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2012年9月 3日

ヤング≒アダルト(2011)

- 流産の影響 -

美人だが結婚に失敗した小説家の女。仕事にも行き詰まり、生活も荒れている。故郷の元恋人を略奪して新しい人生を歩もうと考え、故郷の街に戻ってきた・・・・

・・・究極の美人女優シャーリーズ・セロンが演じる勘違いの我がまま女は、映画のキャラクターとして非常に魅力的だった。もちろん、付き合うには最悪。ブサイクな女がヒロインを演じていたら、好感の持ちようがないと思うのだが、美人の場合は下品なゲップも、だらしない寝方も、愛嬌で済んでしまうところがある。ヒロインは美人であることは得にならないと言っていたが、やはり得することが多いのだろう。

Photo

上の画像も凄い魅力。美男に生まれてこなかったので、美人の感じることは解らない。おそらく、美人なんだから人に好かれそうといった気分になるのでは?子供の頃は特にチヤホヤされるから、自然とそんな感覚になると思う。

ただし、女性からセロン嬢を見ると、もしかすると嫌悪感に近いものを感じるかも知れない。やはり嫉妬に近い感情は起こりうるし、この作品のヒロインはユーモアで済まない程度の我がままだったから。セロン嬢も凄い野心的な役柄を演じているので、人間的には激しすぎる人かも。

ストーリーも面白かったが、登場してくる人物も愉快な連中が多かった。ヒロインの親戚の男は、いかにもそうでありそうな話し方をする嫌なヤツ。同級生の肥満体の障害者は気の毒な男だったが、体格や表情、趣味など、いかにもというキャラクターだった。

この作品は、子供には見せたくない。大人だけだったら、同性の友人といっしょに観るのが最も正しい鑑賞のパターンではないか?異性が混じると、やや人の目を気にして観てしまうので、本来の味わいが薄れてしまう。そんな印象の映画。

カセットテープを使えるオーディオが少なくなってきて、そのうち冒頭のタイトルバックの映像が理解不能な時代が来るような気もするのだが、カセットの動きのテンポが非常に良くて、良くできた演出だと感心した。画面の切り替えを音に合わせるだけでも、テンポが良くなる。そのあたりのセンスが良かった。

ヒロインのキャラクターが映画的には非常に良かった。その行動が面白い。故郷の町に戻っても、実家に行かないでホテルで暮らし、見つかったら独特の表情を浮かべる。フライドチキンなどを大量に注文してガッツく、笑えるほどどリアルな行動パターンが、存在感たっぷりだった。あれも、ある程度以上の美人がやらないと、怒りたくなる。

乳にはめるカップ状の物は何という名前か知らないが(チチカップ?)、あれをはめたまま抱き合う姿は、悲しくもおかしい。

そう言えば、最近のブラジャーは、必ず下から支えるスポンジみたいなものが入っていて、診察の時に邪魔で困る。ブラジャーの下から聴診器を入れようとしても、乳房が落ちないようにしっかりと固定されて、間に聴診器が入らないのだ。

仕方ないから、ブラジャーの上から聞こうとしても、あまりに部厚い遮蔽物が邪魔して聞こえない。いちいちブラジャーを外してもらうと、変態医者かと勘違いするのか、嫌な顔をされる。こちらは弁膜症や肺炎を見逃すのが怖いのだが、若い女性の診察は要らぬ緊張をしないといけない。

診察する側の都合を無視して来院するのは、もしかして彼女達、ヤング・アダルト女性だったのか!そもそも、下から上げて横から寄せて、いわばオッパイの大きさを演出する詐欺行為をはたらくなんて、ロクな人種ではない。ハゲを隠そうとする私でも、帽子などで控えめに隠しているだけだ。詐欺には当たらない。

昔だったら、あんな女性はタバコをスパスパ吸っていたことだろう。タバコは、考え方を表す道具だった。いかに仕事熱心なやり手でも、周囲の人間への害などは気にしないという生き方が出る。健康に対する用心もアホ臭いと考えていること、怖れを知らないことなどが表現できる。でも、今は喫煙は極端に減っているから、映画でも使われなかったんだろう。

いろんな考え方がある。人への迷惑を気にしすぎて引っ込み思案になる人がいれば、自分の健康も人への害も気にせず、自由奔放な生き方に疑問を感じない人もいる。新聞をにぎわす汚職事件や、イジメ自殺事件などは、考え方や生き方が全く違った雑多な人間がたくさんいることを、改めて認識させる。

酔っ払ってベッドでうつ伏せになって寝るヒロインの姿がおかしかった。私の周りにも、全く同じ寝方をする女子が約一名いる。あいつらの生き方を表しているのかもしれない。誰かモデルがいるのではないか?監督の奥さんが、もしかしてそうなのか?

そう言えば、家内の母親によれば私の寝姿は必死に耐えるかのごとく、天井を見て微動だにしないと言う。また、歯医者さんによれば、夜間に歯軋りをしていそうだとのこと。それを聞いて、私は自分で自分が可哀相になった。

プリンターのインクが切れそうになったら、唾をつけてごまかすというのも良い演出だった。ついでに色々とエピソードをつけて欲しかった。物が腐ったキッチンや、冷凍食品100%の冷蔵庫、山のように溜まったイヌのエサの缶、ゴミ袋、そのくせオシャレ関係の物品は充実しているなど、観客が嫌いにならない程度の御愛嬌を見せて欲しかった。題材がなければ、我が家の台所を見てもらうといい。

独特の考え方を演じたセロン嬢の演技は見事だった。美人女優であっても、ニコール・キッドマンなどでは愛嬌が出てこないと思う。セロン嬢を選んだのは正解だった。

ただし、最後のほうで元恋人に不倫を迫る場面のセリフは、少しボカシたほうが良かった。色気たっぷりに迫り、元彼氏がタジタジとなるだけにして、セリフは少ないほうが自然だったと思う。色気が武器なんで、実際の場面ではしゃべらないと思う。

言葉をベラベラしゃべったことで、大人の関係、あうんの意思疎通、交渉術のレベルを落としてしまった。本物のヒロイン的女性だったら、大勢の人の前で失態を演じるような愚は犯さない。時と場所を選び、人気のない場所で速やかに事を成立させようと慎重かつ大胆に行動するだろう。

セロン嬢ほどの美女でない場合、彼女らの多くは愛想を良くしようとする。笑顔がステキな、なんて性格の良い娘さんだ・・・・と偽って、実はヤング・アダルトの本性を出す場合もありうる。どこで見分ければ良いのか、いまだによく解らないのだが、おそらくは映画などを参考に、行動や表情のパターンの共通点を探し、客観的な分析をする必要があったのではないかと反省している。

そう言えば、知り合いの先生夫婦と、その友人の話。夫婦の共通の友人が、「あいつとは絶対に結婚しないほうがいい。」と言っていたのに結婚し、ほれ見たことかと本人に話しているのを聞いたことがある。でも私から見れば、私達夫婦よりは良好な関係を保っているように見える。単に諦めの域に達しただけだったかもしれないが、外から見るだけではよく解らない。

今の時代は、とにかく勢いで結婚して子供を育て、後のことは後で考えるという生き方が良いのかもと思う。20代の前半で、一回は結婚を義務づけてもいいかも。そうしないと子供が増えず、国が成り立たない。24才くらいで未婚の人には、国から「あんたは誰それと結婚して1年以内に妊娠してください。」と赤紙が来るってのはどうか?「いやだー、あのブサイク男だけはいやだー。」ってな悲劇も生じるかも。

適当な結婚をしてしまうとケンカが絶えず、直ぐ離婚する、育児放棄、浮気など、いろいろなトラブルも多くなると思うが、相手を慎重に選んでいるうちに出産の機会を逃すことのほうが最悪。不妊や流産の危険は、医学が進んでも常にあるのだから、妊娠のチャンスは増やしておいたほうが良い。国家的に養育費を保証する必要もあるだろうが。

作品では、ヒロインは流産したことが心の傷になっていたようだった。流産は大きな失望、喪失感を生み、別れるきっかけにもなる。とらえ方によっては、この作品はひどい悲劇映画だ。少し描き方を変えるだけで、トラウマになっていることを観客に解らせることができたはず。

もし流産しなかったら、おそらくヒロインは文句を言いながら子育てしつつ、今頃は既に離婚していたかもしれないが、ひょっとすると子だくさんで文句の多い女になっていたかもしれない。それならば、それなりに立派なことだと思うのだが・・

 

 

 

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