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2012年5月 3日

はやぶさ/HAYABUSA(2011)

- 大変よくできました -

小惑星探査機のはやぶさの準備から帰還までの経緯と、その開発スタッフの活動を描いた作品。この作品を、20世紀フォックスが製作していたとは知らなんだ。

フォックス製作と言っても、役者も監督も完全に日本人ばかりで、日本映画と違う演出はいっさいなかったようだ。フォックスも日本側に敬意を表してくれたのか?この作品は家族で観ても、子供だけでも楽しめるし、恋人といっしょに観ても、少なくとも悪い印象は受けないと思う。その点では珍しいほどの、八方美人型作品。

主役は竹内結子。とぼけた表情が目立ち、本来のキャラクターとは多少違っていたような気もした。観客受けを狙って、素人くさい人物が成長する過程を描こうとしていたように思えたが、元々の題材が素晴らしいので、個人的には感涙を狙う路線でやって欲しかった。

つまり、とぼけた表情はいっさいなし。懸命に仕事にうちこむのだが、どんくさくて失敗に次ぐ失敗、挫折の連続。自分への自信も、企画への熱意も失せかける。泣いてばかり。それが徐々に成功へとつながるストーリーでも良くはなかったか?暗い映画になってしまうかも知れないが。

狂言回しの役割を西田らにやってもらって、大真面目のドジの活躍に拍手を期待する、そんな路線ではクサ過ぎるのか?

企画の中心となった人物を、西田敏行や佐野史郎が演じていた。実在の人物をモデルにしているからか、自由に演じているようには見えなかった。普通なら、二枚目俳優がメーキャップして渋く演じる役柄ではなかったかと思う。そのほうが観客は満足する。人は見た目で評価するからだ。だから、この二人のキャスティングは失敗ではなかったか?

ただし両人とも、存在感は充分にあった。

一般の天体ファンを写す時のカメラが、各人物とも同じ位置から撮影されていたのが気になった。予算を節約するために、一回の撮影で時期を変えた設定にして演じてもらったのか?細かく位置や照明を変えて、時間が経過し、見ているファンも変わって行った様子を表現したほうが良くなかったか?

主役から離れた関係なさそうな人物の言動が意外に心に残ることもあるので、手を抜いたわけではないだろうが、工夫を感じさせて欲しかった。漫画家の蛭子さんなどは登場する必要性を感じない。本物の役者が欲しかった。

はやぶさに関しては、三つの劇場公開作品が作られたらしいが、まだこれしか観ていない。いずれも架空の人間や本物も含めて話が進むらしい。プラネタリウムではCG版が上映されているらしいのだが、未だに鑑賞できていない。子供の時間と合わないからだ。そんなに多くの作品が作られたのは、近年まれに見る成功だったからだろう。

次々と故障するトラブルを乗り越える工夫とねばりには、敬意を評したい。回転運動をしているうちに、回転軸が安定するように設計していたとは知らなかった。確かに、そうでないと宇宙船を安定させるのは難しい。JAXAオリジナルのアイディアではなかろうが、素人には思いつかない知恵。

どの方向からも光を確保して、最低限は発電する機能などは必要ないのだろうか?映画で観た限りでは、光パネルは一方向にしか向いていなかった。内部に方向を一定化させるコマを作ったりすると重くなってダメだろうか?小さくて軽いコマでもいいと思うのだが。修正に時間がかかっていたようだったから、衛星の回転軸の調整だけでは、もっと難しいミッションはこなせないと思う。まだ工夫すべき点は多いのでは?

エンジンのトラブル、電気系統や燃料に関する故障も当然ありえるが、様々なシミュレーションをやっていたはずなのに、直ぐ簡単には対処できていなかったようだ。着陸後にしばらく制御不能になった時点で、私はプロジェクトは失敗したものと思ってしまった。それまで繰り返し失敗していたから。

アイディアと工夫はNASAの専売特許と思っていた。勘違いだった。

そもそもイオンエンジンのことを、はやぶさの成功まで知らなかった。マンガの世界の話と思っていた。驚いたことに、既にNASAでは1960年代には実験されていたそうだ。予算を得るのに必死だからか、JAXAも協力して解説されていて、よく解った。

 

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