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2013年10月 7日

レッド・ライト(2012)

Versus

- 筋書き予知能力 -

インチキ超能力を次々と暴いてきた学者の二人。ある日、彼らは伝説の超能力者シルバーと対峙することになるが、シルバーは怖ろしい相手だった・・・

・・・DVDで鑑賞。怖い映画だった。熊本の映画館で公開されていたろうか?ハリウッドの大手の映画ではなかったようなんで、大規模な興行にはなっていなかったのか、全く知らなかった。

超能力が題材になったら、昨今の流れだと超能力者同士の戦いになるはず。でも、この作品は地味な戦いで、子供達が喜ぶような作品ではなかった。恋人とみる映画としては結構よい線行ってるのじゃないかと私は思ったが、そもそも興味を持ってくれるかどうかは疑問。

超能力者を演じたロバート・デ・ニーロは、近年の彼の役の中で最高の迫力を感じた。もう体力勝負の刑事役には無理があるので、こんな気味の悪い役柄が似合う。今回はコンタクトレンズでメイクしただけ、あとは自分の動作や表情だけで立派に怖い人物を演じていた。

盛り上げ方が良かったのだと思う。演出や脚本の勝利だろう。実はたまたま、冒頭の部分であらすじを予見してしまったのだが、それでも充分にスリルを感じ続けることができた。演出、画面の色合いや音響など、すべてが高いレベルにあったからではないかと思う。

私には、あらすじを見通す予知能力があるのか?

過去に一回対決した時に、自分の弱点をつかれてしまった博士のセリフ、表情が、今回も起こる恐怖の体験を盛り上げる。だから、デ・ニーロのキャラクターへの恐怖は、シガニー・ウィーバー演じた博士によって盛り上げられたと言える。上手い演出だった。

シルバーの前に超能力者として舞台に立った俳優も上手かった。演技としての迫力は充分、本物のようにしか見えない。彼が刑務所に入って話すときのセリフも、話し方も素晴らしく個性的で、彼がこの作品で最も良い演技をしていたように思う。   

特殊なCGは、たぶん使われていなかったのではないか?旧来からの手法だけでも、怖さを充分に演出できるんだと再認識。いつの間にかCGがないと怖くないような気がしていたが、間違いだった。でも、ひょっとして子供達はCGによる画像上の怖さがないと、直感的な恐怖感を感じられない可能性もある。人によるかも。

主役である若い博士役キリアン・マーフィーは、素晴らしい個性の持ち主だと思う。彼のような顔の俳優は多くないし、細身で繊細そうな、純粋そうなキャラクターは、他に替えがたい。この役にも最適だった。

同じ大学の、別の研究者を演じていた小柄な俳優は、最近いろんな作品でよく見かける。こちらも素晴らしい個性。

タイトルが意味不明のままだった。暗室を意味しているのか?主人公とシルバーが対峙する部屋は暗室のような照明だったので、あれを意味していたのか?もうちょっと工夫しても良かったかも。「超能力者シルバー」ではだめだったろうか?

超能力が発揮されて、建物が動き、電灯が破裂する。次は誰かの体が無残に・・・と期待してしまったが、グロテスクなシーンをともなう殺人は最後までなかった。グロテスクなシーンを期待してしまったのは、最近の怖い映画の悪影響だろう。

でも、その点は結局、この作品を観終わった後の印象度を下げているかも。強烈な印象を残す作品にはなりきれていない気がする。主人公の行動の理由にも、やや理解できない点が残る。ストーリー展開に、ちょっと無理があったのでは?

筋書きを読むのは難しい。消費税もそう。

10月2日に消費税を上げることが正式に公表されたが、景気がどうなるのか不安。まず第一に、自分のクリニックの運営への悪影響が心配。薬代の消費税が上がって、たぶん支出は数パーセント上がるはず。それに対して、来年の診療報酬を1-2%は上げて来るはずだが、全体としてプラスにはならないだろう。理屈から言っておかしな話で、どんどん矛盾が貯まるだけ。薬代には消費税を乗せるべきだろう。薬価で対応すべき。

病人の薬代には税をかけないという理念から、今の制度が続いているのだろうが、流通の一段階である病院や薬局だけに負担を強いるのは妙だ。いっぽうで製薬会社を優遇するために薬価は高く設定し、自由な値引きを許さない。医療費を真剣に下げようとは思っていないようだ。

社会保障費を確保するために診療報酬を上げる。逆に消費税対策に法人税を減税。復興税を廃止。自民党には専門家達がたくさん集まっているはずなのに、屁理屈のような税制を解説できていない。根本的におかしいのだが、世論の大勢は景気回復に期待しているからか、反対の声は低い。景気に対する神頼みの気持ちだろう。

安倍氏に感心したのは、消費税を上げる発表の後、いろんな番組に出て自分の声で説明をしていた点。今までの首相は、何か発表する時に官邸では答えていたが、繰り返しいろんな番組に出ることはなかった。スタッフがしっかりしているのか、もしくは消費税はやはり特別で、人気に直結するから用心したのか。いずれにせよ、自分の言葉で言い訳したのには好感を持った。

景気が悪くなったら、非常に困ったことになる。基本が運試しと言える。アベノミクスは皆の期待や、たまたまアメリカの好景気によって好スタートを切ったが、アメリカや中国の景気次第で、いかなる工夫も吹き飛ぶ景気後退はありうる。アメリカ議会が混乱してるそうだが、このまま財政緊縮となれば、日本の対処能力を超えると思う。

神頼みだけでは仕方ない。正しい政策を採るかどうかだけを評価すべきと思う。消費税は、有効な政策にならない気がする。基本として、資産家の金を流通させてもらわないと経済は動かない。税制で資産家の投資を引き出すべきだろうし人口が急激に減って社会が崩壊しないように、若者に金をもたらす施策は必須。たぶん、それが最も大きな原則なんだろう。若い世代の活気、出産や消費の意欲が最大の目標。

法人や資産家が国外に出ないようにすることも必要だから、強制的に資産税をかけるわけにはいかないが、アメとムチの要領で国内に投資しないと損する規定は、たぶんできるのではないか?専門でないからよく解らないが。

予算を大きくせず有効な方面に資金を導入するためには、NPOや財団を組織し、そこに資金提供をしてもらう方法が望ましいと思う。少子化対策、出産費用の大規模な基金を作り、そこに出資してくれたら税金の軽減・・・そのようなアザトイ規定もできると思う。

せっかくの安倍氏の解説だったが、財政再建や短期間の景気対策などの話題に終始していた印象。実際にも反対が多すぎて、長期の根本的な政策に関しては決めきれないのかも。金を若者へ、それに尽きると思うのだが。

 

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