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2013年6月10日

ネイビー・シールズ(2012)

- 第一級の迫力 -

CIA要員が拉致された。犯罪組織が情報を聞き出すためだ。米軍の特殊部隊が救出を試みるが、激しい撃ち合いになる・・・

・・・戦闘シーンのための映画だった。でも、その圧倒的な迫力は素晴らしかった。恋人や子供と見るべき作品ではないが、戦争物の映画としては、実は第一級の出来栄えかも知れない。子供時代に見ていたら、圧倒されただろう。

出てくる武器が凄かった。紙飛行機を飛ばして何すんの?と思っていたら、ちゃんと上空を飛行して敵をセンサーで把握してくれた。どうやって長時間飛ばせるのか知らないが、小型のモーターやセンサーを積んでいるのだろう。以前なら高空から無人偵察機で探索していたのだろうが、敵に発見されにくい点では、小型機のほうが優れている。

まさか日本製じゃなかろうか?部品には日本性製品が使われていそうな気がする。

機関銃も凄い。ボートに乗って救出に来た部隊が発射する機関砲は、銃弾の発射速度が違っていた。巨大な銃弾を圧倒的なスピードで撃ち出して敵を動けなくする効果があった。確かにあれくらいの勢いがないと、敵に反撃を許してしまう。車も人も粉々にするくらいの破壊力が必要だ。

空からもやってくるし、海からもやってくる。進撃する際にはスナイパーが援護し、暗視野用のスコープ、レーザーなどで射撃成功率も高い。銃弾一個一個の破壊力も、おそらくゲリラのものとは違うのだろう。ゲリラたちも、あんな連中と戦いたくはないだろう。

海兵隊のような突撃目的の部隊ではなく、侵入、救出を任務とするのか、やや身軽な装備で、洗練されたような趣向の違いがあるように感じた。確かに潜入専門と、破壊爆破専門、制圧専門など、目的と方法によって違う部隊を作ることは合理的。

演じていたのは実際に隊員だった連中だそうだ。演技よりも、実際の凄さ、迫力を重視したのは成功だった。独特のノリのよさがあり、作り手がミュージックビデオで活躍した経験も役立っていたのだろう。

おそらく、米軍が非常に協力してくれているようだ。新兵募集に役立ちそうなヒーローストーリーだし、軍の行動の宣伝になり、予算確保にも役立ちそうだから当然。演技はヒロイックなカッコづけの印象を受けたが、そのへんは仕方ない自己陶酔のなせる業か。

実際の戦場では、建物に侵入する際などはいかな高性能の銃火器を持とうとも、隙があればやられると思う。おそらく数で圧倒されたら、映像よりも多くの犠牲者が出たのでは?敵も侵入口を限定して防御し、米兵が入ったとたんに銃弾が飛んでくるはず。撃つ前にやられるだろう。映像は出来過ぎだったと思う。

ワナも足りなかった。地雷やトラップなどを仕掛けていないなんておかしい。壁の向こうから次々手榴弾を投げられたら前に進むのは厳しいと思う。実戦ならトンネルに入るまでに相当な時間を要し、かなりは逃げられていたのでは?

シールズ部隊は各地に散らばっているそうだから、映画のように限られた人物があちこち出撃するのも変だ。南米とアフリカでは当然違う部隊が活動するだろう。ストーリーはいいかげんだった気がする。でも、それを補って余りある迫力があった。

テロ集団を相手にする戦争、スパイ活動、そして拷問さえも正当化しようという方向が映画界にはあるのかもしれない。ウサマ・ビン・ラディンを殺害するまでの諜報活動は、おそらく敵人員への非人道的尋問を伴うものだったと思う。

特殊な事情があるのも確かだと思う。テロリストを補足した場合、米軍が民主的に対応していたら、きっと敵は釈放したすぐから破壊活動を続けるに違いない。アメリカ的社会の理屈は、相手には通用しない。

敵は違った理念に基づき生きている。日本もかってはそうだったが、日本兵は社会的な安定と成功を夢見る点では米兵と同じだった。でも金持ちや名士になることに興味のない敵は、エサとなるものがないからやっかいだ。協力を得ること、敵対行為をやめさせることは、ただの説得では無理。かといってハーレムに招待するか麻薬を提供するかすると、人道面で追及される。殺すしかないと考えるのは自然な反応かも。

アルジェリアで日本企業の社員が殺された事件も、結局はテロリストらしき集団を皆殺しに近い形で退治して解決したらしい。話し合いなど最初から考えないほうがスムース、そんな諦めが現場を支配しているのでは?

そうなると、米軍の活動が終わる見込みは少ない。世界中にシールズ部隊を展開させても、完全にテロリストを管理することは難しい。根絶やしになるはずがないのだから。でも、やらないわけにはいかない。

 

 

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