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2014年2月22日

ボウリング・フォー・コロンバイン(2002)

- 行動力に脱帽 -

アメリカの銃、および暴力的犯罪の問題を扱ったドキュメンタリータッチの映画。一部にはアニメまで登場し、茶化した面もあるが、ライフル協会に突撃インタビューをかますなど、行動力あふるる監督を記録した作品。

DVDで鑑賞。有名な作品で以前から観たいとは思っていたが、オチャラケの作風らしいとの批評を知っていたので、わざわざ観る気にならず、延び延びになっていた。

メイキング・インタビューでは、とにかく良い作品を作りたかったと述べていたが、確かにその心意気を感じた。いつ銃撃されてもおかしくない行動をとれたことに敬意を表したい。この問題をテーマにしたことが凄い。

ボウリングをした後、学校に行って無差別殺人という心境は理解できないが、たぶん激しいイジメ、無視などが潜在していたのではないだろうか?犯行を起こした少年達が自殺したことは、たぶん絶望していたことを意味すると思うし、単独犯でないことは集団的な何かの抑圧が多数派から加わっていたことを意味すると思う。

この作品は恋人や子供と観るのは勧められない。面白い作品だが、面白さにも色々あり、これは楽しいといった感覚が味わえるものでは全くないのだから。基本的に大人限定、同性といっしょの鑑賞が望ましい印象。

この作品の観点が総て正しいのかどうかは解らない。アメリカ人の多くが銃を保有せず、政府に反抗する姿勢を持っていなかったら、今頃米国は著しい管理社会になっていて、なんの自由もない国になってたかも。頑固な住民が生き残ってくれたからこそ、我々もおこぼれの自由を楽しめた面はある。

ただし、作品の主張には非常に説得力があった。インディアンや黒人に対する恐怖が銃をはびこらせ、しかもよく使われるという伝統につながったという仕組みは、それほど外れてはいないだろう。

銃兵器の会社が暗躍している点も間違いない。需要があったからこそ会社も発展してきたのだろうが、広報活動などを通じて規制を免れてきた点も本当だと思う。

私が銃兵器の会社に勤めていたら、銃を規制する動きに対しては敏感にならざるをえない。議会で規制案が通過したら収入が減るので、議会工作をするだろう。それが仕事ならやるしかない。道義的に嫌なら、会社を去るしかない。

似たような地理的状況のカナダとの違いがなぜ生じたのかは、結論は出せないと思う。でも作品が述べていたように歴史的な違いは明白で、たぶん影響している。奴隷への比重が大きかったことの後遺症、イギリスやスペインとの戦いなど、各自が防衛の意識を強く持たないといけなかった点などが、同じような銃の保有率にも関わらず、銃撃事件の数が違う点につながったのかも。

カナダは人口密度が違うし、人口そのものも違う。カナダにだって犯罪者は多いはずで、米国からやってくる人も多いだろう。ギャングやマフィアだっている。でも、なぜか銃撃事件は少なめらしい。動く金の大きさが、目を血走らせた連中の活動ぶりに影響したのか?

危機を煽る報道や、銃兵器産業の利益が、過度の武装につながり、銃撃事件を生む点も確かにあるだろう。最近は日本のテレビでも警察の捜査に密着して、犯人逮捕まで報道する番組が増えた気がする。子供達は熱心に観ている。あれは米国の真似だろうが、過剰な危機意識につながるかも知れない。

監督がチャールトン・ヘストンと話すシーンは面白い。ヘストン会長も、よく出演してくれたものだ。あのヒーロー俳優も、さすがに齢を経て背が曲がりかけ、体力的には監督に敵わないように見える。レスラー並みの体格を持つ監督といると、ヘストン会長のほうが分が悪そうに見えてしまう。インタビューを受けたのは間違いだったのだろう。

銃撃事件のあった町でライフル協会の会合を開く・・・そんな感覚は日本では考えられないのだが、攻撃して自らへの攻撃を封じようといった戦略的な考えに基づいているのか?

いや、日本でも昔はあったかも知れない。敵と戦って勝った後、敵の将軍などを処刑してさらし首にしたりするのは、抵抗を抑える示威行為だ。あれと似ている。

資金力や政治的影響力、それらは怖ろしいものだ。力が凄い分だけ、マフィアやヤクザより性質が悪い。たぶん、売り上げを増すために、平気で戦争を計画したりもしてきたろう。

 

 

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