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2012年4月22日

モテキ(2011)

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- 恋人との鑑賞は微妙 - 

久保ミツロウ氏原作のマンガの映画化。テレビでもやっていたらしい。ネット関連企業に勤める主人公が、様々な女性たちと知り合い・・・そして・・・ま、そんだけの話。

森山未來が演じた主人公は、まさに森山のはまり役。感動ものの存在感だった。ナレーションも演技も抜群に素晴らしい。ダンスを踊る時の表情がおかしい。彼なくして、この企画は成立し得ない。

もっと見栄えのするタレントが主人公だったら、あんまり笑えない。嘘っぽい喜劇になってしまう。彼しかいない。

カラオケやBGMと連動した映画の作り方がおかしい。パフュームが突然のように飛び入りで参加する無茶な設定も、この作品なら許せる。飲み会やカラオケの雰囲気が90年代~2010年くらいを再現しているかのよう。そつのないギャグが、独特のユーモアを感じさせる。

麻生久美子、中里依紗の演技も非常に素晴らしかった。30過ぎのOLやシングルマザーの雰囲気、言いそうなセリフ、しそうな表情が実に見事に再現されていた。作者は女性らしいが、女性ならではの視点による鋭さもあったかもしれない。

長澤まさみがヒロインだったが、最初どうも笑い方が気になった。笑顔が魅力的な美人というイメージで演出してあったようだが、さすがに笑い過ぎではなかったか?この作品は、意外にもリアルな会話、現代の若者の実態に即した状態が大事なんで、少しやり過ぎだったような気がした。

現状の問題が渦巻く中で、主人公だけ漫画的なシチュエーションというのが、おかしさにつながる条件だと思う。長澤が早い段階から悲劇のヒロインとして設定されていたら、悲しい中で懸命に笑顔を浮かべる凄いヒロインになっていたのでは?映画的な盛り上がりを期待するなら、それが常道。でも、真面目路線は、現代の若者を題材にする場合は娯楽の範囲を超えてしまう。

ひょっとしてだが、吉高由里子に非常にノリの良い娘を演じてもらったほうが盛り上がったのではないか? どこの職場にもいるだろう、とことん突き抜けた陽気な娘。そんな娘が、実は・・・という流れなら、バカみたいに陽気なほうが良い。それなら吉高だ。長澤は正統派美人、イメージが異なる。

ラストの設定が予想に反していた。ギャグで終われなかったのか?確かに終わり方が難しい映画だったと思う。

この作品は、20~40歳くらいの独身には必ず受けを狙える作品ではないか?少なくとも、たいていは共感する部分があると思う。子供にはマズそうな印象。やはり主人公は頼りないし、情けない言動をとっている。変な影響を受けては困る。家族で観るような作品ではない。

恋人とどう観るか、その辺も非常に微妙。もしかするとだが、別れ話のきっかけになりかねないヤバイ内容もある気がする。笑って済ませれば良いが、笑いながらも相手の目だけは笑ってないケースも大いに考えられる。

そのようなことが気になるのは、この作品のレベルが高いからだろう。リアルな部分、時代の雰囲気を正確に表現している面が確かに感じられる。全体が真面目に分析していると生真面目な映画になって面白くないが、ギャグに満ちた中に鋭い面があるとハッとする。センスが良いスタッフが揃っていたのでは?

セリフが辛辣で、かつリアル。主人公が言う「・・・ってゆうか、年収200万ちょっとじゃ、普通結婚できないっしょ。」などは、身につまされる。今は低収入に甘んじなければならない人も多い。収入がなければ、結婚は考えられないと思うのも解る。カラオケなどの安い遊びで憂さを晴らす、そんなんじゃ可哀想だが、現実だから仕方ない。

街中で携帯をじっと眺めていじっている人をよく見かけるが、忙しい人は携帯に時間をさけない。基本的に暇な人間が、場合によっては本当に他に何もすることがなくて扱っていることも考えられる。ケータイへの依存度が高いことは、仕事に邁進できないせいもあるかも。

遊ぶ暇もない早い時期に結婚させて、子育ては国家がバックアップすることが本当は望まれる。子供を作る個人の余裕がないので、社会が助けないといけない時代だと思う。若者の努力だけに期待することは、我々世代には許されない。自助努力に限界がある。我々の世代はたまたま恵まれていただけなのだ。

彼らの人生設計を成り立たせるためには、既得権にメスを入れるしかない。消費税が上がったら、買物が多い若い世代ほど影響を受けそう。いったん払っても、低所得者の場合は税金が返ってくるシステムが望まれる。そして本来なら、資産額や会社の規模と責任に応じた、別な税のほうが望ましい。

登場人物の行動で理解できなかったのは、ツイッターの使い方。いかにネット関連会社勤務とは言え、仕事中に閲覧するのは基本的にはマズイ。時間外もスマートホンに縛られている。ケータイにかかりっきりの時間が増えると、実社会から遊離してしまわないか?

飲み会もヒドイ。作品の中の人物達は仕事してんのか?

20台の頃は私も頻繁に町に出てたが、金が心配だった。金が入り出すと、今度は時間的余裕がない。恋愛対象も少なかった。自分を卑下しすぎていたのか、自分と付き合う相手が気の毒に思えてならないから、声もかけられない。後悔している。素晴らしい娘さん達がたくさんいたのに。

できれ私もモテキに浸りたかったが、自分で自分の魅力を実感できない → つまり自信がなかった。この世に絶望してヤケクソだったし、甲斐性もなかった。主人公も、多くの若者もそうかも知れない。でも今思うに、何か成し遂げ、自信をつけ、何かのメドが立ったらなどと考えるべきではなかった。

私なんて、とうとう魅力が身につかないままだったのだから。反省するばかりだが、そう思う。

 

 

 

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