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2013年10月 4日

鍵泥棒のメソッド(2012)

Seisakuiinnkai

- 名コンビ? -

お風呂場で転倒して記憶を失った殺し屋に、貧乏役者がすり替わった。役者は殺し屋の金を使って借金を返し、殺し屋は役者修行を始める・・・

・・・香川照之、堺雅人と言えば、「半沢直樹」の名コンビ(?)である。彼らが映画で共演していたことを思い出し、DVDで鑑賞。これが実に素晴らしい作品だった。際立つ設定があるわけではなく、過去にも観たような話なんだが、最終的に設定のつじつまが合っていく流れが素晴らしかった。

これは、おそらく劇場で鑑賞しても満足できたに違いない。なぜ観たいと思わなかったのだろうか?「半沢」が評判になる前だったことが一番だろうし、宣伝やスタッフのネームバリューなどのせいかも知れない。例えば、この作品を三谷幸喜氏が監督すると聞いたら、もっと期待していたのでは?

あるいは逆に、テレビのヒットの影響で、彼らを見る私の側の目が変ってしまったのかもしれない。たいしたことない作品を、このように褒めているのかも。その点は自分では解らないから、御注意。

流れが良かった。対照的な主人公二人の立場、それが入れ替わるのは、王子と乞食の交替の時と同じ笑いがあるが、この作品ではもう一人、個性的なヒロインを登場させて三つ巴に関係させることができた点が成功していた。

演劇が関係していた点は、楽屋受けだけになりかねない点でもあったと思うが、殺しの場面を練習するシーンにつながり、良い効果を生んでいた。あの練習シーンは、いわば漫才師がやるコントの再現みたいなものだ。あのシーンをイメージしてストーリーが作られたに違いない。

殺し屋家業の設定が素晴らしかった。細かい点では疑問もあり、少し個性の際立たせ方に曖昧さを感じたが、充分な存在感は感じた。演じていた香川照之の表情が良かったのかも知れない。

普通に考えると、殺し屋は迫力のある大柄の役者で、体力的にも明らかに凄そうな見た目が必要と思える。 阿部寛のように、声色と体格がある俳優が最適。香川の場合は、腕力勝負になったら無理を感じさせる。だからギリギリで役になりきれた印象も受ける。

堺雅人は、情けない人物を演じさせると上手い。半沢役のような個性は「ジェネラルルージュの凱旋」の路線、今回は「ゴールデンスランバー」の路線と、大きく演じ分けることができるようで、便利な役者だと感心する。舞台がかった独特の声の出し方が印象に残る。今や大スターになった。

広末涼子が意外に好演していた。彼女は娘時代はピチピチした可愛いタレントだったが、演技はただニヤケてるだけのことも多く、発音が女優らしくない印象も受けて、あんまり魅力を感じなかった。でも、この作品では微妙な老けっぷりと役柄に合った雰囲気が素晴らしかった。

この女性の個性の設定も良かった。几帳面で、机の物を移動する際にも、いったん片方に寄せ、片付いたら反対側に移すといった細かい演出や、ノートに細かく予定を書くこと、結婚予定の決め方など、滑稽な設定がおかしかった。

ただし、もう少し几帳面さの程度を抑え、微妙に笑えるがリアルな部分を残せたら、個人的にはもっと面白くなっていた気もした。もしくは彼女が自分の几帳面さに悩んでいる部分が出せたら、単なる喜劇ではなく笑える大悲劇のレベルになる。また、通常は彼女の個性を際立たせる意味で、まったく適当な個性の女性を友人として登場させ、繰り返し変なアドバイスでヒロインを困らせるパターンが多いと思う。それは、この作品では姉が担当していたが、友人でも良かったのでは?

首を吊ろうとして失敗した様子を表現する場合、通常なら引っ掛けていて切れた部分のヒモを見せると思う。それで万人が瞬時に状況を理解できるから、お約束のようなもの。また、記憶を失っていた人物が過去を思い出す場合は、その表情の変化は長写しするのも約束と言える。芝居の見せ所だから、あえて後姿だけを見せる意味は、それほどない。

父親が自分は退院できないという時に、何を大げさなと家族が言う。また、鮮やかな殺し屋の手際だが、後で真相を知ることになる。そんな意外な展開を複数準備していて、よく練られた脚本だと思った。胸がキューっとなる女性が複数出てくる話も、漫才コントのセンスだが自然な流れで嫌な感じはしなかった。

この作品は、子供でも観れるように思うが、冒頭の殺しのシーンはさすがにマズイかも。恋人と観るビデオとしては悪くない。爆笑シーンはないかもしれないが、悪い雰囲気にはなりにくい作品だと思う。

 

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