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2013年9月19日

フォロー・ミー(1973)

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- フォロー・ミーごっこ -

ロンドンで会計士をやっている男には、若い妻が居る。しかし、彼女は家を留守にすることが多い。不倫を疑った男は、探偵を雇って調査する・・・

・・・・ミア・ファローが若い妻を演じた作品。彼女の個性が素晴らしかった。優しさが全編に漂い、当時の世情というか、生き方のセンスに関する流行のようなものが感じられ、懐かしい。

この作品はDVDで鑑賞。画質は良かった。もしかしたら、今の若い人が観ても面白いかもしれない。子供にはちょっと難解な雰囲気。恋人と観るのには確かな意味があり、悪くはない作品だと思うが、大爆笑や感涙は期待できない印象。作品の意味合いまでは理解できないかも。

妻がカリフォルニア出身で放浪の旅に出ていたという設定は、歴史あるイギリスの人にとっては自由奔放、感性の違い、新しいライフスタイルを代表する意味があったと思う。その点は、日本人が見ても同じだったろう。

この作品は意外に影響が大きかったようで、日本の映画人の間では根強い人気があると聞いたことがある。おそらく当時だと人種を超えて、世代や生き方の変化が大きかったと思えるから当然か。

フォロー・ミーという言葉は、ほぼ同時期にジョン・デンバーが歌った歌詞とイメージが重なってしまったが、この作品の曲はジョン・バリー氏が書いたらしい。同じように優しい曲だが、映画の曲はBGMに向いている。

ヒロインが踊るダンスが懐かしい。ゴーゴーに近い、妙な体のひねらせ方で、要するに型を気にしない自由な踊り。あの手の踊りは、あっと言う間に流行がすたれてしまったが、今見ると確かにおかしくて笑ってしまう。見栄えのしない踊りの流行が長続きするはずがない。

ロンドンの町を、探偵に尾行されながら、そしてやがては互いにつれそいながら歩くシーンがおかしい。色んな通りや観光名所を訪れるので、観光案内になりそう。

パリの場合は、このように各所をめぐる設定の映画は多い。でもロンドンを舞台にする映画は、なぜかあんまり記憶にない。せいぜいテムズ川周辺か、パブの内部、裏通りの風景ぐらいが多かったのでは?この映画は珍しいロンドン案内になっていた。

探偵役はイスラエルの俳優らしいのだが、自分としてはそれほど魅力を感じなかった。まるでインドか香港あたりの俳優のように、無駄な演技が目立った。彼が万国共通の魅力を持つ俳優だったら、この作品はさらにもっと普遍性を持ったのではないかと思う。ジョニー・デップのようなキャラクターの俳優が当時いたら、この役にはきっと向いていたと思う。

でも、この作品でも調査の結果を尋ねられて要領をえない会話で会計士を怒らせるシーンはおかしく、その点に関しては芝居の上手さが感じられ、魅力的だった。

好いていながら育った環境のせいで感情がもつれる主人公達の話は、「ミスター・アーサー」とも似ている。同じようなセンスを感じる。たぶん世代間のセンスの違いに基づく独特の悲しさ、相互理解の難しさに由来する点が共通するからだろう。階級がからむと、独特の物悲しさにつながる。

ただの感情のもつれは、恋愛ドラマとしては要するにただのメロドラマの設定のひとつに過ぎないが、そこに階級の違いによるもつれが加わると、社会の不条理などの問題のからんだ悲しさが出る。より高尚な物語になる。

家内と私は、毎日食事したり、片付けしたり、互いに見てはいるのだが、無言のことが多い。この作品のように‘フォロー・ミーごっこ’を演じている。ただ単に会話がないだけなんだが、会話すると喧嘩になるので仕方ない。

これは私達の階級や育ちが違うせいではない。両方とも中下層の出身で、公務員一族の一人。ただし、彼女は「ミス無茶苦茶」路線をひた走って、いかに無理で無駄なことをやり、大事なことをしないかにこだわっているのに対し、私は無駄をかけず努力を惜しまない生き方を目指す点が、すこしだけ意見の相違を生む(正反対とも言う)。

先日は台風が直撃する予報が出ていたが、家内が急に洗濯をたくさんやりたがった。どこに干すつもり?いくら何でも乾くはずがなく、臭くなるから明日まで待ったらと申し上げたら、「勝手なこと言う!」と怒ってしまわれた。ミス無茶苦茶に対しては、常識的意見は禁句。

晴れた日は遊びに行くので洗濯はしない、雨の日はヒマなんで、まとめて洗濯・・・なるほど、ある意味では合理的と評価すべし。話しても無駄なんで、無言で生活するのも良いもんだと、この作品を観て改めて感じてしまった・・・・もしかして私が何か映画の意味を誤解したかも知れない。

 

 

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