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2013年1月29日

つばさ(1927)

-  先駆性に脱帽  -

アメリカ空軍に志願する二人のパイロットと、彼らに関わる女性の物語。第一次大戦に出兵した二人は戦果を挙げるが、悲劇が襲ってくる・・・

・・・サイレント映画の傑作で、第一回のアカデミー作品賞を獲得している。昭和2年、1927年という気が遠くなるような昔の作品。なんとリンドバーグの大陸間飛行と同じ年というから、全く信じられない話。

Bow

主演はチャールズ・ロジャースという方だったが、映画の冒頭では、有名なモダンガールのクララ・ボウが最初に紹介されていて、主役より格が上。当時の人気の度合いのせいだろう。クララ嬢は、日本の田舎にもいそうな顔つきで、あんまり欧米人らしい印象を受けない。ぽっちゃり体型が可愛らしいという印象につながったのだろうか?眼の下のクマは理解できない。

主演らの男の友情のほうが映画の中心になっていた。その物語は、なかなかのもので、今でもドラマとして通用しそうな感じがする。二人が乱闘するシーンは、今の映画よりもリアルな印象さえある。共演したリチャード・アーレンという俳優さんがニヒルな表情の役者だったからか、芝居臭くなかった。

主人公のほうが多少は芝居がかった感じだったが、それでも当時の他の映画と比べたら断然リアルで、大仰なそぶりが少ない。

表現方法が凄いと感じた。本当の空中戦のように、飛行士が撃たれてゆっくり意識を失い、機がバランスをくずしていく様子を再現している。その際の風の受け方、白煙なども実にリアルで、監督が飛行気乗りだったことが良い演出を生んでいたのだろう。

今の映画の場合は、このような演出はない。今だと技術が先走るのか、すぐ爆発か血と脂がコクピットに飛び散って、後はガックリ来るかなぜか回復して逆襲する。パイロットがむき出しの状態で、顔に風が当たって表情が変形するような細かい演出までできている本作には、今の映画も敵わない。

もちろん、この映画のようにスタジオで前方から風を送って・・・といった安直な撮影方法ではなく、CGなどを使って上下左右、コクピットの内外、立体的に再現する技術に関しては今のほうが凄い。スタジオをイメージさせない合成もお手の物。でも、かえってリアルでない面もある。

それにしても、むき出しのコクピットは猛烈に寒かったろう。バイクでちょっと走るのも寒いのだから、上空で高速の飛行中の寒さは耐えられないものだったのでは?

カメラを航空機に持ち込んで撮影していたようだが、当時のカメラは相当重かったはずで、たぶん払い下げ(払い下げがあればだが)の爆撃機をレンタルして搭載していたのでは?振動で映像が乱れるようなヘマもしていない。雲の上から雲の中に飛行機が隠れこむシーンには、たぶん当時の観客は驚いたのではないか?

おそらく当時の飛行機の性能で、撮影スケジュールをこなすのも大変だったのではないか?撮影失敗も多数あるはずだから、画面に写っていないシーンを加えると大変な時間が必要。頻繁に降りたり飛び立ったりを繰り返していたかも。

DVD版で鑑賞。淀川長治氏が解説していた。映像は非常に鮮明で、リマスタリングされていた様子。音楽は新たに録音したのか?クラシックミュージックが連続して演奏され、場面との雰囲気のずれがある時もあった。

古めかしいスタイルの作品だから子供にも受けるとは思えないが、大人なら、ある程度は楽しめると思う。少なくとも、そこらのくだらないテレビドラマよりは明らかに高級な作品で、確かにアカデミー賞にふさわしいと思う。

 

 

 

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