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2012年1月16日

もののけ島のナキ(2011)

鬼達は人間に追われて異次元の海に住んでいた。そこに人間の子供が侵入したことから起こる騒動を描いた作品。3Dではなかったようだが、立体感が抜群の映像。童話の「泣いた赤鬼」をモチーフにした物語。

長いこと劇場で宣伝はしていたが、公開が随分と遅れた印象。おそらく映画の企画から製作に至るまで、何かトラブルがあったのでは?もしくは、スタッフが主に日本人だったようなので、ドラエモンのように海外のスタジオで一気に作り上げるようなシステムがなかったということか?とにかく、宣伝を見出してから実物を見るまで、1年近くは過ぎていた。

費用のことを考えると、海外のスタジオに頼んだほうが圧倒的に安いに違いない。でも、国産の技術の維持、育成も大事。山崎貴監督達に限らず、こだわりをもつ映画人は多いのでは?

CG関係の技術にも、おそらく多くの特許が絡んでいるに違いない。CGは、いったん作ってしまうとコピーの要領でいくらでも似たような画像を作れる。人物の顔や姿を微妙に変えて、動きのバージョンはモーションキャプチャーで得た情報にインプット・・・といった具合で、ペンギンもライオンも同じ動作のダンスが踊れる、当然鬼も人間も同様に動き、泣ける、そんな情報がストックされれば、将来はパソコン上で多数の映画ができるし、”誰々編集バージョン”も可能になる。

「いやあ、スターウォーズの”白組”版は、本家のスターウォーズよりも自然だったね、感動したよ。」ってな時代も、権利が切れる頃(50年後?)には期待できるかも知れない。

よく出来ていた。人間達の造形はマンガチックに過ぎたかも知れないが、もっとリアルにすると動きが気になってくる。マンガに近いほうが、動きも自由にできると思う。立体感や、絵の細やかさが素晴らしい。森の上を鬼が飛ぶシーンの美しさは、海外のCG映画に近いレベル。

ただし、「アバター」のCGのような自然な動きには至っていない。

今では普通になってしまったが、波の動き、涙の流れ方から衣服に落ちた時の染込み方に至るまで、手を抜かずにやっている。3D映画だと眼が疲れてしまうが、この作品は専用のめがねが要らないから楽。それでも充分な立体感があったから、今後もこの方式がメジャーになってくれたほうが、自分には有り難い。

この作品は当然だが子供に向く。大人でも楽しめると思う。恋人と見に行く映画ではないと思うが、SMAPの香取君ファンの女子なら許してくれるかも。

Gunnjyou

キャラクター設定が少し気になった。原作の青鬼は、比較的物静かな、”黙って仕事をこなす”クールなタイプではなかったかと、これは個人の記憶なんだが思う。原作には、いくつかのバージョンがあるようだし、二人の鬼のキャラクターも本によって様々なようだが、少なくとも火をつけられて暴れるキャラクターではなかった。

そんな役割は、赤鬼と他の小さな物の怪達が演じれば良いはずである。青鬼は徹底してクールで、物静か。赤鬼を完全に騙し、本気で戦わせる仕事を見事にやってのける、そんな仕事人にして得がたい友人、そのキャラクターであって欲しかった。

もしくは赤鬼の危機を助ける、鬼達からも嫌われる赤鬼をかばう明確なエピソードをひとつだけでも挟んでおくべきだった。笑いなしに。そうなると、後半の二人の戦いは非情なものになる。

笑いの部分は、せっかくだから個性的な他の住民達に演じてもらえば良い。普通の考え方ならでは、役割を明確に分担すべきだった。現代ではクールな怪物は受け入れられない、全員がギャグに走らないといけないという確かな判断があったのか? たぶん、深い考えなしでやっちまったのでは?

さらにピクサー~ディズニー的な流れにするなら、鬼の中にも悪玉がいて、人間の子供を利用して何かを企もうとする、まんまと赤鬼達はワナにはまる、そして赤鬼青鬼の連係プレーで危機を逃れるってな調子の物語が好まれる。そうなると、もう長時間にわたる大河ドラマ・サーガの誕生だ。そんな物語はさすがに誰も期待しないと思うが・・・

 

 

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