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2012年7月 2日

ボディ・ダブル(1984)

- 雰囲気が大事 -

閉所恐怖症の俳優が主人公。偶然知り合った男から女性のノゾキを教わる。女性を好きになった主人公だったが、彼女は殺されてしまう。失意の主人公は、あることに気がつく・・・

・・・デ・パルマ監督発案の作品らしい。ヒチコック映画の雰囲気を再現した、やや古めかしい映画だが、出てくるのはポルノ女優のような80年代風の人物達で、舞台を現代風に変え、ややドギツイシーンも挿入して作った印象。

「リラックス」のプロモーションビデオみたいなシーンがあった。懐かしい曲だが、映画の中での使われ方には多少疑問が残った。一般的傾向として、どこまで現実で、どこからが誰の視点で撮影されているのか曖昧にすると、理解できなくて怒る観客もいるはず。評価を落としてしまう。

フィルムの違いか、シボリの違いか、映像が最近の映画よりもぼやけて見えた。懐かしい印象には役立ったかもしれない。あんまり高精度の、詳細まではっきり見える画面だと、安物のテレビ映画のような雰囲気になってしまうだろう。ぼかしたほうが、古い名画を見ている感覚になれる。

主人公と女性が抱き合ったかと思えば、カメラがクルクル回りだすシーンがあった。ヒチコック映画でも、突然のようにサイケデリックな花柄が登場したりしていたから、急に演出が替わるのも構わないだろうが、その効果のほどは解らない。

今なら技術が進んで、CGで立体的な表現ができるのだろう。先日のバレーの試合の放送には驚いた。今やったばかりのアタックシーンをCGで立体的に、各方向から再現して3Dでやっていたようだ。そこまでやる意味は解らないが、技術的に凄いのは間違いない。

登場人物の多くは知らない俳優ばかりだったが、メラニー・グリフィスは目立っていた。彼女は「ワーキング・ガール」のヒロインのイメージが強いのだが、この作品のほうが上手かったかもしれない。話し方などが、いかにもポルノ業界で生きている人間のような気がした。実像にも近いのかもしれない。

髪型が懐かしい。当時の歌手や俳優の多くが、あんな髪型をしていた。玉置浩二風と言ってよいかも。今は全然流行らないスタイルだが、当時はあれがバブリーで、先端を行っている感覚だった。

踊りが色っぽかった。本職のダンサーが代役でやっていたのではなく、本人が踊っていたように見えた。ぎこちない点はあったかもしれないが、役柄から考えると、それで良かったのでは?本物のダンサーが踊っていた場合は、初々しい印象はなくなってしまっただろう。

ボディ・ダブルというのは、代役といった意味らしい。映画の最後のほうに、オッパイの美しい女優が出てきて、オッパイを写す時だけ女優と入れ替わるが、あんな風に「体の代役」に限定した言い方かも知れない。アクションシーンで替わる場合はスタントと言うのが普通だろうから、業界独特の隠語のような感覚で使っているのかも。

映画の構成は、最後のほうで解らなくなってしまった。結局、主人公は現実社会でいったん解雇されたのかどうか、ちょっと曖昧になっていたが、そんなことはどうでもいいと思う。ストーリーより、雰囲気が大事な映画だから。

もし可能なら、謎解きの要素を中心にして、最後に真相に気がつくような展開が欲しかった。つまり、主人公が何かを疑って探索した結果、予想外の本当の真相が明らかになる。その過程で、主人公は自分の病気を克服し、さらにオマケとして思わぬ恋が生まれていた・・・そんな展開がヒチコック風。

この作品は家族で観れる映画ではない。主人公は犯罪者と言えるので、子供にはよろしくないだろう。恋人と観る映画としては、意外に悪くないかも知れない。やや時代遅れだし、大変な感動作とは言えないだろうが、何か実験的で、少しオシャレな印象を受ける作品。

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