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2014年4月 1日

モスキート・コースト(1986)

- 一理あるけど -

アメリカの現状に絶望し、ホンジュラスの密林に一家で乗り込んだ家族。農園を作り成功したかに思えたが、武装集団との戦いで村ごと失ってしまう・・・

・・・既成のルールや、文明社会からの脱出を描いた作品が多いピータ・ウィアー監督作品。名前だけは知っていたが、観る気にはなれなくて今回初めてDVDを借りた次第。随分と重い内容だった。

楽しくはない作品。示唆には富むと思うが、主人公に共感できるような設定が足りなかった。故郷の町で友人が何かの犠牲になって死ぬとか、絶望的な現状を表す出来事がぜひとも必要だったと思う。それがないと、この作品は誰にもお勧めできない。

懐かしいリバー・フェニックスや、まだ若いヘレン・ミレンが出演している。ヘレン嬢は、いまやお婆ちゃんの殺し屋役が似合うけど、この当時は色っぽい。

ハリソン・フォードが狂気にかられたような主人公を演じていた。この主人公のキャラクターを考えると、今ならダニエル・デイ=ルイスなどが最適。強いこだわり、強烈な個性を貫くイメージが合致しているから。ハリソン・フォードも頑張って抵抗するキャラクターだったが、狂気が似合うとは思えない。

有能な発明家でありながら、周囲の人との交流を絶ち、独自の世界観に捉われている。家族の危険を顧みずに成功の保障のない事業に乗り出す・・・そんな見方をするなら、なんて酷い男としか思えない。

とにかく主人公は酷かった。海岸の傍に、それも河口のそばに小屋を建てたら、ハリケーンが来たら終わりだ。水害に遭ったことがないのか?大陸育ちだから、経験がなかったかも知れないが、あの立地は酷すぎる。親切な友人の忠告に、あんな態度をとるなんてありえない。強情だけでは済まない、偏屈者だった。

危機管理はしないといけない。水害が来たら、強盗が来たら、ハリケーンは、病害虫は?それらに対して、一定の危険性を想定し、準備をしないなら、子供を連れるのはダメ。親たる資格はない。一人でやるべきだ。

しかし、考え方は色々。主人公の言い分にも一理ある。文明社会には欠点も多く、日本製のテープしか買えないことに主人公が怒ったように、グローバリズムの中で個人の自由が侵される場合も多い。キリスト教の勧誘の仕方にも、嫌悪感を感じる場合はあるだろう。

教会への誘いを‘洗脳’とする言い方が映画で使われていたが、アメリカであんな風に描くなんて怖ろしいこと。でも、逆に恐ろしいという事実が、そもそも病的とも言える。教会批判しても何も怖くないのでないなら、何かの強制力がはたらいている証拠。

牧師が銃を持ち出して攻撃してくるシーンがあったが、あれは宗教家の一面を表すことは間違いない。宗教と戦争、殺戮は切っても切れない関係にあり、宗教戦争で失われた人命は計り知れない数。宗教は殺人に関係している。非常に密接に。

牧師がいないのにテレビかビデオで講義をしている、あのシーンも偽善性を表現すると思う。その場にいないから仕方ないといった理屈もあろうが、何かおかしいのである。おかしいという感覚は、偽善性を嫌う点では間違ってない。

ただし、窮地に陥った家族が助かるために、教会の援助を求めていればと感じざるをえなかった。とりあえず援助を請うべきと私は思う。命が一番。一般的に、そんな感覚で宗教を信じる~使う?人が多いのでは?安易な考え方で偽善的だが、私の場合はそうだ。

つきつめて考える人間は、アメリカ社会では‘アカ’と評価されるだろう。70年代に多かったドロップアウト集団は、たぶんアカというレッテルで捉えられ、良い点は無視して阻害され、やがて齢をとって社会に飲み込まれてしまったのでは?

・・・モスキート・コーストというのがどの辺りを指しているのか知らない。ホンジュラス近辺の密林地帯のことらしいが、簡易な地図では記載されていなかった。俗称かも知れない。

この話の原作がどんな経緯で書かれたのかも知らない。ある程度の実話なのか、モデルがいるのか気になった。ヒッピー達の中には、こんな冒険をした連中がいたかも知れない。コミューンを作ろうという話は多かった。麻薬まみれになった集団も多かったかも知れない。確か、リバー・フェニックスはそんな場所で育ったのではなかったか?

普通、密林に入る場合は、子供の病気が一番の問題になる。怪我がないはずもなく、医薬品の備え、医療知識がない家族の場合は全滅を覚悟しないといけない。武装集団の襲撃も怖い。生活が成り立つ村には、必ずのように侵入してくる犯罪者がいると考えないといけない。つまり、こちら側も武装が原則になる。

そこが、まさに失敗の原因となっていたようで、現実を示すものだった。完全に文明から遊離するのは非常に難しい。武装集団が持っている高度な武器は、文明道具でもあるのだが、密林の中にも武器は出回っており、その毒から逃れることは難しいのが現実。夢のようなパラダイスは、なかなかない。無人島に行かないと無理。

私自身は偏屈な点は主人公と似ているが、主人公より臆病なので、文句をブツブツ言いながらも都会で暮らしたい。文明の利器にまみれていないと耐えられない。山の涼しいところで育ったので、暑いところは全くの苦手。自衛隊の体験キャンプに行ったら、汗まみれになって耐えられなかった。テント生活は嫌だから、ジャングルにドロップアウトしたりはしない。

私は生まれつき危機管理の考え方が好きで、悪いことを考えすぎてしまう。偏屈で、何か自分が勘違いしていると常に思ってしまうクセがある。だから冒険ができない。それも仕方ないと思う。冒険もいいが、海辺に家を建てるのはアホウだ。

子供達の成長のためには、工具を持って木を切ったり、ヤブを切り開いたりする経験は望ましいと思う。都会育ちで、受験勉強ばかりやっていたら、センスの部分で世界に通用しない気がする。キャンプではなく、開墾に近い体験は、一度はしたほうが良いと思う。でも、移住はリスクが大きい。

 

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