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2012年12月31日

イヴの総て(1950)

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- デイヴズ・アイ -

栄えある演劇賞を勝ち取った女優イブには、隠された過去がある。大女優、脚本家と妻、演出家、批評家を巻き込んだバトルを経て、彼女はスターになったのだ・・・

・・・という有名なストーリー。アカデミー賞を取っている。同じ年の「サンセット大通り」よりもリアルさにおいて勝っていたように感じた。比べて二つの作品を観たら、確かに「イヴの総て」に票を入れたくなるのが自然かもしれない。演劇と映画界の違いはあっても、内幕ものであることは同じで、何か偶然でもあったのか、もしくはどちらからか作品の情報が漏れたのか?

この作品も長いこと探していたのだが、リバイバル上映会の情報もなく、ビデオが出たのか出ないのかも知らないまま。今回は「サンセット大通り」を見つけた流れで、思い出して比較するためにDVD版を鑑賞。

イヴを演じたバクスターよりも、踏み台役になったベティ・デイヴィスのほうが本当のヒロインだったと思う。出番も多かったし、迫力や存在感では断然勝っていた。もしかして、アン・バクスターはミスキャストだったのかも知れない。迫力が足りなかった。

このイヴ役には、しおらしい仮面をかぶったシーンと、本性を表して人を強請る怖いシーンとをいかに上手く演じきれるかが重要。アン・バクスターは良い娘を演じる間は良かったが、急に怖い顔をするシーンの迫力があったとは感じない。もちろん非常に上手かったが、元々の顔つき、眼力が凄かったとは言えない。

その点、眼力の教祖さまであるベティ・デイヴィスは凄すぎる。まさにベティ・デイヴィスの瞳でもって、怖い存在をアピールしていた。

Bette

若い頃の天使のような顔の彼女と後年の彼女を比べると、目の周りの肉がたるみ、ややタレ眼のようになって眼が座ったかのような印象になっている。このへんがベティ・デイヴズ・アイの特徴につながっているのだろうか?

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日本人にも似たようなタレ気味の目つきの人は多い。縄文人系~南方系の人種が持つギョロメ系統の目つきである。熊本県ではデイヴィス系の眼は珍しくない。朝鮮系の人が見たら、たぶん何考えているか判らなくて気味が悪いだろう。

もしデイヴィスが始終イヴと喧嘩をしていたら、物語は面白い展開にはなっていただろうが、やはりオーバー過ぎて現実味を失ってしまっただろう。恋人を奪ったりが現実のものに・・・という展開もありえたと思うのだが、激しすぎないほうが良かった。

演出家や脚本家といっしょに座っていた店に、イヴがやってくるシーン。彼女をにらむかのように見つめる視線がリアル。このシーンで、グロリア・スワンソン風に眼をむいてにらんだら、周囲の人の視線の手前おかしい。リアルな演出を目指すなら、冷たくじっと視線を向けるほうが望ましい。そのセンスの差が、「サンセット大通り」との違いのように思う。

ただクールに冷たく視線を向けるだけでは、よほど上手く撮らないかぎり、監督が何を言いたいのか判らず、この人物達がイヴにどんな感情を持っているのか曖昧に思う人もありうる。4人の中にベティ・デイヴィスがいなかったら、ちょっと判りにくいシーンになったかもしれない。

この作品を監督したマンキウィッツ氏は、ビリー・ワイルダーほどの大監督とは思えないのだが、この時期は連続して賞を取って乗っていたらしく、ベテランらしいソツのない仕事だった。原作も脚本も良かったに違いない。

フランスやイギリスの高級そうな店に入ろうとした時、チラと視線を向ける客達の顔を見た時に、自分に対する彼らの嫌悪感を確かに感じる。我々が外人の誰かを見ても、うるさく騒いだりしないかぎり嫌悪感を感じないのとは違い、彼らは外見や人種そのものに対して何かを感じる部分が多いのだろう。気にしない人もいれば、ただ嫌悪する人もいるようだ。

原作があるのだそうだが、よくできた話。実話がモデルになっているという噂もある。途中で若いマリリン・モンローや、最後にも次のスターを狙う新しい女優志願の女が登場したりして、話の流れがよく出来ている。今でこそ、当然の設定のように感じるが、この作品が古典的になって、今私達が鑑賞すると流れを予想通りに感じるのだろう。

翻訳のせいかもしれないが、ナレーションの言葉のセンスも素晴らしかった。ついつい気取りすぎたり、冗長になったりしそうだ。なかなかできるものではない。

この作品は、おそらくだが今の若い方達が観ても結構受けるような気がする。現代の大げさなドラマと比べると、特にその嫌悪感を示すシーンのクールさなどがちょっと物足りない印象を受けるだろうが、やや大人の人達にはニヤリと笑いたくなるリアルな印象につながると思う。ただし、静か過ぎて子供にはあんまり受けないかも。

 

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