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2012年6月10日

バグダッド・カフェ(1987)

- 個性的な話 -

荒野を走る道の脇にあるドライブインモーテルにたどり着いたドイツ人の女性。店の女主人や、不思議な仲間達と知り合って、不思議な関係が出来上がる。しかし、ビザの期限がやってくる・・・

・・・主人公の太ったドイツ人女性の顔と体型が素晴らしかった。痩せた女性では話が随分違った方向に行っていただろう。美しいスタイルの女性だったら、なにか色っぽいことが起こるのではないかという期待が起こるが、この女性では独特の方向に向かうだろうと感じることができる。本当に独特の個性の持ち主だった。

一般的な痩せ型、もしくは表情豊かな女優では、やはり一般的な演技しかできない。凄い名演の場合は、ああ上手いなあという感想は得られるが、美しい女優が演技でデブを演じているだけという、いわば観客と俳優相互の約束、了解の下の遊びのようなものの上で成立する関係。

最初から、およそヒロインにふさわしくない肥満体の女性、しかも性格的にもおかしそうな女優は珍しいので、面白い作品になりそうだという期待が生まれる。そして実際にも非常に面白く、個性的な映画だった。ヒロインが何を考えているのか、前半部分ではほとんど解らない。

少し完成度に問題があるような気がした。何か実験映画、個々のシーンのイメージにこだわり過ぎて、全体のバランスを損なったような微妙な作品。でも、個々のシーンが素晴らしいので魅力あふれる、そのような出来栄えだった。

夕日の中でブーメランを飛ばす、それだけのシーンでも印象的だった。水のタンクを掃除する、それすら印象的に描けるものなんだなあ、と感心。

ヒロインの女優は、「ローズ家の戦争」の家政婦役をやっていたそうだ。でも、あの映画では全く目立たなかった。日本の俳優がハリウッド映画に出ることも多いが、扱いが低いというか、端役に近いことが多い。彼女もそうだったのか?本来の魅力を出すためには、監督スタッフとの交渉が必要ということか?

ドライブインの女主人の演技は、やや空回りの印象を受けた。ヒロインの引き立て役としてキャスティングされていたに過ぎないからだろうか?彼女に観客が同情するように、悲劇的に描くのが普通の路線だと思うのだが、あえて現実味を出さない方向を狙っていたのか?そのへんは解らなかった。

もともとはミュージカル女優らしいから、やや演技の質が合っていなかったのかもしれない。途中でミュージカルタッチのシーンも確かにあったので、あれに合わせてキャスティングされたのかもしれないが、ドラマのほうに重点をおいてあったので、

その娘や息子の存在も、やや嘘っぽい印象を受けた。もう少し存在感を出すことも可能だったのではないか、それによって彼らへの同情を集め、彼ら家族全体への好意が得られる路線もあったように思えた。

でも、そんな路線はありきたりのメロドラマになりがちという面もあったかも知れない。個性がなければ、誰も観てくれない。だからドラマの原則を無視して、あえて個性を狙うのも悪くない。もしくは、単に荒削りの演出だったのか?

この作品は、おそらく子供には退屈。映画好きには受ける。相手によっては恋人にも受ける。受けない相手には全くいけない、そんな印象を受けた。そもそも、どんな狙いで作品の企画が誕生したのか、それが皆目解らない。雑談の中で、イメージを膨らませるうちに出来上がった話か、もしくは実際の旅の中でヒントがあったのか?

そこが簡単に解らない点も、作品の個性、魅力になっている。

 

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