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2012年1月10日

ファール・プレイ(1978)

Paramountp

- 絡み合っている -

図書館に勤めるバツイチの女性が主人公。偶然ひろったヒッチハイカーが何かの秘密を持って死ぬ。犯罪組織が彼女を追ってくるが、警察は彼女を信じてくれない・・・

・・・ファール・プレイ、直訳すれば犯罪行為、違法行為の意味で、直訳すると味気ないタイトルのような気がする。日本人だと野球のファールをイメージするから、当時は常識を外れた行為という意味があるのかなと思った。

大作ではなく、宣伝も見ないうちに、たまたま学校をサボって観た映画だったような気がするのだが、気に入ってしまって確か4~5回観た。1回に留めて学校に行けばよかったと、今はとっても反省している。

レコードの音といっしょに人が倒れる、劇場の中で暗殺計画が進行する、小さな教会の中に人質がいる、そこに忍び込む刑事、そういったパロディはニヤニヤしながら観れるのだが、爆笑ものの作品とは言えない。わりに静かな、ロマンティックな路線。主にヒロインの魅力がひきたつような作り方、そしてヒロインの魅力自体も素晴らしい、そんな作品だった。

今もそうだが、当時もやや古めかしい、テンポの遅い印象を受けた。ヒチコック映画と同じようなテンポだから、当然そうだろう。中心となるBGMが当時人気だったバリー・マニロウのスローバラードで、これがテンポに合っていた。ディスコブームの頃で、ビートの効いた音楽が主流だったはずだから、マニロウの音楽は当時でも古めだったが、オシャレではあった。

当時、この映画はどんな人達が観たのだろうか?学校をサボるアホ学生だけではないはず。たぶん、行き遅れのOLが好んだのでは?そんな気がする。今でもそう言える。OL向き、バツイチ向きの作品。若い人には多少は退屈に写るかも。

海岸をヒロインのワーゲンが走る時のBGMとして、「もういちど(恋愛の)チャンスを・・・」といった意味の歌詞は、ロマンティックで何か夢見たいなことが起こりそうな気がするとともに、ヒロインを応援したくなるような雰囲気作りに役立っていた。

ゴールディ・ホーンは、当時30歳くらい。若者だった私にはオバサン、最盛期を過ぎた女優のように感じられたが、充分にかわいらしい。冒頭のパーティーのシーンで、眼が合って、はにかんだように笑う姿が絵になっている。独特の口元の形は、たぶん意識しながら作っているようだが、アメリカの女優達には似たような表情を見ることがある。

ファラ・フォーセット・メジャースも、下唇を横に大きく開く笑い方をしてポスターに写っていた。他のタレント達もそうだった。モデル学校でこう笑えと教えていたのかも。そういえば、当時の男性モデルもニカッと同じような笑い方をしていた。あれはケネディの影響か?昔からのヤンキーの伝統か?

チェビー・チェイスは中途半端な役柄だったと思う。失敗ばかりやらかす相手役を選ぶのが普通のパターンだが、この作品は笑いよりもロマンティックな方向にバランスを持っていっているようで、多少ドジを働くものの、後半はほとんどまともな刑事として仕事をこなしていた。喜劇役者としての存在感は損なわれたように思う。

でも、作品としては良い出来になった。もしチェビー氏が自分も目立つように脚本をいじらせていたら、ヒロインが中心から外れてしまい、喜劇のほうに重点が移る。そうなるとロマンティックな部分に満足していた観客からはソッポを向かれる。あんまりトンチキなヒーローでは、ヒロインが可哀相なままになる。それではいけない。

変態役を演じたダドリー・ムーアは、この作品で知った。

双眼鏡をかけたまま風呂に入っているシーンは笑えた。当時の劇場でもドッと笑いがあったことを記憶している。彼がこの作品で狂言回しの役割を担い、チェイス氏は本来の相手役を勤めるという仕組みだったようだ。ダッドリー氏がいなければ、印象に残らない普通のラブ・サスペンスに終わったかも。

低予算の軽い作品のような気がするのだが、適切な配役、プロットがなされているので雰囲気が良い。全てがうまく絡み合った印象を受ける。作り手のセンスが良いのでは?

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