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2013年6月25日

リアル~ 完全なる首長竜の日~(2013)

Seisakuiinnkai

- バブルの重しを感じた -

恋人が原因不明の自殺未遂を起こした。昏睡状態の恋人の意識の中に、恋人である主人公は特殊な機械を使って潜入する。自殺の理由は?また、彼女は回復するのか?そして、決め手となる首長竜とは?

末っ子が絶対に面白いからと請け負うので、劇場で鑑賞。いったい、どこで面白いという情報を得たの?と聞いても答えない。とにかく絶対に面白いの!と、言い張る。梅雨時で他にできることもない。バッティングセンターは先週行ったし、卓球もやった。遠くに行く時間もない。仕方ないので、鑑賞。

次男は「これは絶対に失敗作。俺は本屋に行く。」とか言って別行動。彼が正解だったか、または作品に映画代だけの価値があったかどうか、結構微妙な印象を受けた。

原作はマンガに違いないと鑑賞しながら思っていたが、違っていた。ちゃんとした小説で、しかも何かの賞を取っているらしい。ちょっと意外に思った。つまり、苦心して映画用に作られた脚本は、賞を取りうる題材を、そうでもない作品に仕上げてしまったのか?

アイディアは悪くない。恋愛とSFとの要素がうまく絡み合い、強い印象を残しうる題材。人の意識が問題となった類似作品で言えば、「パッセンジャーズ」は、行きずりの男女の恋愛感情がテーマになっていたので、感情の深さが違う。「インセプション」は、相手を救う話ではなく、自分の救済がテーマになっていて私小説のようだ。アイディア的には、この作品のほうが数段上を行っている。

でも、出来栄えやインパクトではどうだろうか?数段上とは感じなかった。

良い作品だと思う。子供には退屈に感じられそうな気がしたが、それはテンポの問題だったろう。恋人関係の人達が観るとしたら、この作品は悪くないと思う。完成度に関してはどうか解らないが、テーマとしては素晴らしい。

首長竜の映像も悪くなかった。CGのレベルは確実に上がっている。ハリウッド製の映画とは比較にならないかもしれないが、この作品のCGは鑑賞に耐えられるレベルだったと思う。

展開が遅すぎて、しかも緊迫感の盛り上げを狙うなどの、興行的あざとさが足りなかった。気味の悪い死体を並べるなら、とことん怖ろしい路線を狙ったほうが良い。ホラーと恋愛の路線に徹するべき。ただのホラー映画が美しい恋愛物語になったら、感動ものだから。

首長竜が防波堤のシーンで静かに海に帰って行って、それから工場跡で再び登場したのが、少し意外に感じた。映画的には二転三転の展開で面白いかも知れないが、感情の面で考えると、すっきり来ない。

亡くなった少年の心への理解、追悼などの意味合いは、脚本家の興味にはなかったのだろうか?

主演の佐藤健は実に良い顔をしていた。動作などにも相当注意していたのだろう。ヒロインの綾瀬は、表情が読み辛くて、どうも自分には判りにくい女優。この役に合っていたのかどうか、よく解らない。

アシスタント役の染谷将太は素晴らしい個性だった。あんな人、いかにもいそうな気がする。医者の役をしていた人達も、話し方などがいかにも医者風。でも中谷美紀は、少々お色気過剰で出しゃばり過ぎだった。

主人公の二人は、もっと年齢が上と設定したほうが良かったのではと思った。脚本では20~25歳くらいの男女をイメージしていたかもしれないが無理があった。15年前の同級生の死を、その場にいた人が若いうちに忘れるはずはない。強いトラウマになってしまうはず。設定として無理があった。

40~50歳くらいが自然。子供がいない友達のような関係の夫婦。それが自然と言えば自然。もっと上の年代の、高齢者の夫婦の話でも良かったかも知れない。意識の中では年齢など自由なんで、現実では老夫婦の話だったでも良かったかも。

若者に劇場に来て欲しいから、若い男女を主人公にしたのかもしれないが、せめて設定としては、もうちょっと上の世代にすべきだったと私は思う。

同級生・・・小学校時代の同級生は、なかなか忘れない。私の場合は幸い小学校時代に死んだ同級生はいなかったが、もしいたら大変なインパクトを受けたに違いない。この間までいたヤツが死んでしまうとは・・・俺、何か悪いこと言わなかったか?と、気になったろう。

主人公が、直接少年の死に関係する必要はない。死んだ時に、「ああ、やっとイジメられなくなる。」と喜ぶ自分を怖く思う、それをテーマのひとつにしたほうが良い。それなら、忘れていても不思議ではない。小説では、もしかしてそうだったのでは?

テーマパークの建設も、ひとつのテーマになっていた。バブル時代には無茶な計画が次々と打ち出され、破綻や整理の対象となっている。シーガイヤのプールなんぞは、まさに巨大な古代生物のごとく横たわる廃墟だ。最初から無理な計画だった。

壮大なる失敗に終わった計画は、ナイーブな子供の心には大きな傷になる。親がそれに関わっていたら、余計そうだろう。それを重石にして育ってきた世代は、たぶん主人公のような雰囲気の青年になるに違いない。

 

 

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