映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 屋根の上のバイオリン弾き(1971) | トップページ | 明日の私に着がえたら(2008) »

2014年2月13日

欲望のバージニア(2012)

Twc

- 旧式が良い -

禁酒法時代に密造酒で稼ぎを狙う兄弟が、捜査官に戦いをいどむ話。捜査官が悪者。DVDで鑑賞。国内の劇場では公開されたのだろうか?  

この作品には原作があるらしく、実在の人物がモデルとなっているそうだ。禁酒法時代を扱った物語は多いが、この作品は犯罪者側を肯定的に描ききっている点が特徴。禁酒法自体が間違った法と言えるとは思うが、非合法の行為を賛美し、役人側を殺し屋として描くのは、あんまりよろしい方向とは言えないかも。

でも面白く、爽快感さえ感じるようなアウトロー物語だった。たぶんR指定がついていそうな、子供が観るには残虐なシーンも多かった。恋人と選んで観る映画とは思えないが、退屈した時に観るB級的な娯楽映画としては、Bの上のレベルに行っていると思う。

最も良い印象を得たのは、主演のシャイヤ・ラブーフ。タフでない個性が役柄にピッタリで素晴らしい。彼がやられると、観客の多くは自然と彼に同情し、敵を憎むようになる。それだけでも素晴らしい個性だと思う。

加えて、酒場に勤務することになる女性のジェシカ・チャスティン、主人公が憧れるミア・ワシコウスカらが、これまた非常に魅力的。色彩や化粧に注意し、二人とも肌の透明感を強調された印象で、首筋などにカメラの焦点を当てていた様子。画像のワシコウスカは本当に美しい。アリス役の時には理解できなかった魅力があった。

日本の女優でも、時代劇で非常に映える人がいるが、彼女もそうかもしれない。清楚な格好をすると良い面が際立つのかも。

ギャング映画では、脇役にあたる女性達が色っぽい存在であるべきだが、今作の彼女らはグラマーさを強調しない、独特の魅力を出していた。奥ゆかしいヌードシーンは、よく考えてあった。大股を開くような下品な濡れ場は遠慮されていた。

また、敵役となったガイ・ピアーズが実に嫌らしい人物を演じており、この作品への貢献度は抜群だった。残虐で狡猾な敵が描かれれば、もうそれだけで作品の成功は間違いない。仮に主人公がへっぴり腰のまま、あんまり活躍できなかったとしても、敵が倒れてくれるだけで観客はスカッとするだろう。

タフな兄貴を演じていたトム・ハーディーだったが、あまりにも表情を作り過ぎていたように思った。もっと大柄の俳優を使って、立っているだけでも体力的に凄そうな、凶暴で怖い雰囲気を出しても良かったかも。主役ではないのだから、ワルぶる必要はない。

最近のアクション映画は、銃撃戦の迫力、カーチェイスなども実に計画的に演出されて、まるで「アクション学」のような技術と知識の集積が成されている印象。車は縦にも横にも回転し、人間の頭を超えて飛んでいくのもごく普通、ビルが吹っ飛ぶ爆発も、人物はちゃんと逃げられる確固たる技術があるから安心して観ていられる。

ところが、この作品のアクションはいたって旧式。マシンガンがあるはずなのに、拳銃で撃ちあっている。車を盾に、何の工夫もなくただバンバン撃っていても、見た目の迫力が出るはずはない。その関係で、DVD限定になったのか?第一級のアクション映画になれていないのか?

ただ個人的には、これで良かったと思う。受けるために無理してはいけない。まさか禁酒法時代にカンフーアクションで敵を倒すのは非現実的だし、アクション中心の娯楽作品ばっかり作られても食傷してしまうから。ハードボイルド、奥ゆかしさ、そんな旧式の雰囲気の映画も、たまには許されるべきでは?

興行的には、もしかするとアメリカだけでは評価されたかも知れない。日本では絶対に売れないだろう。子供や日本の若者はソッポを向くと予想。でも恋人と観るなら、この作品は古めかしい点で良いと思う。時代考証なども、私が解らない部分でしっかりやって、丁寧に作ったのではないかと思った。

 

 

« 屋根の上のバイオリン弾き(1971) | トップページ | 明日の私に着がえたら(2008) »