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2014年1月17日

野蛮なやつら/SAVAGES(2012)

Universal

- 映画も野蛮 -

カリフォルニアで小規模な麻薬組織を営む二人組。彼らには共通の恋人がいる。しかしメキシコの麻薬組織が、彼らを傘下に入れようと恋人を誘拐し、脅迫してくる・・・

・・・オリバー・ストーンが監督した娯楽作品。裏切り、暴力の応酬、駆け引きがストーリーを成しているが、友情や愛情、それぞれの人物の個性が上手く描かれた作品だった。ただし、かなり過激。テーマ性が薄いとも思った。パルプ・フィクションによく似た映画で、展開が面白かった。

二人組みの犯罪者が大きな敵と戦う、逃げる、そんな映画と言えば、作中にもセリフで言われていたが、「俺達に明日はない」「明日に向かって撃て!」を思い出す。この作品は、イメージとしては同じ路線だと思う。強大で容赦ない野蛮なやつらに挑む弱者の物語。蟷螂の斧には喝采を送りたくなる。ただし、今回は弱者自身も野蛮だが。

仮に二人組みでなく、単独の人物が組織と戦うとしたら、きっとジェイソン・ステイサムか誰かを連れて来てアクションで対抗してもらうしかない。単純な作品になる傾向はある。二人組みだと、互いの個性が引き立つ。その点は正しい判断。

ちょっと無理な点は、二人の男に共通の恋人がいる点。ある意味では現代的かも知れないが、不自然さは感じるし、必須の設定条件だったのかは解らない。片方の恋人ではいけなかったのだろうか?普通なら、主人公の片方が裏切りを諮るか、もしくは疑いを持つような流れが多いが、この作品では仲良しのまま、信用は変わっていない。それでは底が浅い設定とも言える。

オフィーリアという名前だと、当然ながらハムレットのヒロインを思い出す。作中でも確か、部屋のどこかに有名な絵の複製品が飾られていた。本家のオフィーリアは溺死してしまったので、この作品のヒロインもきっとそうなるだろうと予測させる仕掛けだろう。そんな古典的なアイディアも悪くはないと思うが、効果的かどうかは解らない。

演じていたブレイク・ライブリーは「恋するジーンズ~」で見たことがあるが、テレビドラマで有名になったタレントだと思う。女優としてのイメージが解らない。向うの感覚では非常に色っぽいのか知らないし、演技が上手いのかどうかも解らなかったが、美しい女優さんで、役割は充分に果たしていたと思う。自分の感覚では情婦という雰囲気を感じなかった。

やや優男の主人公を演じたテイラー・アーロン・ジョンソンには、確かな存在感を感じた。この作品の雰囲気だと、元兵士で猛者のテイラー・キッチュにほうが役柄としてヒーローになりやすい。二枚目で武闘派でない主人公が目立つためには、策略が鮮やかで、敵を欺く爽快さが必要だった。かなり良い線行っていたが、策士の部分の表現は足りない気がした。

ポール・ニューマンやレッドフォードとは役割が違うと思うが、少なくとも今回の主人公コンビに圧倒的なスターの魅力のようなものは感じなかった。でも、おじさんの私の意見は当てにならない。女性ファンは確実に増えたのではないだろうか?今後の作品では、凄い大スターになるかも。二人は、今が旬の俳優だから。

テイラー・キッチュは、今回の役はお笑いの要素がなく、いつものキャラクターより印象が薄い気がした。ヤクでラリッたり、酔っ払って失敗するようなエピソードがなく、残念。乱暴で無茶な男だが、好人物といったキャラクターのほうが好感を持たれるはずだが・・・

ジョン・トラボルタが脇役で出演していた。この作品で最もタフだったのはベニチオ・デル・トロで、良いところを彼に全部持っていかれていたように思った。殺されそうになった時の言い訳の仕方は情けない。ラストで多少の逆転劇があり少しは持ち直したけど、あの役はトラボルタには少々もったいない気もした。

ただ、タフネスを気取る人物の多くは真っ先に殺される確率が高い。生かしておくと怖いから、抹殺を計画される。有能すぎる場合も裏切りが怖いので、疑いの目を向けられる。生き残っていけるのは、情けなく命乞いをするほうかも。

実際の警官は、どんな風だろうか?ギャング達と取引をしていたら、映画のように出世はできないのではないか?強請られるし、噂で足を引っ張られるだろうし、命が惜しいから、麻薬がらみの犯罪に手を染めるのは少数派ではないかと思う。実態が解らない。

この作品は、冒頭から随所にリアルな殺しのシーンがあった。銃撃戦も泥臭く、はかどらない点でリアル。陰惨なリンチシーンもあった。だから、この作品は子供には絶対に良くない。劇場で公開しても、あんまり鑑賞できる対象者がいない印象を受けた。レイトショー専用でやるべき。

庭師の一団が、実は殺し屋というのはアイディアが良かった。一見すると殺し屋には見えない人物が、手際の良い殺し屋というのは、「ノーカントリー」の風変わりな殺し屋と似ている。でも誰か実際に真似る集団が出るかも知れない。

恋人と観る映画としては、リンチシーン以外は悪くないかも。ただ、お勧めとは言えない気もする。興行的な面を考えるなら、大麻を吸うシーンやリンチシーンは、もう少しボカしたらどうだろうか?と思った。

2種類のラストが用意されていた。あの作り方が良かったのかどうか、どんな効果があったのか、よく解らない。普通なら、とにかく印象に残るように、悲しい別れ、苦しい戦い、逆転の喜び、もしくは悲劇への空しさなどが描かれると良いと思うのだが、盛り上がりをわざわざ外した印象を持ったが・・・

 

 

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