は読んだ後も分からなかった。多くの人間が関わった戦争だから、思惑が絡みすぎて誰も理解はできない気もする。

①最も大きな疑問は、戦前のアメリカとの交渉の仕方が適切だったのか、そして戦争に踏み切った理由。今の時点で考えれば、どうも太平洋戦争は最初からまずい戦略に基づいた気がしてならないのだが、米国側が戦争をチャンスととらえ、無茶な要求を繰り返していたなら、戦略のとりようがないかも知れない。

石油の第一の輸入先であるアメリカと戦うのは常識外れだが、この点を当時の首脳達はどう考えていたのだろうか?オランダ領を占領すれば補充できるという読みだろうか?でも遠い南洋と日本の間で石油を運ぶルートを維持するのは難しい。仮にいったん占領したとしても、それを維持できると考える根拠はない。アメリカと戦うという選択肢は、最初からなかったと思う。

それでも戦った理由は、満州の権益が死活問題だったからだろうか?巨額の公共投資をしていたことは間違いないが、市場を失う選択がありえないこと、あそこが日本の生命線だと確信する、その理由が判らなかった。投資額や予算配分、景気指数などが具体的に書いてあれば、私にも理解できたかもしれない。満州からの撤退は、本当に非現実的な選択だったのだろうか?

景気が悪い中、食うや食わずの生活で投資し、ある意味で誰もが夢をかけて朝鮮半島や満州に進出したのに、あっさり捨てるのは許し難い・・・そんな感情的な執念が、結局の理由ではないか?・・・大まかに、そんな感想を持っているのだが、どうだろうか?感情や執念は、冷静な判断を許さない。そのせいで戦略的撤退を拒絶しても不思議ではない。

②中国で戦線を拡げる必要性。満州に経済的魅力があって、そこを守るために財閥から要望があったとは思う。内務省の役人達も、おそらく野望を持っていたのだろう。満州は自分達の出先になるし、何かやれば業績になる。金融恐慌の時代、自由に使える市場は‘確信的権益’だったのだろう。財政の資金工作は、実際にも相当やったようだ。でも、そこらの解説が、この本にはない。他の本を読めということらしい。

ただし、守るだけじゃなく、満州外に出て行く理由は不充分。明治時代の日本は、ロシアの進出を阻止するために大陸に進出した面が強く、基本は守りの性格だったと思う。守りの場合は、戦線を広げて敗北すれば元も子もない。中国のどこかに石油が大量に出るような条件がない限り、全土の支配は意味もない。長期の全国的支配も最初から不可能。

中国内で戦う場合も、安定した石油入手が可能で、制海権、制空権を確保できる保障がなければ、危なっかしいのは間違いない。どう思い切ったのか、結果的になぜ間違ったのか、そこが分からない。ただ、破滅を避けるために攻撃すべきという原則もある。有利な条件は、基本的に実効支配したほうが主張しやすい。当時は絶対に支配地域を広げ続ける必要があると判断したのか?

③アメリカ側の意図。アメリカが戦争を望む場合、日本側には避ける手がなかったのかもしれない。鉄も石油も握っているから、日本は基本的に影響下の国。良き市場のはず。石油などの禁輸に踏み切る必要があったのか?もっと支配を深めたかっただけか?

日本にとってはアメリカの思惑が最も重要なんで、その点を解説して欲しかった。公文書はあるはずだから、大戦前の米国の戦略は明白だと思う。そこを私は理解できない。欧州に覇権を拡げ、広大な市場を持つことは第一の戦略。ドイツを放置したら、おそらく米国の利権は失われただろう。太平洋も重要な市場だから、日本の進出は好ましくはない。でも、それだけで石油や鉄を禁輸するだろうか?

アメリカが本当はどんな要求をしていたのか?通商上の条件を色々出していたはず。おそらくは米国と通商し、満州あたりにブロック経済圏を作るなとか、関税の額、規制の緩和などではないか?まさかハル・ノートの通り、中国からの撤退だけを求めていたはずはない。

米国も中国の権益に野心を持っていたのだろうか?普通に考えるなら、アメリカは当時既にフィリピンなど、金のかかる直接支配から撤退し、経済的な権益だけを維持したいという方針であったのでは?それほど中国に肩入れする理由はないはず。

中国が、当時の米国でどう考えられていたのかに興味がある。有望な市場と考えるのは無理と思うのだが、私の勘違いだろうか?国民党政権に期待していたとしても、通商の相手として有望と思えたのかどうか?戦前の段階で共産化を予測していたかどうかも気になる。共産化したら米国の選択は最悪、共産化を補助したことになり、太平洋戦争も壮大な無駄だったことになりかねないのに。

米国の戦略も、常に正しいとは言えない。ベトナム戦争やイラク情勢を見ても、そう思える。中国戦略は大間違いで、日本と戦わせ、米国に良い条件で講和させたほうが良い戦略だったのかも知れない。ニューディール政策さえ、必ずしも成功ではなかった。戦争は、巨大な公共プロジェクトで、米国としては経済的な面から必要。真相は分からないが、結果として市場を確保し、拡大し、債権を保有し、雇用問題を一発で解決することができた。その狙いはあったと考えるのが普通だろう。

④そんな米国の意図を考えるなら、そもそも真珠湾攻撃は必要だったのか?逆に日本としては米国に攻撃してもらって、やむをえず戦い、守っている状況にしたい。いずれにせよ燃料がなくなるから、ジリ貧の戦いにはなるものの、無駄な損失は最小限にできる。欧州の戦いが終われば、日本への攻撃を無駄と考える有権者が米国内に増える。それが生き残りの道では?

インパール作戦は必要なかったと思う。そもそもインドシナ半島でイギリスと戦う理由もよく分からない。油田地域を確保するために、欧米の勢力を排除した流れで、インドネシア→インドシナ半島→インドと、ただ戦線を拡大してしまったのか?世界制覇を目指すならともかく、普通なら無茶と思うのでは。何か具体的な数値で、必要だったと解説されれば分かるかも知れないが・・・

仮に中国へのルートを遮断する必要があるとして、そこを日本側が攻撃しても、大陸のどこからでも別なルートを作りうる。ルートの遮断は、そもそも無理。港湾設備や海上だけを巡視し、陸上で戦力を使うことを避けるといった考えは無理だったのだろうか?陸上を完全に制覇するのは理想だが、消耗戦を要するこちらの損失のほうが大きいと普通は考えるが・・・

泰緬鉄道を作る・・・これまた理解できない作戦。施設を破壊するのは直ぐできるが、作るのは非常に大変。戦時中で資材や人力に限界があるのに、新たな施設を作ろうという感覚が信じられない。軍事的にも必須と判断する根拠はないと思う。そんな無理をやってしまうのは、もしかして当時の役人や軍人に鉄道関係者が働きかけたのでは?

・・・話変って、最近の米国の問題は、イラクの過激派にどう対処するか。放置すると、イラクは分裂が確定してしまう。スンニ派の拠点ができて、そこから各地に過激派が出発することも予想される。結局、イラク戦争をやったのは最悪の選択だったことになる。フセインが健在ならよかった。

米国はどうするのだろうか?軍隊を派遣すると犠牲者が発生するから、政府は支持を失う。無人機攻撃も、民間人を犠牲にするから、また批判される。全く援助しないと、イラク政府から反発されて、イランやシリアが有利になる。国連軍を派遣するのが最高だろうが、決議はまとまらないだろう。結構難しい状態。

国連決議が得られなければ、米国にとっては英国、オーストラリア、さらに日本が協力することが望ましい。4国で攻撃できれば、ほとんどの地域で優位な立場を作れる。日本には、そのように働きかけているに違いない。米国の影響下にある日本政府が、独自に憲法解釈をいじっているとは考えにくい。

イスラム国は興味深い。権益確保のために行動するなら、どうしても軍備競争に勝ち、広範囲を占拠する必要があるが、地域を限って支配下におくことだけに絞れば、貧しくとも外部の支配は逃れることができる。仮に敵の欧米諸国が勝っても、そこを欧米が占領し続けるのは難しい。彼らは敗走しても、すぐ隣の国からやってこられる。正しい戦略で戦うから、生き残れている。

米国が本当に戦うなら、ロシアと交渉してシリア側に過激派が逃げ込めないように徹底する必要があり、しかも米兵が犠牲にならず、多数の住民が巻き添えにならない、そして新たな勢力を台頭させないというウルトラC的な作戦を要する。放置もできない。過激派が輸出されると、またテロが増えるから。

中東では、太平洋戦争みたいな戦いで解決することは無理。時代はそうなってる。今後の太平洋の状況も、評論家達の想像を超える展開があるかもしれない。

 

 

 

« 恋人はセックス依存症(2012) | トップページ | ソルジャー・ブルー(1970) »