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2014年5月25日

サブウェイ・パニック(1974)

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- パニックに関して -

ウォルター・マッソーとロバート・ショーが出演した地下鉄乗っ取り事件を描くサスペンス劇。BS放送で5月13日鑑賞。

飛行機や大型船などを舞台にしない、いたってつまらない話になるような気がする設定だが、今見てもなぜか緊迫感が凄い。これはおそらく犯人の中心人物を演じたロバート・ショーの功績だろうと思う。クールでタフな個性が素晴らしかった。

犯行中にクロスワードで遊ぶなど、本当なら危ないことで、侵入してくる警察を警戒すべきだろうが、大胆不敵な個性を表現するには良い方法だった。顔や仕草も、いかにもタフでクールな感じがした。

とぼけた風貌のウォルター・マッソーが警察側の中心人物を演じても、喜劇的な話にしかならない危険性があると思うのだが、ちゃんと仕事をこなして敵の裏をかく様が自然に感じられる。この点が不思議。普通ならもっと二枚目の俳優が演じるような役柄だと思うんだが、ヒネリを効かす意図だったのか?二枚目すぎると反感を買う可能性もあるし、単なるヒーロー話に終わらなかった点は良い。刑事コロンボのような路線が狙いだったに違いない。流行があるのだろう。

洒落た雰囲気が感じられるのは当時のギャグのセンスによるものと思う。今の時代では通じにくい、大人しいセンス。日本人の視察者を案内する時の呆れたような表情、のんびり新聞を読んでサボっている様子、文句を言い合う駅の職員達の様子がおかしい。

この作品が今も受けるかどうかは解らない。さすがに出演者達のスタイルが古すぎるし、当時の映画独特のぼやけた映像・・・あれはフィルムのせいなのか?・・・が気に入らない人がいるかもしれない。激しいアクションがないし、興奮は得られないかも。

でも、リメイクされていることから考えて、高い評価を得たことは間違いない。知っているだけでも2回ほどテレビで断片的に観た記憶がある。ただし家族で楽しむタイプの映画とは思えない。小さな子供には向かない内容と思う。犯罪者をかなり肯定的に描いている。大人なら、ほとんどの場合は問題ないような気はするけど。

犯罪者側の個性も各々あることが丁寧に描かれている。やたら銃を撃ちたがる男や、任務に忠実な男、運転はできるが犯罪には慣れていない男など。さらに乗客の個性まで描こうともしている。描きすぎるとスリルが失われてしまうので、どのように描くのかは難しいと思うが、実に的確に割り振っている。職人芸だ。

気になった点はあった。大事なラスト近くの場面。ロバート・ショーが倒れる時に視線を下に向けてしまう。電撃で意識を失っているとしたら、視線は動かさないはず。むしろ眼をつぶっていたほうが良かった。誰か注意すべきだったのでは?

駅の職員が列車近くに潜んでいたが、結局大事な役割は果たさなかったような気がする。彼の意義が後で生きて来ないと勿体ない。大事でないなら、最初からいないほうが良い。

警察側の上層部が皆テキパキしすぎている気がした。実際には見当違いの勇ましさや、手際の悪さがそこかしこに生じるのでは?指示がうまく伝わらない様子なども描かれて良い。予想しない緊急時には、皆がパニックになるはずだから。

・・・・パニックに関して

おそらく、原発事故の時の官邸はパニック状態だったと思う。考えてもいなかった事故が発生し、急に対処を迫られ、役人の協力が不充分な状況で、頼りは専門家のアドバイスだったと思う。学者らしい斑目氏は、おそらく実務能力には欠けていたはずで、つまり彼を選んだ側が大きな失敗をしていたのだと思う。

理想としては、斑目氏と現地が直接連絡し合い、官邸は横で聞いているくらいが望ましい。素人がチョッカイを出したら、事態を悪化させるから。でも、菅総理のせいか斑目氏か役人のせいか、混乱が収拾できなかった様子。信頼できる腕のよい人物に任せること、任せられる人物がいること、いなければ解任~他を探すしかない。

韓国の旅客船事故も相当なパニック状態を来たしたと思える。船長達が逃げたのは、船に残っても何もできないと感じていたからだろう。その点はかなり正しかったようだ。ただし、乗客を逃がす努力を怠った点は許しがたい。

会社や社会に対する忠誠心が失われたか、元々なかったのか知らないが、救命ボートの整備や積荷の管理について、船長の意見が会社に通じない場合、忠誠心を保つのは難しいかも。・・・だからといって乗客を犠牲にして良いわけはないが。

パニック状態で最善を尽くせるためには、忠誠心やモラルを維持できる職場環境、各々のスタッフの能力と、それが発揮できる仕組みの総てが整っていないといけない。だが、実際にそれを維持するのは難しい。

私のクリニックのような小さな組織でも、トラブルは実に多い。心筋梗塞の患者が来た時は指示してもトンチンカンな行動をとられるばかりで、要領を得なかった。日常でも、指示したい時に限って席を外す。基本的に仕事量は最小限にしたい気持ちなのは仕方ない。役割を果たしたいという意欲を維持させるのは難しい。給与が高いわけではないから。

 

 

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