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2014年3月11日

きっと、うまくいく(2009)

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- 起承転結 -

工科大学に入学した学生たち。学長と対立しながらも、厚い友情に支えられ卒業。しかし、その後はバラバラに。ある日、行方不明の仲間の居場所が判明する・・・

・・・インド版の青春映画。しばらく熊本市の電気館で上映されていたが、いつものように妙な時間帯にしか設定されていないので、仕事のある人間は絶対に観れない。したがってビデオ化を待ってやっと鑑賞。

後味のよい作品だと思った。おそらく子供が観ても悪くない映画だろうと思うのだが、分別のつかない子の場合は危険なイタズラを真似て死人を出すかもしれないので、用心は要る。恋人と観る映画としては、結構独特な味があって好き嫌いは分かれるだろうが、悪くないのでは?

演じていた役者達は、私の目には素人同然のようにも思えた。演技が派手だから、本職と素人の区別がつかない。ミュージカルシーンは、「踊るマハラジャ」よりは上手い気がしたが、やはりハリウッド映画には敵わない。でも、嫌悪感は全く感じない。インド流でいいと思う。

アイディアが散りばめられた感じがした。「うまーくいーく。」という発音は、田舎風の英語だからだろうと思うが、実際にスタッフの誰かの村で使われていたのではないだろうか?映画用に作った話ではないような気がした。

イタズラ話は、なぜか楽しい。若者がバカをするシーンも、かってのバカ騒ぎを思い出すからか、悪趣味でないなら悪い気はしない。ミュージックビデオ風のミュージカルシーンが話の流れに合わせて使われると、ただのドラマより楽しくなる。そんなインド流は品がないと言えばそうだが、田舎趣味の私には合っている。

現在の進行と、過去の若い頃のエピソードの組み合わせに関しては申し分のない。やり過ぎて解りにくくなるような愚を犯していない。年齢に合うメーキャップも実によくできていた。

なかなかの大作で、途中でインターバルがあったのには驚いた。テーマやストーリーは映画らしいもので、非常にストレートな表現に感心する。今の日本では絶対にできない演出。やったら笑われてしまい、究極の駄作のような評価を受けるだろう。でもインド流に考えれば、最高の評価につながる。

そのへんが、やはり勢いの違いだろうか?高度成長時代の日本映画を時々観るのだが、品が良いかどうか解らない演出でもって突っ走る勢いを感じる。客観的に観たらおかしいかな?といった雰囲気があっても、量産、スピード、ノリのよさ優先で作ると、こんな雰囲気になるのかも。

演技のテンポは、韓国ドラマと同じように感じた。韓国ドラマも表現が熱いので、くさい芝居に笑ってしまうことがあるが、全く同じような話しっぷりに驚いてしまう。観ている観客も、両国とも同じような勢いがあるからだろうか?

日本でも、このような作品をもう一度作るべきと思う。もっと洗練された演出のほうが良いだろうけど、テーマに関してはそのままで良いし、ストーリーも少しいじるだけで通用すると思う。今の映画の多くはCGや際どさに偏ってしまって、青春映画が持っていた本来の魅力を失っているように思う。いま一度考えて欲しい。

ストーリーが基本に忠実だと思った。次々と難題が降りかかり、それを工夫と協力によって解決。なぐさめたり、バカをやったりして連帯感が育ち、やがて成功につながる・・・そんなサクセスストーリーの典型を堂々と展開しているのだから、ひねた味付けなどは必要ない。

テーマは友情が中心だが、恋愛、親子の断絶と愛情、学歴社会への批判、大学のあり方など、真面目な問題もちゃんと描いており、それなりのメッセージ性もあった。

欠点を挙げると、キリがないほどありそうだ。望むらくは、もう少し悲劇があって、例えば飛び降りた学生には後遺症が残って、今も松葉杖は必要、だけど恋人とは良い関係など、ささやかさが欲しい。あんまりハッピー過ぎると、やはり現実離れしてしまうから、多少は抑制も必要だろうかと、ちょっと思った。

起承転結をはっきりさせるためには、物悲しいエピソードがあり、それが深刻で長期間にわたることが必要。ハリウッド映画では、必ずのように主人公が困った状態が続く。でも、そこから奇跡の逆転、もしくは心に残る小さな幸せがラストに設定されるのが常。そんな王道を無視できるのが凄い。

しんみりしすぎると楽しくない。嫌味な同級生が出世競争で勝つことが悲劇なら、少々変則的だが、起承転結の‘転’の一種と言えるかも。もしくは考え方として、高級なドラマは他の国に作らせればいい。インド映画は、娯楽の道をひた走るべく、何でもハッピーな展開に持っていくべきかも。

エンジニアについて・・・・

・・・・インド人にとってエンジニアへの憧れは相当なものらしい。工学博士や工学の専門家、研究者といった意味合いのようで、日本の工学部を卒業する学生とはイメージ的に違っているようだ。

日本の場合、仮に東大の工学部を卒業しても、大学院か企業の研究開発室に入らないと普通の会社員ではないか?収入も、豪邸住まいを期待できるほどとは思えない。慎ましい学者生活で満足する方も多いと思う。

インドでは、凄い高給で優秀な学生を集め、優れた製品を作って売ろうという明確な機構があるのだろう。豊かになるための激しい競争が発生し、脱落者は自殺するような流れもあるのかもしれない。競争は日本にもあるが、日本では医学部や法学部のほうに人気が集まっている印象が強い。エンジニアに偏るのも変だとは思うけど、法学部が成長分野につながるのか?

アメリカの大学では、教授の多くをインド系が占めつつあるらしい。激しい競争意識があれば、当然そうなるのだろう。英語圏だから日本人より有利だし、独特の算数教育も功をなしたようだ。日本も教育方法を変えれば、また向上もあるかも。

私が若者なら、インドに行くチャンスも考えないといけないだろう。インドに投資するのは、日本企業にとっては確実な発展の路線。国の経済規模が大きくなると思えるし、中国とは関係が異なる。当面は買いの状況が続きそうで、日本の企業にも収益をもたらすだろう。

一般の庶民には、あんまり影響はないかもしれない。製造業、開発分野に優秀な人間が集まらなければ、国家間の競争に負けてしまう。一部の企業を除き、地盤沈下のように国力が落ちる運命は覚悟しないといけない。

 

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