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2013年6月28日

闇金ウシジマ君(2012)

- 教訓は得られるが・・ -

クールな闇金業者ウシジマが、危機を乗り越え貸し金を回収する。敵となるのは、踏み倒しや強請りを図る借り手、半グレ、狂人達。

実に面白い映画だった。マンガが原作らしいが、それぞれの人物の個性の設定や焦点の当てかた、ストーリー展開などが高度にまとまっていて感心した。ゴルゴ13なみにクールな主人公を演じるのは、通常なら悪役専門~もしくは体力抜群のアクション俳優と思いきや、山田孝之。全くもって意外。

山田孝之は、昔はニヤケた二枚目の軽い役柄が多かった。直ぐに消えていく運命だろうとたかをくくっていたが、電車男みたいな作品や、不良役の路線が板につきだしてから路線が変わってきた感じ。小柄だが、顔つきと声の迫力が目立ち、この役には完全にはまっている。

ウシジマの個性が素晴らしい。クールで情け容赦ない個性が、結果として真面目な結論につながり、シュールな悪役の存在感がさらに高まるという良いサイクルになっているようだ。

この映画、共演者も素晴らしい。イベントで大儲けしようとする林遣都の顔は、役柄にぴったり。考えが甘いが可能性を信じて右往左往する個性、今風の話し方、体型の総てが役柄と合致していて、この作品のリアリティに直結していた。ウシジマ君は映画でもシリーズ化されるような気がするが、おそらく林ほど素晴らしいヤラレ役は出ないように思う。

ヒロインの大島優子も意外に素晴らしかった。元々演技の実力があったのだろう。セリフには難があった気もしたが、化粧っ毛の薄いメイクで普通の娘をうまく演じきれていた。

闇金業者を実際に見たことはないはずだったが、患者さんとして来た人の中に、どうやらそうらしい人物がいた。弁護士が過払い金返済の営業をするので困るといった話を向こうからベラベラ話していた。正業の会社と区別のつきにくい業者もいるらしいので、うっかりワナにはまる可能性はあると思う。

実際に酷い目に合っている人達には、この作品は良い印象を受けないと思う。冗談じゃない、人でなしをヒーローとして扱うなんて許せないというのが感想では?犯罪者でしかないんで。だから扱いにくい対象である。

この作品の中でも、実際に置き去りをやっていた。紛れもない殺人行為。後味が良いとは言えない。やられるのが若者を脅していた暴力団員や狂人だったら若干は許せるが、若者というのは納得がいく話ではない。クールではあるが。

実際のところ、若者が登山者に助けられたら間違いなく主人公の致命的なことになる。懲らしめだけに留めるべきと思うし、できれば自分達の手を汚さないほうが利口。

数万円の取立てのために、ウシジマが一人で回収にうかがっていたが危険な行為。この作品のような数人で営業する会社の場合は、大人数で押しかけられるとボロが直ぐ出てしまうはず。普通は少なくとも10人前後の実働部隊がいるはずと思う。しかも、ヤクザ組織から狙われたら実利を掠め取られる可能性が高い。独立は難しく、暴力団組織の後ろ盾が絶対に必要。つまり暴力団の一部としてしか存在しえないのでは?

その辺の実像が、この作品では描かれていなかった。独立したアンチヒーロー型ヒーローのまま。映画だから仕方ないのかもしれない。本人は独立した存在と思っていても、実像は犯罪組織の末端というのがパターンでは?

警察に情報を売られると、闇金商売は出来ない。だから、それをネタに強請られるのを常に覚悟しないといけない。延々と圧力をかけられたら、独立し続けることは難しいと思う。

ナニワ金融道を時々読んでいたが、この作品と同じような法律の知識、実像の一部がリアルに描かれていて面白かった。世間を学んだ気になるマンガだった。金には必ず群がる勢力が出る。イベント興行主には後ろ盾が絶対に必要と言える。新興の会社社長、冒頭で登場するリッチな青年達にも、必ず目をつける勢力があるだろう。

豪邸紹介コーナーや、カリスマトレーダー、カリスマ美容師などとテレビに登場してくる人物の気が知れない。誇らしい気分のまま、自分の成功や高い経済力を自慢したいのだろうか?隙があれば難癖をつけようという連中はウヨウヨしていると思うのに。

病院に目をつけられる例も多い。当直していて、いろんなヤクザ者に出会ったが、情報収集の目的で来ている連中がいる気もした。知り合いの先生達の病院も、何軒もつぶされている。病室に住み着いてしまい、結局は医院を廃業させられた例も身近にある。私のクリニックは貧乏なんで今のところ目を付けられてはいないようだが、何を考えるか解らない連中だから、今後はどうかは解らない。

年金生活者や生活保護者にも、闇金業者が手を出すという。元々少ない年金をむしりとって、いったいどれだけの収入になるのか不思議だが、数をこなしているのか?それなら、普通のサラリーマンや私のような個人事業主にもワナをかける連中はいるだろう。

弁護士と契約していること、検察庁に知り合いが多いことなどは少し防御力になるかもしれないものの、こじつけられると専門知識のない私には分が悪い。基本として、金を借りないようにするしかない。

 

 

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