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2012年10月25日

ランゴ(2011)

- ヒーローたりえたか -

ペットだったランゴは、事故で置いてけぼりになり、西部の町にたどり着いた。ここの住民は水不足で困っていたが、それには裏の事情があった・・・・

・・・ジョニー・デップが声を担当したCG映画。主人公のカメレオンは首が曲がっていて、見るからに情けない姿。その彼がどうやって町のために活躍できるか、そこが見どころというわけだが、上手く作ってあった。DVDで鑑賞。

画像が非常に美しい。昨今のCG性映画の中でも特に美しさを感じた。風景も、光と影の表現も、登場するキャラクター達の肌の質感なども、非常に細かく表現されていた。

動きの表現は、モーションキャプチャーかも知れないが、人間の動きを忠実に再現する方法が使われていたようだ。役者に演技させて、それを上書きしたのか?風景の部分は、たぶん写真をそのままCG化しているよう。

こんなギャグ映画に、ここまで細かい芸術的な技術を導入するのは理解しがたい感覚だが、こだわりの強いスタッフがたくさんいたのだろう。この作品はヒットしたのだろうか?こだわりが効果として現れていればいいが。

子供達には見せていないのだが、この作品は受けるのだろうか?軽くアハハと笑うかも知れない。見た目の印象で感情移入が難しい子供もいるかも。恋人と観るのは、あんまり勧められない。受けない人には全く受けないような気がする。

この作品に、可愛らしいヒロインは登場しなかった。なぜか一時的に意識を喪失する面が目立つという設定が強調され、普通のヒロイン像ではなかった。それが良かったのかどうかは解らない。愛らしいヒロインとのロマンスは必要ないということか?

敵となる大事なキャラクターは、黒幕とガラガラヘビ、巨大なタカなどだったが、性格的にも魅力があり、しぶとく強く一筋縄ではいかない、そんな存在ではなかったような気がする。ギャグを混じえてもいいが、性格的な演出が足りなかったのでは?それに、敵は一つに絞れたほうが良い。

憎々しい敵にひどくやられ、仲間の信頼を失い、どん底に落ちる主人公の描き方がまだ足りなかったように思う。

普通の考え方なら、前半はギャグ的な主人公の行動で笑わせ、途中は恋と町の人との信頼関係の樹立、そして手痛い敗北、そこから献身的行為と逆転、やがて叙情的な終わり方になるようにプロットすると思う。

また、昨今の流れではダンサーが登場して、一糸乱れぬダンスを披露してくれることが多い。ペンギンや動物園の動物達、古代生物など種類を選ばずに。そんな流れとは一線を画していたようだが、それで観客が満足してくれたかどうかは解らない。ダンスでお茶を濁さないという方針が最初からあったのか?

物語のアイディアは素晴らしかった。ラスベガスのような砂漠の中の町は、水を運んできて成立している自然に反した存在。自然界の動物達からどう見えるか考えると、物語は他にも色々作れそう。

ここでiPS細胞心筋移植の実験をしたと報告した研究者の話。

その後の報道を見る限り、虚偽の報告だったようだが、実はハーバードのほうが黒幕町長のように裏で怖ろしい計画を練っていた!という展開にならないだろうか?もちろん、何の証拠もない単なる可能性の話。誹謗中傷を目的とした話ではない。

米国には既にiPSのベンチャー会社があるらしいので、「一ヵ月後までに心筋細胞数万個お願いします。」「ヘイ、ラッシャイ、心筋一丁!」ってな具合に効率的に作製するシステムが出来てるだろう。患者の同意さえ明確に出来ていれば、倫理委員会の問題はあるものの、なあにバレても賠償はないさ、クビになったらベンチャー企業が雇ってくれる確約はできているから、やっちまえと考えてもおかしくない。

これは荒唐無稽な話ではない。効率的に細胞を増やし、組織を作る会社を立ち上げた場合、動く金額は凄まじいものになる。既に数十億円単位で資金を集めているという噂のベンチャーなら、日本の大学がチマチマ研究している間に商品システムを作ってしまえる。市場も、おそらく米国のほうが大きい。引き抜いた研究者には資産ができうる。

その大きな野望の前に、邪魔な報告をするアホな研究員は抹殺すべきと考えないか?ランゴと同じように。自分達が倫理規定違反をやっていることで、今の時点で足を引っ張られては敵わない。 友人の法律家や会社のスタッフと共謀してアホウを抹殺。そういう流れもありうる。アホ研究者君、大人になれよ・・・そんな黒幕達の考え方が、この映画で理解できるのだ!なんて凄い映画だ!

まあ、外見上そんな凄い研究に参画する風には見えない研究者だった。ヒーローとしてはなじめない風貌、と言ったら失礼だが。けど、この映画のヒーローも外見は大したことなかったから・・・

 

 

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