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2014年4月25日

小川の辺(2011)

Touei

- 主従交替はいかが -

藤沢周平原作の小説の映画化。主演は東山紀之。藩主の命により、義理の兄弟を始末することになった主人公と、その家族の物語。

・・・BSプレミアムで鑑賞。わざわざビデオを借りる気にならない作品と思っていたが、これは良くできた映画だった。

東山紀之もいい齢になってきて、歌や踊りで少女達を沸かすことには違和感があるが、今は時代劇では最高の存在感。大岡越前役には他に適任者が思い当たらないほど。この作品でも侍姿が様になっていた。

彼の表情も良かったが、それを静かに写すカメラワークが、外国映画と違ったリズムで、時代劇らしい雰囲気を出していた。

刀を振るシーンでは、少し力強さが足りないような気もした。松平健のような時代劇専門といえる役者と比べると、線の細さは否めない。その分、立ち居振る舞いの美しさや、凛々しそうな雰囲気は、この役には最適。おそらく、この役をキムタクが演じてもおかしいだろう。

東山の存在を際立たせるためには、敵に相当する人物は強そうなほうが良い。片岡愛之助はヒガシより小柄だし、声も野太くはなく、強い印象がなかった。あの役は絶対に大柄で、人懐こそうな俳優の方が良かったと私は思ったが、私だけだろうか?

この作品は小品で、子供が楽しめる映画ではない。恋人と観る場合には、結構いい線行っているような気もするのだが、あんまり若い人たちには受けないかも知れない。家族で観れる映画だと思う。でも、子供には不評かも。

主人公と同行する若者の勝地涼は始めて注目してみたが、役者らしい演技をしていたと感じた。スターになるタイプの存在感は感じなかったが、脇役として、純粋そうな人物を演じたら雰囲気が良く出る気がした。悲劇だけじゃなく、普通のドラマでも上手く演じることができるのでは?

妹役の菊池凜子は最近良く出る国際派女優だが、髪の毛を上げるとオジサン顔でびっくりした。ミスキャストだったかもしれない。気の強い女性をイメージするとピッタリに思えたが、色気の部分で見ると、少なくとも勝地涼の相手としては釣り合わない。あれじゃあ、仮にいっしょになっても直ぐ離婚するだろうと想像してしまった。

時々思うのだが、アクションが得意で色気のある女優は、日本人ではあまり見かけない。スパイ映画のヒロインをやれそうな女優は、外国にはたくさんいるが、日本人では思いつかない。体力があって、できれば大きく、凛々しいタイプの女優がいれば非常に重宝すると思う。菊池凜子は良い線いっているが、体力や色気の面ではどうだろうか?

この作品は、いかにも藤沢周平らしいストーリーで、映画化の仕方もいつもと同様、山の光景や小川のそばで水を飲む場所なども他の映画で見たようなものばかり。ワンパターンすぎる気もした。

美しい山を写す意図は分かるが、昔の映画だったら、主人公達の厳しい気持ちを表すといった意図から、曇った山や、嵐の中を無茶して進む姿を写すなど、何かの演出があってもよい。のんびりした春の光景だけでは、緊迫感が上がらない。

仕事が終わって帰る時は、安心したような雰囲気の、のどかな光景を出すのが普通。行きも帰りも似たような雰囲気で良かったのだろうか?

思い切った演出を考えるなら、主人公を侍ではなく、従者にして、それを東山に演じてもらう手もあったと思う。侍は厳しさが目立つ殺し屋で、嫌われ役となる。ヒロインは清楚な雰囲気のメロドラマ向きの女優が良い。それなら、悲恋の物語として最適だ。スポットライトのあたり方が変ってしまうが、映画的には盛り上がると思う。

悲恋を強調するか、武士道と家庭の狭間の苦しみを描くか、今風に考えるなら、ちょうど韓国ドラマを参考にして、悲恋に比重を移すべきだった。そうしたらヒットしたろうに。

 

 

 

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