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2012年5月 1日

素晴らしき戦争(1969)

- 映画的ではない -

第一次世界大戦の、主に英国が置かれた状況を、ミュージカル仕立で描いた映画。監督は初監督となったそうだが、リチャード・アッテンボロー。

何か前衛的というか芸術的な印象を受けたが、面白い作品とは感じなかった。舞台劇が好きな通の方なら非常に楽しめるかもしれないが、例えば子供が観ても退屈するだけだろう。家族でみる映画ではない。

ひょっとして、映画向きの作り方に失敗していたのかもしれない。狂言回しの役割をするのが冒頭では写真家だったが、途中で解らなくなったりして、それが意味があったのかなかったのか、その辺からして解らなかった。

アイディアは良かったと思う。舞台で各国の首脳達が無表情に会議するシーンは、ばかばかしい駆け引きを皮肉るのには最適。彼らの愚かな判断で、いかに戦況が膠着し、兵士達が酷い目にあったかを理解できる。

踊り手や歌い手が見事に歌えば、逆に政治家や将軍達の勘違いが目立つという仕組み。色仕掛けで兵士を集めるショーも笑える。ただし、実写の戦場シーンを織り交ぜると、かえって滑稽さが失われる傾向を感じた。リアルになり過ぎる。途中から笑えなくなった映画は、あと味が悪い。

劇中で使われた歌は、有名な曲の替え歌がほとんどだったようだが、聖歌まで使われていたのには驚いた。文句が出なかったのだろうか?

イギリス軍が大陸の戦争に本当に介入しないといけなかったのか、素人の私には全く解らない。第二次大戦の時代なら、航空機や潜水艦の発達のせいで、本土の防衛のためにナチスと対抗する必要があった。でも第一次大戦の頃は、もしかすると恐れが先にたって、余計に火の粉をあびてしまったのでは?

世界におけるイギリスの指導的な地位を維持し、覇権を保つためにはドイツを破滅させる必要がぜひともあると思っていたのだろうか?ひょっとすると、王室の意図が重要な役割を果たしていたのかもしれない。王室の意志に忠実に従うために、司令官達は無茶な突撃を命じていたのかも。

戦い方も理解できない。塹壕戦の場合は、何か圧倒的な戦略がないと一気に勝負をつけるのは難しいはず。普通に考えるなら上空からの絨毯爆撃、大砲の数や精度、破壊力に差をつけるくらいしかないと思う。機関銃相手の肉弾攻撃で何とかなるとは、とても思えない。

もっと昔、日露戦争の頃なら機関銃は少なかったはずだから、突撃も意味があったろう。双方が多数の機関銃でしっかり守っている場所に、しかも鉄条網をゆっくり壊しながら進むなど、考えられない方法。

兵器を作って補充し続けるには予算がかかる。でも人が何十万人死のうと年金しかかからない、だから肉弾戦だ!といった考えがなかったのか?怖ろしい話だが、戦争には金がかかるので、ひょっとして算術もあったのかも知れない。年金の額など知らないが。

誤った戦略をとるのは日本軍だけの話ではなかったようだ。この当時から、イギリスの衰退は明白に、特に指導者の中に起こっていたのかも知れない。暴動が起こらなかったのも不思議。この後、第二次大戦前にヒトラーとの対決を遅らせた理由は、おそらく第一次大戦の被害があまりにひどく、戦いを避けたいという考えがあったからではないかと思う。

 

 

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