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2012年7月23日

ディーバ(1981)

- 印象的アイテムだらけ  -

オペラ歌手の黒人女性のファンである青年が主人公。歌声を録音したテープを狙う一団と、暗黒街のボスの秘密を探る警察、殺し屋の三つ巴の状況になり、主人公の逃走劇が展開される・・・

・・・香港か韓国系のノリで作られた不思議な作品。フィルムノワール風の展開と、恋心に近い関係を写したデートのシーン。お約束の灯台、エレベーター、工場跡、血まみれの受話器に加えて、印象的なベトナム人女性。たぶん、東洋系の作品の影響を強く受けている。

ベトナム人女性は非常に魅力的だった。色っぽさが判るセルフポートレートらしき写真も良いアイテムだったし、ローラースケートで美しく走る姿は非常に優雅で、バレリーナのような美しさを感じた。よく彼女を選んだなと感心。

芸術家の個性はやや解りにくかった。過去に暗黒街で活躍していたといった解説が必要だったはずだが、私が聞き逃したのか判らなかった。上手にギャングたちと渡り合うだけの何かの経験が強調されてはいなかった。

印象的なアイテムが多かった。インテリアの配置や、壁の絵はいかにも芸術的なセンスに満ちていたが、がらんどうのような単純な構造だったから、あんな部屋で眠ったら、さぞかし寒かろうと思えた。

黒人のディーバも印象深いアイテムのひとつだった。それとベトナム人女性。波のように動く置物。ただポツンと置いてある浴槽。あれは寒そうだ。作品のテンポを調節するのに使われていたようだった。多くの登場人物の個性を際立たせることに工夫がしてあったので、物語性が出ていた。刑事の一人が、自分の脚力自慢を繰り返していたが、あの端役でさえ個性的だった。主人公が逃げおおせるのか、気になるような見事な走りだった。

人種がたくさん。実際のパリも昔からの国際都市で、黒人や東洋系、それぞれのハーフらしき人達が多かった。空港ではさらにひどくて、アラブ系の集団と韓国系中国系の集団が、周りを気にせず自分達の世界を作っていた。映画の舞台として、ダイナミックな展開に便利だと改めて思う。

この作品は、子供には向かないように思う。犯罪者の映画には違いないし、殺しのシーンもあるし、健康的な面はないから。恋人と観る映画としては相当に良い。ハリウッド製の見事なアクションはないものの、なんだか手作りのような味わいと、芸術的なセンスに満ちているから。

ただし、やはり一級品の大作映画と比べると、荒削りの印象はある。繰り返しになるが、ギリシヤ人?らしき芸術家が、爆弾に対して手をうっておくこと、台湾のギャング達が彼をそのまま逃がした理由、自分達の車に帰らなかった理由、暗闇の中で自分が敵から見えないと確信を持てた理由などなど、細かい点では無理を感じた。

ディーバと呼ばれるほどの歌手は、自分の身の危険に絶えず神経を使っているはず。郵便配達の人間が部屋に入り込むのは普通はありえない。誰かが代理で受け取るはず。さらに、一度でも何かを盗んだ人間は、絶対に信用されない。命まで取られかねないから。ストーリー展開には未完成な部分があった。

細かい点まで詳細に検討したら面白味が失せる傾向はあるし、ハリウッド映画のような印象になる危険性もあるし、いろんな人間がチェックを働かせる手間が大変だが、もしチェックが成功すれば、最後の段階で観客の感服を期待できると思う。

 

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