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2014年1月23日

天使の分け前(2012)

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- おとぎ話  -

社会奉仕活動を義務づけられた青年。家庭を持つ夢はあるが、敵対する不良グループが執拗に追ってくるし、恋人の家族からは脅迫されている。彼はしかし、ある日、天使の分け前を知る・・・

・・・DVDで鑑賞。しばらく熊本市の電気館で上映されていて、観たかった作品。なぜか電気館の上映時間は、都合の悪い時間ばかりを設定してくるので困る。有閑マダムくらいしか観れない。とうとう劇場では観れないままだった。でも、この作品はDVDでも充分だと思う。画面の迫力は必要ないから。

「麦の穂をゆらす風」のケン・ローチが監督作品。すると、ラストは悲惨極まりない残虐リンチによる死か、警察による銃撃、涙々の結末となる可能性が高いことになる。そう、現実は厳しい。もし成功しても、多少の金が手に入った若者は、「じゃ、とりあえず飲みに行こうか。」と言うだろう。「お前ら、なんで景気がいいんだい?」「実は・・・」ってな調子で、怖い結果につながるのが現実なんだ。

グラスゴーというと、造船業などが中心のイメージ。ひところは酷い不景気だったはず。今も、常時好景気ではないだろう。でも、写っている街並みは汚くはないし、何といっても国の社会保障はしっかりしているはず。暴力が支配するスラム街ではないだろう。ただ、若者の失業率は日本より深刻だろうし、作品に登場したような若者も多いのでは?

利き酒の能力がなかったら・・・もしくは能力に気づかないままだったり、それを生かすチャンスに巡り合えなかったらと考えると、この作品はおとぎ話であり、やはり若者が社会に出て行くのは、実は非常に大変なことだったんだと感じた。ぼんやり社会人になってしまった自分は苦労知らずの、本当に幸運な坊ちゃんだった。

不良グループのレベルから抜け出すのは簡単ではないだろう。こちらがその気でも、相手のほうが許さないのは、作品でも解りやすく解説されていた。描き方が単純明快、素晴らしかった。また、過去の自分の犯罪が犠牲者に与えた影響を理解するのに、相手との対面が有効なことも、この作品では説得力ある描き方をしていた。

若者を演じた役者たちは、宣伝かもしれないが実際に似たような生活をしてきたとか書かれていた。主人公の青年は、小柄すぎて殴りあいでは不利な印象。相手のワル達ほうが不良役には向いていたが、ストーリーを考えると適役だったかも。日本でキャスティングされる場合は、ジャニーズ系のタレントが選ばれるだろうが、この映画では真面目に選んであったようだ。

演技力より雰囲気が大事だったのかも。非常に上手い演技とは思えなかった。恋人役は非常に美しく、たぶん本物の女優。仲間の中でバカの代表選手のようなメガネ男や、彼を指導してくれた人物も本職と思う。脇役には確かな演技力が必要であり、そのへんの選択が的確だった。

この作品のアイディアは、どのように出てきたんだろうか?監督自身か?調べてはいないが、とてつもない、誰も考えられないような奇抜な話ではないので、過去にテレビなどで放映された小作品があったのかもしれない。なんだか観たことがあるような、そんな気になる話だった。

作品のなかで評論家として登場していた人物は、実際にも有名なスコッチの研究家らしい。スコッチ醸造所は多いだろうけど、数は知れているはずだが、それで評論家が存在しうるというのは、ちょっと理解できない。イギリス国内に数人程度なら、ありうるかもしれないが・・・

日本酒のような、微妙な味の違いが出やすい酒の場合は、年により、担当者により、同じ酒屋であっても出来の違いはあると思う。ワインもそうだろう。味覚、嗅覚に優れた人間なら、確かに作り手にも評論家にもなりうる。醸造酒の場合は、私にはよく解らない。

ボウモアや、マッカランなどの銘柄が日本のビール会社によって輸入されて安く手に入るようになり、横に置いて比べて飲むこともできる。さすがに比べて飲めば違いに気づく。でも、日本製のほうが正直言って出来が良いような気がする。ブレンドのためか特徴はないとしても、洗練されているような、そんな印象。わざわざ高級シングルモルトを買う意義は理解できない。

作品の中で仲間同士が話す会話は、ほとんど理解できなかった。いちおう英語のはずだが、ケルト系の言葉が混ざっているのか、もしくは激しいスラングなのか?

また、パトカーらしきものが登場したが、奇抜なデザインで、あれでは外国人が助けを呼ぼうとしても気づかない可能性がある。

 

 

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