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2012年8月28日

タンタンの冒険(2011)

- 今風ギャグが欲しい -

フリーの記者で冒険精神旺盛なタンタン君は、購入した模型を何者かに奪われる。模型には、旧名家の残した財宝の秘密が隠されていたのだ。タンタン君は酔っ払い船長とともに、敵の一味と戦うが・・・

・・・タンタンの冒険というマンガがあったのだそうだが、全く知らなかった。それを題材に、CG技術を駆使して半分実写のような独特な画像にして、新たな冒険物語を創造したといったところらしい。タンタン君の似顔絵がマンガなのに、画面に写るタンタン君はCGで立体的という冒頭の解説めいたシーンで、前知識のない人間でも理解しやすいように、細かいサービスがなされていた。

非常に解りやすい話だった。全世界で売るためには、タンタン君のマンガを知らないことを前提にしないといけない。主人公の顔や姿、キャラクターまで、単純明快に解説しないといけない。それを、本人や周囲の人物によって要領よくこなしていたのは、企画をしっかり練るトレーニングをこなした人物がスタッフに多かったことを意味する。

よくできた話だった。奇抜とは言えないかも知れないが、懐かしい冒険小説の雰囲気が私にとっては心地よく、面白い。でも、若い人には古めかしくて耐えられないという感想につながるかも。子供には、刺激不足といった印象も与えかねない。恋人と観るには、ちょっと幼なすぎる作品。

ダム湖のほとりの城から、敵の車を追って海辺に至る追跡劇が最高の見せ場だった。よく考えて、紙を奪っては奪われ、空を飛んではロープをつたうという長い流れが実によく出来ていた。これが実写だったら、どんだけ受けたろうかと思う。

この作品は、子供(健全な)は楽しめると思う。かなり小さな子供でも、理解できる部分が多いと思う。そして、かなり年配の人でも、古いアニメを観る感覚で楽しめると思う。恋人と楽しむ作品として最適ではないと思うが、アクションのシーンなどの見せ場があって、それなりに楽しめる。そう考えると、この作品は万人向きではないか?そのわりに大ヒットしなかったらしいのだが、知名度の問題か?健全な子供は息絶え、ヒネタ子供しかいなくなったのか?

人物の動作は、モーション・キャプチャーの技術が使われていたのだろうか?ほとんど実写のような体の動きに、顔だけがCGといった印象を受けた。顔と体のバランスが難しいところだが、かなりマンガチックな頭でっかちの状態にしたのは、たぶん適切な判断だったのだろう。でも、一般人が多いシーンでは、バランス的に違和感を感じる場合もあった。

ひょっとして、完全なアニメスタイルに徹する回帰路線、もしくは完全CGに徹するピクサー路線のいずれかにしていたら、この違和感がなくなって、観客受けはしたのかも知れない。よくは解らない。ストーリーの問題、キャラクターへの興味の問題だったのかも知れない。

話の流れは、懐かしい‘少年少女冒険小説’風の、教育上の観点からも推奨されるような、あの独特の雰囲気。やや古すぎる印象はぬぐえない。海の上の戦いで観客に受けるためには、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のような、強烈な個性の船長が必要だった。この作品の船長も相当に個性的なんだが、ジョニー・デップのように目の下にクマがあるわけではない。単純な人物と思える。その点で、今の時代に受ける要素が足りなかった。

私の感覚で‘酒びたりの船長’となると、ハゲ頭にビール腹の赤鼻となるのだが、あちらの酔っ払いは人種の違いか、体型を維持できるのか?受けを狙うなら、野獣のようなヒゲの大男か、‘トラひげ’のような好人物か、白鯨の船長のような不気味路線か、いずれかが望ましかった。

今風のギャグで受けをつかむという手もあったと思う。最近のCG映画でヒットしたものは、ほぼ例外なく、ドギツメのギャグを使っている。ラップ調の歌なんか誰でも歌う。せめてギャグだけは、昨今のテレビと同じノリにすべきだった。これは、ほぼ間違いないと思う。

ジャングルの中の戦い、謎の無人島、人食い人種や怪獣などの、本当に子供受け狙いの設定があったら、ヒットの具合も違っていたかも知れない。あるいは、原作から大きく外れて宇宙~現代の都会の物語といった自由な設定だったら、同時代のリアルさで何か印象も違っていたかもしれない。全く新しいSF冒険の脚本を書くことは、契約上の問題があったのかもしれないが、やはり過去と現在では、受けが違うのだ。

でも、面白い作品だと思うんだが・・・

 

 

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