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2013年2月25日

テッド(2012)

Universal

- デートに最高! -

命を得たクマのぬいぐるみと少年は、固い友情で結ばれていた。しかし、少年が成長しガールフレンドとの結婚が迫ると、クマの存在はジャマになってくる・・・

・・・ヒットすべくしてヒットした娯楽作品。スラングらしきセリフの多くは理解できなかったが、下品なジョークや大麻、オタク、ホモセクシャル、人種差別なども堂々と話題にして、実に面白い。

セス・マクファーレンという人が原案を練ったのだろうか?脚本や監督も勤め、ぬいぐるみのテッドの声も担当しているらしい。テレビで有名になった人らしいので、激しいジョークを売りにした、ちょうど芸人の有吉氏に共通するタイプのタレントのようだ。

ひとつのアイディアが作品にまでなるのは日本では非常に珍しいはずだが、おそらくハリウッドでもアイディアを盗み盗まれ、企画がポシャる事例は多いはずで、彼のオリジナルアイディアだったら、これは本当によく出来た企画だと感心する。

アイディア自体は珍しいものではない。セリフやキャラクター設定、配役やCGなど、いろんな要素が総て上手くいって初めてヒットにつながると思う。ノラ・ジョーンズが登場したシーンは私にはそれほど面白くなかったが、他が良ければ気にならずに済む。

運も良かったのでは?テレビ時代に培った仲間が、そのまま企画を形作っていくうえで武器になった可能性が高い。激しい芸風が、そのまま映画のウリになるという目論みが成り立つ。

主役のマーク・ウォ-ルバーグは、本来はボーカリストじゃなかったかと思う。わざわざ下手に歌うシーンは、よほど上手くやらないと演出過多でしらける危険性もあったと思う。あちらでは、どのように受け止められたのだろうか?

ウォールバーグ自身が、かなりの人種差別主義者らしいので、役柄に合っていたというジョークめいた意味合いもあった・・・というのは穿った見方だろうか?

演技が上手かったのかどうかも、自分にはよく解らなかった。芝居くさい印象を持ったが、本職のコメディアン達よりも表情が目立たないというか、大仰でなかったので、自然に近いと言えるかも知れない。

歌手ノラ・ジョーンズはボストンを拠点としていたのか?確か主演した映画もボストンあたりの東部の町が舞台だったような気がする。だからといって、出演する意味があったのか、自分の感覚では解らない。演技も良かったと思えない。ロック系のノリノリの大御所スターのほうが、主人公との対照的な盛り上がり方を際立たせたのでは?

ヒロインのミラ・キュニスは実に素晴らしかった。悪役に向きそうな個性的な顔が、今回の役ではセクシーに写る。ラブコメもシリアスドラマもサスペンスも充分に対応できそう。旬の女優だと思う。ジャック・ワイルドの親戚ではないかと、ちょっと思える顔つき。

CGのレベルもかなり高かった。ぬいぐるみの毛まで動くような高度な処理は、この作品の性格上は必要ない。単純な顔も、言葉とのギャップを考えると、かえっておかしい。

最も重要だったセリフやキャラクター設定。これが成功のカギだったと思うが、「ユダヤ人の少年は殴る。」「金持ちの黒人みたい。」「アジア人だけどドラを持ってなくてよかった。」などは、さすがに怒る人も多いのでは?日本では作れないタイプの作品だと思う。

ホモセクシャルな関係も、この作品の中ではなんら珍しくない。ウンチが部屋にもらしてあっても、気にせずテレビを観ていられるか?デートの最中に屁をして他の客にかませる?気取っていないと言えばそうだが、面白いととるか下品で耐えられないととるか微妙・・・

人種ネタはタブーのはずだが、そこをあえて話題にすることは嘘のない姿勢という見方もできる。命を狙われかねない危険な芸風ではあるが、芸のひとつとしてありえる。ビートたけしだって、今では芸能界の顔になっている。綺麗ごとばかり聞いていると飽きてくるから、こんな映画もあるだろう。

激しいジョークのせいで、この作品は多くの場合デートで観るのは最高に勧められることになる。セクシーな内容もあるし、根底にはロマンスやハッピーな展開があるので、劇場に行ってゲラゲラ笑いながら観ることが実に容易にイメージできる。イメージできるから実際に客も来る。その点で、よく考えた企画だった。

家族で観るタイプの作品とは、到底思えない。ティーンエイジャー達には非常に受けるし、一人で観ても友人と観ても盛り上がる作品。ただし、嫌悪感を持つ人も必ずいるタイプの作品でもある。この手の作品を繰り返し作るのは難しい。やはり、拒否反応を生む可能性は高いから。

 

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