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2014年6月24日

ゲッタウェイ(1972)

Warnerbros

- 不良について -

刑務所から仮釈放を得るためにギャングの計画に乗った主人公。しかし、計画は最初から仕組まれたもので、仲間から殺される段取りだった。主人公は逃避行を強いられる・・・

・・・DVDで鑑賞。学生時代、非常に有名になった作品だが、当時は観れなかった。ゲッタウェイとは、そのまま逃避行の意味らしい。オールロケらしき映像で、リアルな雰囲気がよく出ていた。スタジオ撮影をどこかで使っていたら、噓くさい雰囲気になっていたかも知れない。

この作品は出来が良いんだが、家族で楽しむ映画ではないと思う。小さな子供には全く向かない。一般的な意味での正義など何にも気にしない悪党が活躍する映画だから、教育委員会から苦情が出ていたかもしれない。でも、恋人と観るには最高の映画。

懐かしいスティーブ・マックイーンが主演。アリ・マッグローがヒロイン役で、「ある愛の詩」とは全く違った役柄を上手く演じていて好感を持った。

この作品は予算の数十倍くらいの興行収入があったらしいが、確かに完成度の高さを感じた。リアルでクール、それでいて主人公に同情してしまう。ウォルター・ヒルやサム・ペキンパーといった有名映画人が作った作品で、センスの良さを感じる。本当に映画らしい映画。

マックイーンの存在感も当然ながら素晴らしい。スターという言葉のイメージ通り。たぶん昔からあるクールなハードボイルド映画の演技と共通するスタイルで演じていたと思うが、彼独特の実在感が他の役者とは違った味を作品にもたらしている。彼以外の役者が演じることをイメージできないほど。

不良・・・この言葉自体が古いが、そのイメージが漂う。タフで、ルールに従順ではないが、独自の美意識に基づいて行動する。親しい人は大事にするが、敵にはハードボイルド的な反発。言葉のイメージは、映画が関与して作られたのかも。

今、この役を演じるに相応しい俳優は誰だろうか?アレック・ボールドウィンがリメイク版に出ていたらしいが、まさかとしか思えない。ブラッド・ピットやトム・クルーズ、レオ様などもクールな役柄をいろいろ演じているが、作品の味わいは損なわれるように思う。デンゼル・ワシントンなら何かやってくれそうだが、やはりマックイーンしかない。

原作があるらしい。でもラストの持って行きかたは脚本独自の結果になっているそうだ。もし老人を殺して逃げていたら、それはそれでリアルにはなるが、後味が悪くなる。仲良くサンキューと別れてもつまらない。どんなエピソードに持っていくか、よく考えてあった。

真の犯罪者だったら、逃避行を完成させるために老人は必ず殺さないといけない。お人好しの能天気な人物なら、そのまま和やかに別れ、そして墓穴を掘る。また、真の犯罪者か真にクールな男なら、自分の顔を知った子供やカバン泥棒は生かしてはおかない。どこまでクールにするのか、そこが‘不良’に対するイメージを決める。

ただの犯罪者は、おそらく自己防衛以外のことを考える余裕がないと想像。つまらない殺人、裏切りを犯し、我々からは理解できない被害妄想的な言い訳をする。優れた不良は、一定の抑制が効いた言動をとる。殺しは最小限、危険を怖れずに敵に立ち向かう、トラブルは避けようと努力はする。一定の支持者を得る傾向がある。そこが違いか?

ただし、実際には理想としてそうかなということ。実際には、ほとんどの不良が単なるイジメ屋や独りよがりの我がままな人物になってしまうのが現実ではないか?イメージとして、犯罪者達の理想が不良であっても、現実はただの犯罪者となると思う。警察側のイメージ戦略によって、そう思えるだけの場合もあるだろうが。

不良には度胸が必要だろう。敵が銃を持って構えている場所に赴き、生き残れる確率は高くない。特に最近の場合は銃の性能が凄いから、数十メートル離れた場所からでもスナイパーに待ち構えられたら、正確に撃ち抜かれてしまう。映画のようにはいかないから、逃げるしかないのが現実。不良になりきるのも難しい。

逃避行の間の二人が、互いの裏切りに対して納得がいかない状況がセリフでよく理解できた。二人の関係が一定していない点が非常に素晴らしい。すぐ喧嘩したり、仲直りしたり、単純なストーリーだったら、話が浅くなってしまう。あえて会話をせずに、不満げな表情で無言のまま互いを睨むシーンが何度かあった。あれは自然だった。セリフ合戦に溺れてリアルさを失うことを避けていたのだろう。

少し長たらしい印象を受けるシーンもあった。カバンを奪った男を追うシーンは、もう少し切り詰めてもよかったのではないか?メインの話ではなく、エピソードのひとつに過ぎないのだから。

 

 

 

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