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2012年11月15日

スタア誕生(1954)

- まさに一世一代 -

バンド歌手のヒロインは、映画スターに見初められ、彼の勧めでハリウッドデビューを果たす。ヒロインがスターになるのと反対に、元スター氏は没落していく・・・

・・・有名な作品で名前はよく知っていたが、鑑賞は初めて。有名なわりにはヒットしなかったらしいので、テレビ映画劇場の予告なども見た記憶がない。ビデオ屋さんで見つけた時は驚いた。

途中でスティール写真のシーンが何度かあったので、このDVDは1983年の復刻?版のようだが、オリジナル版では約10分ほどの実写動画があったはず。写真で省略しても170分を越えるので、ずいぶん長い作品。少し整理して良さそうなシーンも多々あった。

主役のジュディ・ガーランドは当時40歳を越えていたはずで、既に薬物中毒からのリハビリに苦しんでいたはずだから、本当のキャラクターとしては夫役のほうに近かったことになる。

そのせいか、ワンシーンで夫の回復がままならないことを訴えるシーンでは自然さにあふれ、彼女の病状を知る我々には、彼女自身の感情が入っていることが想像される。まさに一世一代の演技だったが、演技力だけでなく病状が関係していたことは間違いない。

結局、彼女は薬物がらみで亡くなったらしいので、離脱できないままだったようだ。ジェームズ・メイソンがジンジャー・エールを飲みながら禁酒したんだと言った直ぐ後にケンカして、結局酒に溺れるシーンが判りやすい。依存症は簡単に離脱できない。

一世一代の仕事をした俳優は、結構不幸さがつきまとう。ただ演技が上手いだけではなく、リアリティや迫力の部分で、異様なのめり込みが迫真の演技につながるからだろうか?

ピアフや美空ひばり、村田英雄なども、一世を風靡する芸の魅力があったが、晩年はかなり不幸が付きまとっている。不幸さが迫力につながる傾向は確かにある。

そもそもボードビリアンになるのは、親がそうだったりの理由があることも多かったはず。まともな教育を受けられずに、ただ芸の道で生きていたら、芸への自信が過剰になるし、自分を律するといった判断力が培われないかもしれないし、苦難の連続で依存状態を形成しやすい事情もあったかも知れない。

Judy_2

若い頃のジュディ・ガーランドは個性的な風貌だが、娘役として非常にかわいらしい。この作品の頃も小柄な関係で可愛らしい印象だが、さすがに目元などには浮腫みみたいな年齢的変化もある。無理はかなりあったと思う。

歌は当時でも古めの歌い方だったのではないか?50年代は、若いロック系のポピュラー歌手達が人気スターにのし上がっていたはず。彼女はダンスはもともと本職ではないし、体力的に限界だったように感じる。ただただ、身をもって演じてる存在感で圧倒するだけと言えるかも。

ジェームズ・メイソンはイメージとしては冷酷な犯罪者役などが似合うが、この役柄でも素晴らしい。病的な部分や、病気を克服できなくて自分に怒る歯がゆさなどが実に上手く表現できていた。酔っている時の陽気さも、無理にふらついたりしないのでリアル。

ただし、こちらは実生活でもアル中だったわけではないようだ。キャリアが非常に長いので、健康管理もちゃんとやっていて、本当に演技力でもって演じていた違いがありそう。

さて、この作品は良質の映画で高級な印象があるのだが、今の若い人には受けないだろうと思う。ふんだんにミュージカルシーンを織り込んで、ドラマも真に迫っているのだが、やはり年寄りむけ。恋人とこの作品を観るなども、ちょっと考えにくい。解る人には解るだろうけど。

カントリーやクラシックの歌い方にジャズの歌唱法を少し取り入れていった時期の音楽と言えるだろうか?個人的にそう思う。アメリカが圧倒的に君臨していた時代の豪華な雰囲気が、歌い方や踊り方とともに時代の雰囲気になっている。

やがてGleeのミュージカルシーンも古めかしくなる時が来るだろうか。

 

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