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2012年10月12日

おとなのけんか(2011)

Sonyetc

- 子供のけんかもある -

子供同士が諍いを起こして一人がケガをした。互いの両親が集まって話し合いをしているが、冷静な話が徐々に感情むき出しの激しい修羅場になっていく・・・

・・・実に面白い劇だった。演じていた役者たちも楽しそうな印象。個性を表現しながらイヤミな部分を演じ、しかもユーモアを保つところが素晴らしかった。

この作品は子供向きではないと思うが、小学生でも理解できる子は多いと思う。恋人と観ても面白いのでは?家族で楽しむ映画ではないように思うが、子供が大きくなった家なら受けるだろう。

携帯電話がしょっちゅう鳴って、会話が度々途切れることを皆が不快がる様子がおかしい。実際に私のクリニックでも平気で診察室に携帯を持ち込んで話し始める患者さんは多く、礼儀の観念を疑う。

マナーのあり方は年々変わってもいいとは思うのだが、会話の途中に勝手な理由で話を中断するのも正しい時代が来るとは思えない。会話の基本は、目の前の人への視線を外さず、勝手に中断せず、無視しないこと、敬意を払うこと。

夫婦で結束して相手の両親と話すのが普通のはずなのに、夫同士が協調して妻を攻撃したり、3人が結託して一人を攻撃したり、勢力と戦いの構図がコロコロ替わるのが面白い。

携帯電話を取り上げて水鉢に入れた後、喧嘩していた妻二人が声をそろえて笑うシーンもあった。これも実におかしい。

なぜロマンスキーが監督したのか解らなかったが、面白い劇になっていた。原作が良かったのだろう。個人的には、もっと派手なスターを出演させて、話題を呼ぶようにしたら、ずっとヒットしたのではないかと思った。出演者達もスターだが、大スターとは言えないのでは?

ジョディ・フォスターが途中で夫に殴りかかろうとするシーンがあったが、ちょっとやり過ぎのような気がした。どんなキャラクターにするかにもよるが、この劇は基本的にドタバタ劇ではないので、取っ組み合いは必要ない。あくまで言葉でやりあって欲しかった。アオスジを立てて怒るような派手な表情は必要ない。

クリストフ・ヴァルツは当代ナンバーワンの悪役だと思うが、今回の弁護士役も素晴らしかった。自分が無礼な態度をとることに、いささかも疑念を抱かず、妻も相手夫婦もさげすんだ態度をとり続ける、映画の中では最高の個性だった。実社会でああだったら、たまったもんじゃないが。

実際の話、何かの遠慮がはたらいて、横柄な態度をとり続けることはできない。でも、もし遠慮を少しずつ取り払ったらどうなるか?考えてみると、この作品の展開は結構リアルだった。

弁護士が仕事内容のことで商売人をバカにするのはタブー。それを取り払ったらどうなるか?例えば企業専門に仕事している弁護士なら、一般人の評判は気にならない。人の目線を気にしない横暴な弁護士がいたら、どんな言動をとるか、考えてみるとおかしい。この悪役弁護士は素晴らしい個性だった。ぜひシリーズ化して、いろんな人達を怒らせてほしいものだ。

さて喧嘩と言えば、昨今の領土問題は由々しき事態。中国政府の広報に煽られた面はあると思うが、警察の車さえひっくり返すというのは、理解しがたい行動。想像だが、軍人などが動員されて、ある程度コントロールされた恣意的デモだったはずが、日頃の腹いせに・・・そんな便乗意識もうかがえる。それが怖い。

竹島に関しては、日本軍が領有を宣言した時期に朝鮮政権は反論できる状況でなく、戦後に今度は韓国が領有を宣言した時、日本が行動を起こせる状況になかったことで曖昧になったように思う。詳しくないので解らないが、韓国にとって島の日本への返還は、すなわち植民地支配を許すことにつながるような気がするのでは?仮に不法占拠と解っていても、譲りたくない気持ちと想像する。

譲れば、さらなる譲歩を招く懸念が、おそらく双方の政府にあるから絶対に譲歩は期待できない。子供のケンカと同じ。

それにしても、我が国で領土意識が急に高まったのは気になる。あくまで可能性の話だが、自民党よりの外交官がこっそり両国に働きかけて、領土問題で日本を揺さぶれと依頼したら・・・某国の諜報部でも良い、自国が交渉しやすい自民党や公明党に復帰していただくために何が効果的か考えると、外圧による国論の高まりを・・・という方向に走っても不思議ではない。ばれたら大変だが・・・

オスプレイの導入は反発が強くて困る。中国の脅威を際立たせれば、多少の墜落事故は仕方ない、オスプレイの能力を重視しようとならないか?・・・私が米軍や航空機会社の役員だったら、そう考える。危機が差し迫れば、事態は軍や右翼、軍事産業関係に有利に働く。エスカレートさせる人間は、自らの欲のために何でもしてきた歴史がある。

尖閣問題に限れば、オスプレイの会社と中国首脳、自民党の利害は一致している、これは間違いない。対立していることで、国内の立場や権益を確保できるという妙な構図がある。

尖閣諸島については、琉球の領土だったと個人的には思う。中国の領土だった記録は知らないが、あるかも知れない。ただ、古い記録は孤島の記述など曖昧であろうし、相手は琉球も領土と考えているから、理屈は何とでもなる。琉球は、明らかに薩摩藩に侵略されている。侵略は非人道的で尊敬すべき行為とは言えないが、そのせいで日本の領有権には一定の根拠があると思う。ただ、その根拠は役に立つかは全く判らない。

報道によれば、中国外務省は清の時代に日本が侵略して島を奪ったと記載しているそうだ。つまり、廃藩置県の時の琉球国の処遇のことか?日清戦争時代か?真偽はともかく、政府がそのように断言したなら国民はそう考えるだろう。他国から記載が正しいかどうかを論じてもラチがあかない。何と言ってもアヘン戦争時代から誇りを傷つけられてきた国民だから、圧倒的な感情によって理性など吹き飛ぶ。

領有権はともかく、かって尖閣諸島周辺の中国船の漁を小渕氏の時代に認めたらしいので、漁船活動は見守るしかない。バカな取り決めをしたもんだ。トラブル防止のために、他の国と漁船が交錯するような危険は絶対避けるべきだった。中国の漁船には、軍人がかなり含まれているはずだから、要するに軍隊の派遣と同じ。外務省は、それくらい予想できなかったのだろうか?

双方が歴史書を持ち出して、このような記載があるから我が領土と言い張っているらしいが、どちらが正しいか解るはずもない。双方に御用学者が多いので、学者もあてにならない。もともと学者は弱い存在。それに一方的に宣言するだけでは国際法上有効とは言えない!・・・これは大人の考え方だが、領土問題では通用する考え方とは限らない。

相手国が法的有効性を気にするはずはない。歴史上正しいかどうかに関係なく、米国の影響力が薄れれば中国は領有権を拡げようとするはず。韓国は対馬の領有権も主張しているという話。際限ない・・・

考え方を変えれば、アメリカ軍が沖縄にいることは、本来なら妙なことではあるから、米軍の邪魔になるように、近い地域を占拠したいという方針は、戦略上は正しいと思う。常に侵攻、少しでも進出して初めて現在の領地を守れるのだから。

もし仮に中国政府が日本政府と見解を合致させたら、今度は中国の政権が持つかどうか解らない。政権が変わったら大変。民族間で紛争が起こるし、党員と非党員、金持ちと貧乏人、軍と民衆、激しい混乱が予想される。死者は十万~百万単位で出るし、余波で日本を侵略しちまえといった過激派が出るかも知れない。

新天地を求めて中国に進出した企業の中には倒産するものも増える。物流も狂って、商売がなり立たなくなる業界が双方に続出。人命も権利も金も、双方の全てが危険にさらされる。なんとかソフトランディングを目指すべき。

ただし、相手はそう考えない。押すことしか考えず、成り行きによって内心しまったと悟っても、自分は正しい判断をしたと主張を続けるだろう。そうしないと、即ち敗北や死を意味する。どんな勢力も、互いにそう考えるのが自然。動物の群れの中で自分の間違いを認めたら、仲間から殺されるのと同じ理屈。

領土がからんだら動物的な戦いになり、大人であるのは無理。屁理屈だろうと何だろうと、ひたすら主張し続けるのは、ひたすら攻撃を続ける動物と似た基本的ルール。必ずも反論する必要はなく、別の理屈を展開するのも原則。国同士の争いは、子供の喧嘩やイジメの論理に近い。屁理屈を延々と述べて、相手の意見に理解など示さない。「いつオレがそう言った!何時何分に言ったか言ってみろ!」などという無茶な子供の理屈と同じ。

戦い方はおよそ決まっている。相手方のいかなる根拠も認めない。主張を飽きずに繰り返す、ヤバイ場所での裁定は拒否、屁理屈をこねて少し進出し実行支配を目指す、相手のミスや何かの間隙を期待し、少しずつ勢力の及ぶ範囲を拡げる。それは、どこの国もやってきたこと。子供の頃、ワルガキたちもやっていた方法。

日本は立場が弱い。武力行使は憲法で禁止されているから、よほど明確な侵略行為がないかぎり手を出せない。でも現時点では、それを逆手にとるしかない。どうせ日本単独の軍事力で相手を殲滅するのは困難だから、緒戦では被害者としての大義名分を得る方針しかない。ただし緒戦からの立ち直りが可能な生き残り戦略を練る必要はある。今は武器が進んでいるから、一気に制圧される可能性もあり、簡単には言えない。

私がそんな心配をしている頃、9月18日だったか、テレビのゴールデンタイムではAKB48のジャンケン大会をやっていた。盛り上がっていたようだったが、いくら何でも下らなさすぎると呆れてしまった。もはや侵略されても仕方ないかも。

 

 

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