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2013年8月26日

天井桟敷の人々(1945)

Path

- ハイレベル恋愛ドラマ -

パリの下町にある無言劇の一座を中心に、恋愛ドラマ、人生模様が複雑に交錯するドラマ。

舞台となっているのは、戦前のパリの下町だろうと思うが、時代として何年ごろなのかは解らない。たぶん、抽象的な古きよき時代なのでは?製作が戦時中という点が信じられないが、本当らしい。占領されていても、芸術関係の意欲は衰えていなかったということか。

DVDで鑑賞。画質や音質は相当良いかった。リマスタリングされていたのだろう。長い映画で、前編後編に分かれていた。資金的な理由か、トイレ休憩のためかは解らない。

ニワトリのマークのpathe'が製作していたようで、現在も見られるマークがチラリと出ていた。

子供達にはちょっと無理なテンポの作品。恋人にこれを観ようと言い出すのもちょっと気後れしそうだが、ドラマのレベルの高さや、途中のパントマイム、芸術的なセンスなどに関しては第一級のものを感じる。スタッフや役者達の心意気のせいか?

演技のセンス、約束事に関しては無理を感じた。舞台俳優独特の大仰な身振り手振りには嫌悪感に近いものを感じる。少なくとも、今風の演技ではない。

また、主役たちの見栄えに関しても疑問点があった。ヒロインの女優さんは、いくら何でも齢をとりすぎている。若い俳優が恋に落ちる相手としては、私の偏見かも知れないが、明らかな無理を感じる。

微笑みを欠かさない個性だったようだが、チベット奥地ならともかく、パリであんな顔をしていたら殴られるのでは?

主役の若者の外見にも満足は出来なかった。パントマイムは素晴らしく、完全に芸術の域に達していたが、ヒロインが恋に落ちそうなほどの魅力が感じられなかった。パントマイムというスタイルは、いったいどこから、いつごろから始まったのだろうか?マルセル・マルソーを紹介した映像等で知ってはいるものの、ほんの短時間の芸としか考えていなかった。   この作品のように大きな劇場で大勢の観客を集めて興行が成り立つなどは、日本ではちょっと考えられない。

もうひとりの役者役の俳優は、特に演技がオーバーで、古いタイプのキャラクターだった。悩みや恐怖などが全くないような個性では、リアリティに欠ける。ただ、この作品の場合は、そんな彼が殺し屋に相対した時に、直ちに相手の真意を理解して態度を変えることが他の映画とは少々違った。こけおどしの度胸ではない、リアルな面を演じていたのは新しい点だ。

自称脚本家のゴロツキの個性にも古さを感じた。肉体的な強さが感じられなかった。個性的だったが、リアリティには欠けていた。彼にも新しい戦後の臭いのする演技が欲しかった。キャラクターとしては、終戦後に目立ったというアプレゲールみたいだったようだが・・・

その相棒の男には結構なリアリティを感じた。また、若い俳優と結婚する娘役にも新しい感性を感じた。脚本家達をバカにして新しい劇を作ってしまう話など、ギャグ的なセンスも素晴らしい。

俳優同士の喧嘩の際に、役者たちの派閥が瞬時に集まるのもおかしい。笑えるシーンではちゃんと笑えたので、当時の映画としては珍しいのでは?終戦直後の日本映画のギャグは全然おかしくないので。

ストーリーが古さを感じさせなかった。登場人物が知り合う経緯に無理がない。簡単に恋が成就したら面白くならないが、何かの事件、または裏切り、誤解などが邪魔をする展開がスムーズで素晴らしい。韓国ドラマよりもリアル。

ドラマとしての完成度は、今のトレンディードラマよりもずっと上のような気がする。当時、こんな作品をよく作れたねと、ただただ感心。

 

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