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2012年10月22日

狼たちの街(1996)

- ヌードが無駄に -

ロス警察の特務部門のメンバーが、美女殺人事件を捜査する話。原題は「マルホランドの滝」で、主人公達がギャングを脅すために突き落とす崖のことだが、意外なことに自分達が同じような目に遭うことになる・・・

・・・完全にハードボイルドの世界。正義のためと言いつつ、ギャングを拉致して突き落としている。殺したかな?などと言いながら、確認もせず適当にほったらかして去っていく。ありえない暴力警官達の話。

仲間同士の会話が面白く、特に最後まで共に戦う仲間は精神分析を受けていて、どこか会話がチグハグでおかしい。面白いキャラクターだった。名作になっていたら、彼はきっと凄く有名になっていただろう。良いキャラクターだった。

スター級の俳優が不必要なほど出演している。スター達も面白い題材だと思ったからか、製作者達がメジャー作品を作ってきた連中で傑作が出来そうだと考えたのか、もしくは単にギャラが良かったのか?理由は判らない。

「LA.コンフィデンシャル」のほうが同系統の作品としては有名だと思う。この作品はフィルム・ノワールの流れにあって、かなりクールな演技が目立つが、原爆開発に絡む秘密、色恋、ホモセクシャル、警察とFBI、軍との対立など、少し手を拡げすぎて失敗してしまったのかも知れない。

邦題もよろしくないと思う。何が良いだろうか?ロスアンジェルスの滝?刑事〇◎?原爆開発秘帳?・・・さらに売れなさそう。

フィルム・ノワール作品がヒットする要件はいくつかあると思うが、この作品は多くの要件を満たしている。

①主人公がタフであること。・・・タフさにおいては、ニック・ノルティはボガードよりもずっとタフだろう、殴り合ったら勝負にならない。②ファム・ファタールとしてジェニファー・コネリーが存在し、主人公の家庭は崩壊している。・・・これはその通り。③黒幕を徐々に追い詰めるが、逆襲も激しい。仲間に死人も出る。・・・これもその通り。④敵に対して容赦ない行動を互いにやる。・・・これもそう。

考えていたら、味方の裏切りはなかったようだ。上役にはぜひ裏切って欲しいものだ。それに暗闇で乱闘せず、明るい室内で戦っていたが、暗黒街のイメージは夜がふさわしい。さらに、そもそも最初のビデオで、ある程度の筋書きが判ってしまう。決定的にマズイ段取りだったかも。

でも、かなり面白い作品。寝てしまうほど退屈はしないと思う。子供には向かないし、恋人とハードボイルド映画を鑑賞というのは、そもそも勧められないので、たぶん同性の友人達と観るのが良い鑑賞方法。

主役はニック・ノルティで、渋いというか、ほとんど野獣のような顔つきの個性派俳優。「48時間」では最高の存在感を出していたが、二級品映画に似合う極端な個性が仇になったのか、大スターにはなれていないように思う。でも、この作品ではキャラクターと役柄が合致していたので、かなり魅力的。

ただし、彼の個性は本来は主役に向かないような気がしてならない。何か失敗して、苦しい戦いの後に苦い勝利、自分は傷ついていて、ほんとんど負けに近い、もしくは暴走の挙げ句、仲間を皆死なせてしまっている、悪役のような苦い勝ち方。勝っても嬉しくない、そんなヒネた勝ち方が必要だった。そうでないと観客が満足するはずがない。

暴走する警官は、映画の主人公には最適のキャラクター。様々なアクション俳優が、いろんなタイプの刑事役を演じている。最近だとジェイソン・ステイサムが無茶苦茶やっているが、ボガードの時代よりも凶暴さが目立つようになっていると思う。

Jenifa2  

ジェニファー・コネリーが魅力的。死体の役もやっていたように思えたので、かなりの熱演。ヌードも披露していたが、ヌードシーンが繰り返されると作品の質は下がってしまう。自ら二級品ですと言うようなもの。小出しにして印象を残すべきだった。おっぱいを出しすぎ。

それにヒロインは途中で死んだ方が、観客の同情を買いやすいと思う。最初から死んでしまっては、言ってしまえば過去の人、感情移入にも限界がある。可愛いところ、悲しい過去などを話させて、ある程度の同情をひいた後に死んで欲しかった。

濡れ場を演じ、主人公が悩み、悲しい別れ、そして死というふうに、時系列に沿ったほうが良い。男の誰かが死んで、その謎を解く場合は時系列と逆でも構わないが、美女の場合は最初は生きている必要があると私は思う。ヒロインの敵を討ちたいと観客も思えるようにすべき。

ジョン・マルコビッチが尋問に対し、原爆の基礎理論や妙な文明論をぶって煙に巻こうとする際のセリフが良かった。彼のキャラクターも大事で、妙な思考をする真からの悪役になっていれば、戦いの盛り上がりも増したと思う。部下が中心になっても、何の意味もなかったはず。

主人公に観客が同情~共感するためには、主人公がひどい目に遭うことも必要だ。殴られて気を失うくらいは欲しかった。

死体の足に放射性物質が刺さっていた話は、どうやら適当にくっつけた設定のように思えた。素足に放射能で汚染されたガラスが刺さる機会はなかったと思うのだが・・・

コネリー嬢がせっかく脱いでいたんだから、しっかり有効利用=大ヒットにつなげてあげたかった。

 

 

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