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2012年4月10日

キッズ・オールライト(2010)

- ドラマの醍醐味  -

レズのカップルと彼女らの子供たちの家庭が、子供に精子を提供した人物と関わることで、崩壊への道をたどろうとする話。

・・・設定が良かった。役者も実に存在感ある人達ばっかり。真面目に、リアルに演じているんだが、おかしいし悲しい。そして最後には応援したくなる。そんな、いわばドラマの醍醐味を凝縮したかのような作品。本当にレベルの高い仕事だった。

Focus

役者として最も存在感があったのはアネット・ベニング。美人で派手、どこか異常な感じがする奥さん役が合う人だったが、齢をとり髪を短くして演じた今回の女医さん役は、いかにもレズのパートナーという中性的な感じを上手く出していた。演技も素晴らしかったが、スタイリストなども高いレベルだったに違いない。

もう一人、ミア・ワシコウスカも素晴らしかった。「アリス・イン・ワンダーランド」では魅力が今ひとつ理解できなかったが、この役は特にラスト近くになるほど、存在感が増す役柄だったこともあって、好感を持った。不安定さ、悩みなどの表現が上手い。

ただし、違う役柄に合うのかどうかは解らなかった。例えば、今の彼女が冒険映画のヒロインになることは本来なら想像できない。「アリス~」で主演したのも理解できなかった。ミュージカルも疑問。喜劇でギャーと騒ぐ姿も想像できない。役柄が限られてくるかも知れない。

もうひとりの母親役を演じたジュリアン・ムーアは、今回は少し損な役割だったと思う。それでも映画のスクリーンの前で謝罪する姿、あの場面で泣いていないこと、理屈の運び方、実に的確な言葉とジェスチャー、表情に感心した。あんな場面では、顔の表情をこわしてはならないようだが、実際にそう演じるのは簡単ではないだろう。

この作品は、ハイティーン以上の年代でないといけない。小さな子供には全く向かないし、性的な面で許せないと感じる人がいるかも。恋人とみる作品としても、評価が分かれそうな気がする。不潔と感じる人もありえる。万人受けは最初から期待できない性格の映画。本物のバイセクシャルの人達がどんな印象を持つのかも解らない。嘘っぽい印象を受けるのか、共感するのか?

この種の映画は実に多い。人工授精が材料になっている作品、ホモセクシャルな関係が登場人物の誰かにある、家族の関係が崩壊しそうになって持ち直す、多少はエッチなシーンが展開される、そんな共通点を持つ作品は繰り返し作られて、安定した需要と供給のバランスが成り立っているように思う。

安定市場があるからこそ、レベルも高いのだろう。日本で作られたら、どこか陰湿な隠れながらのストーリー展開になりそうだ。

映画のように今のアメリカで、実際にレズのカップルの多くが精子の提供を受けているのかは知らない。州によって対応が違うかも。養子をもらう場合もあるかも知れないし、法的にはそのほうが安定している。経済力がありさえすれば、世話に関しては女二人で交替で担当したほうがずっと上手いはずなんで、かなり現実的だと思う。日本の場合は、慶応大学は昔から精子提供の伝統があると聞いたことがあるのだが、レズのカップルにも協力しているのかは知らない。

ゆめ音符という団体があるのだそうだ。公的な組織ではないようだが、日本でも精子の提供を受けることはできるらしい。ただし、生活の安定や子育てのことを考えると、シングルマザーが提供を受けるのは厳しいと思う。なんらかのパートナー、協力者が必要だろう。

日本の婚姻法が同性同士の結婚を認めているのかすら知らない。興味があんまりない。仮に隣にレズの家族がやってきても、自分は全く気にならない。著しく大きな偏見はないと自分では思う。でも男性同士のカップルの場合は、なぜか急に子供への影響が気になってしまう。これは偏見かも知れないが、子供が襲われるのが怖いのだ。

要は、他人に害を与えるかどうか。腕力で欲求を満たそうとする人物は、性別を問わず危険。これは偏見につながる考え方だが、仕方ない気がする。

レズのカップルがいたとして、その姿が美しいかどうかには興味がある。物凄いデブ同士のカップル、何を気に入ったか解らないような顔の構造のカップルだったら、とたんに許せない感情が湧くかも知れない。美しかったら何でも許せる。これも偏見だろう。偏見のない人間にはなれそうにない。

日本でも昔から男性同士のカップルは多かったそうだが、大変な偏見にさらされたに違いない。森鴎外や三島由紀夫もゲイの世界に理解が深かったそうだが、特殊な魅力を有する文章を書く人には、そのような独特の感性が必要かも。もしかして、この作品の脚本家などもそうかもしれない。あくまで想像だが。

 

 

 

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