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2012年4月12日

カンパニー・メン(2010)

- 真面目路線の佳作 -

リーマンショック以降のアメリカ。ボストンの会社で社員が次々と解雇される。主人公は再就職先を探すが、ローンを払いきれなくなっていく・・・

・・・ベン・アフレックは、今回は役者業に専念して監督や脚本には携わってなかったようだが、失礼ながらそのせいか?この作品はなかなかよく出来ていた。

キザなエリートビジネスマンの雰囲気が元々の風貌に合っていたと思う。過去に演じてきた役柄の中には、どうみても合ってない役もあった。ギャングなどには見えない。いい気になっていて突然解雇されるというのは、かってはトム・クルーズなどがハマリ役だったが、今後はベン君もいけるかも。

ベン君に好感を持ったのは、描き方も良かったからだろう。トム君の場合は一発逆転の派手な活劇が用意されていたが、この作品では地味な路線に徹してて、自然な流れだったから。ミッション・インポシブルは、そうそうないはず。

この作品は非常に真面目な路線。子供も観れるとは思うが、楽しくはないし、人生の希望を失いそうだから鑑賞禁止を勧めたい。リストラ寸前の人も、失業中の人もダメ。もう号泣してしまいそう。

能天気な公務員一家なら鑑賞を許可できる。でも興味ないかも。

クリス・クーパー演じる男が、洗い物を済ませて静かに車庫に入るシーンは素晴らしかった。音楽や色調を少し変えて、何か気味の悪い感じか怖い感じを出していたらもっと良かったかもしれないが、充分に悲しかった。

世間体を気にする奥さんから、夜まで帰宅しないように言われるなんて実に可哀相。皿を洗う姿は悲しい、でも下手糞だった。私はよくやっているから、もっと上手いが・・・自慢にはならない。家内も映画の奥さんのような姿勢でよく寝る。あの寝方の表現は正確だった・・・

トミー・リー・ジョーンズ演じた男は、やや現実味が感じられなかった。渋い路線を演じ過ぎていたのかもしれない。むしろ、解雇の恐怖や友人を失う悲しさ、立ち上がるに至るまでの葛藤、弱さを演じるべきではなかったか?いかに老練の氏でも、思い切るには勇気が要るはずだから。

ケヴィン・コスナーが完全にそこらのオッサンになっていた。腹も本当に出ていたように見えた。会社のCEOを演じた俳優も良かった。大柄で、いかにもやり手の雰囲気。

アメリカでCEOになると、信じられないような高額の収入があると報道されている。一般社員の数百倍の年収になるらしいが、破綻やリストラ騒ぎがあっても地位を維持できるのは、法的な面での責任の取らせ方ができていないからだろう。法整備すべきだ。おそらくCEO個人の金と会社の資産とを明確に区別すれば、べらぼうな差は出ないと思うし、そのようにすべきだろう。

リストラは、管理職の資産の大胆なカットなしには行使できないといった規定が望まれる。給与ではなく、資産にするのが大事。確かにCEOの年齢を考えたら、株価を上げて会社を売却し、自分は悠々自適の生活をするというのは罪ではない。でも、そのために社員の人生を勝手にしてよいはずがない。

1億くらいなら、眼が眩むまではいかないかもしれないが、数十~数百億の金額が動くようになると、やはり保身と資産確保に走らざるをえないのか?確かに会社を破綻させて億単位の負債を抱えたら、わが身の破滅である。人生の最後に失敗はしたくない。

結果的には人にリストラを命じて、自分はリゾート暮らしの遊興三昧という状況もありえるが、あくまで結果だと言わせてはならない。ローンを抱えた社員の場合は、急に職を失うなどできない。結果だからという理屈は通用しない。

リストラに遭った場合は、心理的にも家計の実際でも苦しい。よほどの資産がない限り、家のローンは払えっこない。高級車も、維持費を考えると売るしかないだろう。車はともかく、家は辛い。仕事があり、とりあえず明日のことを心配しなくて良いという安堵感は大事。

昨今の日本は不景気で就職が非常に難しい。新聞によれば、かなりの人が1年以内に転職か辞職しているという。条件の悪い職場に我慢して入る結果であろうか?正規雇用を義務づけると企業の会計が厳しくなり、非正規労働者を増やすと雇用不安が常態化する。法律だけで解決するのは難しいだろう。

見かけ上でも経済を成長させないと、どの会社も縮小ムードになるから雇用を維持することはできない。インフレ政策などによって金の価値を下げて、タンス預金では損する気分にさせ、金を動かすしかないのでは?日銀は何かを危惧してそうしていないようだが、私には理由が解らない。

主人公が再就職の際に、6万ドルの収入と言っていたが、日本円で500万円という数字は、あちらではどんな感覚なのだろうか?保険のシステムが違い、物価や税金も違うと思うが・・・

倍の1000万円をもらったとして、あちらでは映画に出てきたような豪邸に住み、スポーツカーを乗りまわせるのだろうか?日本で、あのような家に住んだら、ローンは凄い金額になるように思う。3000万円近い収入が必要ではないか?土地や家に関して、システムの違いのせいか随分リッチにやれるようだ。

ちょっと疑問に思ったのは、はたしてボストンの製造業で、70年代くらいに会社を立ち上げて、30年くらいで大きな複合企業に成り上がることが可能だったのだろうか?

当時、既に海外企業のほうが価格的に数段の競争力を持っていたはず。ベトナム戦争などの特需があれば、軍艦製造で一気に巨大企業に成長することも可能だったかもしれないが、それはもっと古い企業に限られたのではないか?

作品の中で廃墟となったドックがたくさん写っていたが、あれはどう見ても10年以上野ざらしになっていた様子。おそらく本当のところ、製造業の成長は20-30年前くらいには既に終わっていたのでは?巨大企業にはなりえなかったというのが真相だと思う。

だから、この会社の設定には無理があった。MITが近いから、コンピューター関係の製造会社なら解る。インスタントフィルム会社、衣料品、スポーツ用品関係もありえる。造船は疑問。廃墟が象徴的に使われただけだろう。

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