映画評

  • 当劇場は劇場主のための映画館です。訪問者を期待しておりません。内容の客観性、正確性は保障できません。でも、真摯な批評を目指します。

劇場主

  • 乙女座 AB型 どの占いでも最悪の運勢 内科クリニックやってます。

Conflict of Interest

  • 特にありません。

おことわり

  • 当劇場は誹謗中傷を目的としておりません。もし権利を侵害されたと感じられた方は、申し訳ありませんが管理会社や公的機関に御相談ください。

« 国会原発事故調査委員会報告書(2012) | トップページ | 崖っぷちの男(2011) »

2012年8月 1日

ステキな金縛り(2010)

- 本当にステキでした -

弁護を担当した事件のために、落ち武者を連れてきた裁判を描いた三谷幸喜監督の作品。

お馴染みの役者達が、総動員に近いくらい出演したオールキャストタイプの映画だったが、いつものことなのでそれもお約束の安心感があった。誰かが出演していないと、何かあったのかと不安になる。

この作品のアイディアは良かった。落ち武者を演じる役者が喜劇的だと、幽霊が活躍する作品に特有のブラックユーモアが生じる。そこに生きている人間との心の交流でもあったら、意外な感動につながるというもの。

この作品は、そんな狙い通りの出来だったのではないかと想像。子供も大人も安心して楽しめるし、軽過ぎず、重すぎず、笑いと涙と両方味わうことが可能な、完成度の高い良品だった。恋人と観る作品としても悪くないだろう。

深津絵里の最近の活躍は素晴らしい。デビューの頃はただの一般的なタレントで、直ぐに消えてしまいそうな印象だったが、喜劇やシリアスな作品での演技は、鼻につくような点がない。本物の女優だったようだ。

落ち武者が変な表情を見せて、自分の認識を確認しようとするシーン・・・

Photo  

・・・あの表情は観客に解りにくい方向から撮影されていた。アップに一瞬切り替えるか、手で隠れないような仕草を選ぶと良いはず。誰も気がつかなかったのか?

落ち武者役は、もし可能ならばだが、志村けんのような個性が欲しかった。立場が悪くなった時に哀れみを請う情けない様子は、志村のほうが向いていると思う。西田も大変な好演だったが。

ヒロインと対決する中井貴一は、個人的にはミスキャストだったような気がした。あの役こそ、阿部寛が演じるべきではなかったか?アクの強そうな表情で、ヒロインを口論でうちのめし、体格でも声でもヒロインを圧倒し、汚い手を使ってでも犯行を立証しようとする辣腕検事が望ましい役柄で、そのためには 阿部のほうが向いていた。

それは解っていたはずだから、何かの意図があって紳士的な中井を検事役にしたのだろう。検事と弁護人の対決を中心にすると、間に立つ幽霊から注目が外れてしまうと考えたのか?

阿部が演じた役は、西田敏行のような太った役者のほうが本来は向いていた。デブがタップダンスを踊ると、それだけでおかしいし、太った老人のほうが急死しそうな気がしてストーリー的にも納得がいく。

郷土史家の役者は若過ぎた。老人がふさわしい。痩せて、何かに取り付かれて一生を棒に振った変人のほうがイメージに合う。

犯人をあぶりだしていく話や、映画の冒頭で実際の犯行が観客に提示される必要があったのかにも疑問が少しあった。これを徐々に観客に悟らせる展開は無理だったのだろうか?

姉妹になりすます・・・そんな設定が必要だったのかにも疑問を感じた。何かの理由で邪魔になった女を殺し、罪を夫になすりつけるべく偽装工作をする、それだけで充分では?

証言を得ようと協力を頼んでいた人の良さそうな証人が、実は犯人一味だった・・・・そんな怖い展開が最後に明らかになったら、喜劇なのかミステリーなのか解りにくくなるかもしれないが、面白いと言えば面白いでは?

 

 

« 国会原発事故調査委員会報告書(2012) | トップページ | 崖っぷちの男(2011) »