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2013年9月 7日

花のあと(2009)

Touei_2

- リアル? -

試合をした下級武士に恋心を抱いたヒロイン。しかし、その武士は急に自害してしまう。不審に思ったヒロインは、自害の裏に上役の陰謀を疑い・・・

・・・藤沢周平の小説を題材に作られた時代劇。衛星放送で鑑賞。正直言って、劇場でこの作品を観る勇気はなかった。主演が北川景子、相手役は知らない俳優(ダンサー?)、監督も知らない人。それで劇場にまで行こうとは思えないだろう。

でも、良くできた作品だった。東北の山や公園の風景は美しく、ヒロインの所作や殺陣も、よく練習できていたと感じた。美しい話であり、しかも殺陣の緊迫シーンもあり、良き題材だった。

庄内平野から鳥海山(?)を写したのか、雪を頂に載せた山は実に壮大で、「奇跡のリンゴ」でも使われた美しい映像だったように思った。美しい風景を使った点は良かったが、そのまま登場人物達にズームが移動しないと、風景は別にロケしたような印象になる。物語と風景が関連しないような印象は、できれば避けたいが・・・

この作品は、子供も観れると思う。純愛の話であり、主人公が懸命に生きて学ぶ話でもあり、殺陣はあるとしても血まみれにはなっていないので。恋人と観ても雰囲気を悪くするとは思えないので、やはりお勧めか。ただし、作品のレベル的な面で不満を持つ人も多いかも知れない。

ヒロインの表情は、役柄に合致していたようには思えなかった。役から考えると、死をも厭わないほどの強い意志の持ち主のはずだから、冷徹な感じはあってもいいが、眉間に皺がよる表情は似つかわしくないと思う。北川の表情は、機嫌の悪いお嬢様程度にしか感じなかった。

北川を見て、怖さを第一に感じる人はいるだろうか?もしくは、精神の強さをイメージしてしまう人が。だから基本的に意外性を狙わないと、この作品のヒロインにはなれなかったということにならないか?

でも北川は、お嬢様役をやらせたら他に考えられないほど。実に美しく、稀に観る品位を感じる。整った涼しげな顔は、気取った役柄、例えばテレビのお嬢様刑事役には最適で、コメディの場合は最高。この作品のように、シリアスに叙情的な雰囲気を出したい場合には、もっと激しい感情が感じられる女優を選んで、その人が懸命に意志を隠し静かにみせようとする様を演じたほうが、観客の納得は得られそうな気がした。

女性剣士が複数の剣士を倒すストーリーだった。リアルな映画にしたいなら、ヒロインには体力的な面も要求される。ある程度の腕力も必要で、そんな女優を選ぶとしたら、北川には限界も感じる。

もしくは、徹底的に演出するか。作品のようにカメラを引いた状態で普通の実写で撮影していたら、役者の動きがそのまま映ってしまう。もっと近い位置から、香港映画のアクションシーンのように、非人間的な動きを早送りなどで演出すべきだったと思う。音響効果も派手にやって良かったかも。

試合や切りあいの最中は、思い竹刀や刀を振り回すのだから、当然息も切れるはず。でもヒロインが相手を見つめてるシーンでは、呼吸は楽にできていた。基本的な問題点であり、誰か注意すべきだったと思う。

そもそものストーリーに無理はなかったろうか?3人と切りあって倒すのは、常識的に無理があった。敵も一人ではいけなかったのか?

勝負が終わった後に、許婚の男が現れていたが、危機の前に助けに来ていないとただの傍観者で、許しがたい人間。しかも敵の情報を昼間おおっぴらに集めてしまうような間抜けは、敵討ちの前に真っ先に始末されないとおかしい。都合の良い、嘘っぽい人物像に思えた。

原作を読んでいないので解らないのだが、許婚も共に戦うか、または怪我をして帰ったヒロインに、何も知らなかったふりを上手にするなど、観客も納得し、感心してしまうような鮮やかな手際を見せて欲しかった。それが難しいなら、ヒロイン一人で敵を倒し、一人で帰っていったほうが良い。

理解しやすいストーリーにしたいなら、ヒロインの父親か自害した下級武士の家族の誰かが助太刀をして、ヒロインの窮地を救うほうが自然で、解りやすい。ヒロインが自分の試みの無謀さを悟る話にもなるし、家族愛を深める展開にもなるから。

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